ビッグツー店長日記

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朝日新聞の連載小説「悪人」より

2007-01-18 18:27:03 | Weblog
1月18日(火)の連載小説「悪人」吉田修一より

「アンタ、両親おるね?」
「はい」
「仲は?」
「あまりよくないです」
きっぱりとした答えかただった。
「アンタ、大切な人おるね?」
佳男の質問に、ふと鶴田が足を止めて、首を傾げる。
「その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人たい」
佳男の説明に鶴田は黙って首を振り、「アイツにもおらんと思います」と呟く。
「おらん人間が多すぎるよ」
ふとそんな言葉がこぼれた。
「今の世の中、大切な人もおらん人間がおおすぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものがなければ、欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ」


なんでも できると 思い込んだ 自分には失うもんがなかっちというここ最近の首相や政治家や評論家や学者や民間人が、大切な人を守ることで一喜一憂した祖父母や、父母の作った教育基本法を改正すると事態はさらに悪化することを予想して・・・・・

同じく 朝日新聞 1月17日(水)より抜粋

本田由紀(東京大学助教授)教育社会学

・・・中略・・・「改正」が強行された教育基本法では新たに家庭教育の条が設けられた。首相直属の教育再生会議では、親孝行や家庭のしつけを重視する発言が頻発している。文部科学省は「早寝早起き朝ご飯」国民運動や「子供と話そう」全国キャンペーンを繰り広げている。それらに呼応して「できる子供は親が作る」などの見出しが溢れている。・・・・中略・・・・
私は家庭教育の重要化が女性・母親にとって重圧となり、子供をもつことへの躊躇や、子供をもちつつフルに働くことへの消極性をもたらすおそれがあることを、質問紙調査データーを用いて論じた。・・・中略・・・・
・・・こうして家庭教育重視の政策は、その格差を助長し、すでにぎりぎりの状態にある母親達に更に圧力を掛けることになる。・・・・・中略・・・・
むしろ必要なのは、家庭外に、家庭間の格差を最大限補完する機会を、公的に充実させることだ。具体的には、公立の初中等教育できめ細かい指導により総合的で、有用性の高い知識とスキルの習得を均質に保証すること、学校の内外で芸術やスポーツなど多様な活動を安価に提供することが望まれる。


「上から押し付けても
本人がやる気にならなければ
勉強や仕事をしないのは
親も、子供も同じだと思うよ。」
               テンチョー
           


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