最近、時間があれば図書館に足を運ぶ。
書店には新刊本のチェックに出かけるけれど図書館はそんな「最新の時」に出会えなかった本たちがひっそりと出会いを待っていてくれて、思わぬ掘り出し物に出会ったときには、なんだか数何来の友人に思いがけずばったり街角で出会ったようで、なんとなく嬉しくなってしまう。
最近出会ってよかったな、と思ったのは小澤征良さんの「言葉のミルフィーユ」というエッセイ。彼女が「会いたい」と思う人との対談をベースにした本だ。
その中に登場した Robert Forestの一編の詩。
「I shall be telling this with a sigh.
Somewhere ages and ages hence: Two roads diverged in a wood,
and I------------I took the one less traveled by,
And that has made all the difference.」
森の中で二つの分かれ道に出会ったとき。熟考の末、人が通った形跡が少ないほうの道を選ぶ。そのことが、そこからすべてのことを変えた、という、その凛としたすがすがしさ。
とても美しい詩だなぁ、と思うしこの詩を素敵だなと思う彼女の感性がとてもゆたかで美しいと思う。
人の通らぬ道を行くということは、なかなか勇気のいることだから。
自分で決断して、directionを持っている人にしかできないことだと思う。その潔さと勇敢さに、怖がりな私はつい、憧れてしまう。
directionということについては、大江健三郎さんとの対談の中でも出てきていて、思わずうんうん、とうなずいてしまったくだりが。
「人間的な力というのはなんでもって作りだされているのかというと、「注意深くあること」によってなんです。(中略)注意深くあるということの一つの特徴は、方向性を持っているということです。ぼんやり見ているのではなく、ある方向をあらかじめ選択している人間は注意深い。
そして、目に力があると感じさせるのは方向性をもった目をしているからです。
はっきりと方向性を定めてものをみる態度をもっている人の目は生き生きとして強い」。
本当に、そうだなと思う。生き方を決めた人、自分の中にぶれない芯をもっている人たちはまなざしに力をもっていてしなやかで優しくて、でも強い。
直接の知り合いではなくても、そんな風に生きている人たちが同じ時代に同じ国にいてくれることを本当にうれしく思う。
人に励まされるのってそういう時。
ああ、自分も目に力のあるような、まっすぐな芯をもって生きていきたいなと思うのです。まだまだ種まき中だけど。
大地にしっかりグラウンディングしながら空を目指してまっすぐに伸び。そこにただ在るだけで人や動物たちのいのちを癒してくれる美しい木のような。
力強くて優しくてしなやかで、生命力にあふれた美しい人になっていきたい。