Nurseのホジキンリンパ腫闘病日記

現役看護師のホジキンリンパ腫の闘病日記です。
同じホジキンリンパ腫で苦しんでる人に役立てばと思い書くことにしました。

生きる

2012-08-17 17:11:32 | 日記
治療が終了してから半年の間は、一ヶ月後にCT検査と二ヶ月後にレントゲン検査で縦隔腫瘍が大きくなっていないか確認しました。また一ヶ月ごとに採血検査をして炎症値やLDHが異常値になっていないかの確認も行いました。
毎回検査の結果を聞きに行くまでは前日から眠れずドキドキしながら診察を受けて、異常がなければ安堵していました。考えれば考えるだけ再発の不安に押しつぶされそうになる毎日でしたが、今日を過ごせることに感謝し、とにかく一日一日を大切に生きようと思っていました。万が一再発したとしても、それまでの時間を精一杯生きていれば、後悔も少ないのではないかと思っていました。
でも、つくづく思います・・・人間って欲に溢れた生き物だと思います。癌を告知された時は、とにかく一日でも長く生きたく、元気になれれば有難い、生きていられるだけで充分幸せだと思っていたのに。治療が終了できてもう少し生きれるとわかったら、再発したくない、もっと長く生きていたい、長く生きて結婚もしたい、と欲が出てきました。
『生きること』は苦しいこともありますし、見たくないことも見ないといけなかったり、『生きること』=『幸せ』の法則が成り立たないこともあると思います。私のように、生きていられるだけで充分と感じていたのに、生きることが当たり前になると生き続けたいという欲望が出てきてしまう・・・人間の欲深さを感じます。
私は生きる人に選ばれたわけですから、そんな欲深さを感じながら、欲にまみれずに今日生きていられる幸せを感じながらこれからも命ある限り精一杯生きていこうと思います。
ご飯を3食食べられること、安心して過ごせる家があること、一緒に笑い悲しみ楽しむ相手がそばにいてくれること、仕事ができること、当たり前にある毎日を生きていられることこそに感謝して、幸せと思える気持ちをずっと持ち続けて生きていこうと思います。


癌になったことは、苦しかったです。でも、私と同じ年代の人たちが感じれない体験をできたと思います。当たり前の毎日を有難いと思える感覚をいつまでも大切に心に刻み、癌になってもよい人生だったと思えるように生きていこうと思います。

癌になった私にしか感じれない感情が沢山あり、癌になった私だからこそ出来ることがまだまだ沢山あると思います。
癌闘病を無駄にせずに、生きていきます。

治療の区切り

2012-08-05 00:07:57 | 日記
体調が戻った体で新しい年ー2011年を迎えることができました。癌の告知を受けたときは新しい年を元気な体で迎えることができないかもしれない、もしかしたらこの世にはもういないかもしれないとまでも思っていました。それが副作用も感じず、ご飯を美味しいと感じながら正月のご馳走を堪能でき、もしかしたらもう治療をしなくてもいいところまで来ており、心から有難く感じていました。
ABVD4クール目ー②が終了してから30日目、外来診察の日、採血は白血球も上昇しており、私が強く希望していた通り先生からは仕事復帰の許可が出ました。家族からは、まだ早いのではないかと言われましたが、職場の理解もありしばらくはリハビリを兼ねて短時間から復帰することになりました。PET-CTは抗がん剤を投与してから一ヶ月以上は経過しているほうがいいとのことでしたので、検査の結果を待たずに仕事復帰となりました。
副作用から解放されれば毎日散歩をしていましたから、そこそこ体力には自信があるつもりで、1月10日から仕事復帰です。もう看護師として働くことができないと思ったこともありましたし、待ちに待った恋焦がれていた仕事復帰ですから、白衣を着て病棟に上がるまではドキドキ緊張してうれし涙がぽろり・・・。
うれしかったです。病気になる前は、仕事に行くのが嫌な日もあったのに、働けることにこんな喜びを感じるなんて。
自信のあった体力ですが、午前中の3時間働くだけで帰ったらぐったりしていました。抗がん剤で奪われた元の体が戻るのはまだまだ先のことでした。

PET-CTを撮りその結果がわかったのは1月末。
結果・・・・・抗がん剤が著効。当初真っ赤に染まっていた癌の部位の画像が、赤いところはなくなっていました。先生の見解では、もう活動している腫瘍はないだろうから、これで治療を終了することもひとつの選択肢ということでした。
もちろんこれで治療は終了しようと決めていましたので、先生には即答。

こうして抗がん剤治療を一旦終了し、新しい人生の再出発をきりました。あたしには『生きること』が選ばれました。
癌になったことに意味があるように、抗がん剤が効いて生きていくことになったことにも意味があると思いました。
ずっと私がなぜ癌患者に選ばれたのか、初めのうちは、罰が当たったんだ、とか、こんな苦しみを与えられた私の人生は最悪だ、とか思っていました。それが徐々に、癌になったのには意味があるのではないか、とその意味を模索するようになり。私の人生の道のりが癌になったことで遠回りをして悪い方向に行っているのではなくて、私がこの世に生を受けた段階で癌になることは運命で決まっていたことなのかもしれない、と思い、じゃあこの経験を生かすも殺すも自分次第なのではないかと思うようにもなりました。看護師になったことも、看護師として働いている最中に癌になったことも、癌を克服して看護師として働くことも、私に起こっているこの出来事全てが、私の人生の一部であり、人生の糧になるのではないかと思っていました。これからはこの経験を活かして、患者さんとも接していきたいと思いました。


ほかの癌患者さんの言葉で、心に響いたコトバがありました・・・

『癌闘病は人生を変える旅』

本当にそうだと思います。いい意味、悪い意味で癌は人生が変わるものだと改めて思います。