連載2日目のメジャーリーグのスカウティングレポート。
昨日は守備&投手の評価についてお伝えいたしましたが、今日は打撃や走塁などの攻撃面でのスカウトの目線をご紹介しましょう!
いつもとちょっと違った目線から選手をみることで、メジャーリーグ&プロ野球はもちろん、学生・社会人野球の醍醐味を味わえると思いますよ♪
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●Batting(打撃力)
打撃能力の査定は非常に難しく、メジャーレベルのピッチャーに対してどの程度力を発揮するか?という見極めをスカウトはしなければなりません。
アマチュアレベルやメジャー以外のレベルのピッチャーが打てても、メジャーではまったく打てないことはしばしばあります。
それもそのはず、ロジャー・クレメンス選手やランディー・ジョンソン選手のようなピッチャーはメジャー以外ではなかなか対戦する機会もないのですから・・・
そして、多くの野球殿堂入りしている、または現在活躍している選手を見てわかるように、それぞれがユニークな構えそしてスタイルを持っています。
いわゆる“理想的なバッティングのメカニズム”に捕らわれずに、個々の選手の技術的な部分をスカウトは見極めなくてはなりません。
また、バッティングにも生まれ持った天性の資質的な部分があり、練習からは習得することが難しいといわれている能力の存在があります。
例えば、ミート力などが上げられます。
筋力もミート力もある程度鍛えることが可能ですが、アレックス・ロドリゲスやバーニー・ウイリアムスのような天才と言われる選手は、練習で習得できるものを超越したミート力を持っているといわれています。
とにもかくにも以下の8つのポイントがスカウトが着眼するポイントといえるでしょう。
1.スイングのスピード (Bat Speed)
2.ボールを常に力強くたたけているか。
3.ストライクゾーンの見極めができているか。
4.メジャー級の速球についていけるような体の回転速を持っているか。
5.変化球についていけているか。
6.広角的に打ち返せているか。
7.タイミングをはずされてもしっかりボールを捕らえる能力があるか
8.長距離力があるかどうか
これらの8つのポイントを技術的な側面で捕らえると以下のように解説することができます。
横に示した数字は、8ポイントの中で関連性が高いものを表しています。
≪ミート力≫ (ポイント2,5,6,7)
ミート力は、何も考えずに自然に目で見ているボールの位置にバットを移動することができる能力をさします。
スカウトは、どのくらいの確率でボールを捕らえているか、またはミスしているかを見ています。
バーレル・アキュレシーという単語でスカウトはどのくらいの確率でボールをバットの芯で捕らえているか測っています。
バーレル・アキュレシーの高い選手として認知されるには、常に芯でボールを捕らえそして強くボールを叩けていることが必要です。
≪バランス≫(ポイント5,7)
これは練習で訓練され身につく能力です。
多くのメジャー選手は例え変化球でタイミングをはずされても自分のスイングのバランスを崩すことはありません。
スカウトは常に自分のスイングができているかどうかを見てこのバランス感覚を測っています。
≪頭の位置≫(ポイント3,6,7)
これもまた、練習により修正・向上できる技術的なことです。
頭の位置はボールを見極めそして、ミート力を高めるのに必要不可欠な要素です。
よって、頭の位置が正しく設定されていないとスイングがオフバランスになり、ミート力の低下の原因になってしまいます。
典型的な頭の正しい位置とは、構えたときに下を向き、目と鼻がつま先よりやや前に位置し、そのまま上を向いたときにしっかり両目でピッチャーの見えるぐらいの位置とされています。
≪自然体≫(すべてのポイント)
優れたバッターは自然体でゆったりと構えています。
これは、先に挙げたすべてのポイントにつながる重要なことです。
体に力が入っていると変化球についていけないとか、選球力に欠けるとか、いろいろな弊害が生じます。
力みのないフォ-ムは力みのないスイングを生み、しいてはバランスの取れたしなやかなバッティングを生み出すのです。
スイングは75%-85%ぐらいの力でなされるのが理想的とされています。
≪バットヘッドの速さ≫(すべてのポイント)
これはトレーニングである程度カバーできますが、多くの場合は生まれ持った能力として捕らえられています。
この能力を備えていることは、ボールを長く見ることにつながります。
また、バットヘッドの速さは飛距離につながり、より遠くに飛ばすことができるのです。
また、ヘッドスピードが速い選手は、力をいれずにバランスの取れたバッティングを可能にできるという点にも優れているといえます。
≪長距離力≫ (ポイント8)
長距離力については様々な意見がありますが、私自身としてはこの能力がすべてのバッターに兼ね備えられていなければならないとは思いません。
しかしながら、メジャーのスカウトはこの能力に大きな比重を置いてバッターを査定する傾向にあります。
あのイチロー選手でさえもこの能力においては当初は低く査定され、打率2割8分がいいところであろうといわれました。
また、引っ張って打つことが少ないことから力不足などといわれましたが、見事3割5分を達成し、長距離力だけではバッターの能力を測ることができないことを証明したといえるでしょう。
バッターにはそれぞれ役割があり、その役割に適した能力で判断されるべきだと思います。
しかしながらホームランが選手にとってもスカウトにとっても魅力のあるものであることには変わりなく、そして現状においてスカウトが査定に利用する項目であることには変わりはありません。
長距離のヒットを打つにはバットヘッドのスピードが速いことが重要です。
この資質をもった選手は、バッティング練習などでは常に柵越えを連発し、400フィートくらいの飛距離を出せるといわれています。
アマチュア選手の打撃、とくに金属バットを利用する選手を査定する場合には注意を払う必要があります。
金属バットは木製バットよりも広いスウイートスッポト(“芯”)を有し、木製に比べ軽いためにヘッドスピードを早くすることが可能であり、飛距離においては約18%距離が伸びるとされています。
よって、400フィートの距離を飛ばす選手は金属で470フィートくらい飛ばすことができます。
金属バットを使用していた時はホームランバッターであった選手が、木製バットでは月並みなバッターになってしまうことがしばしばあります。
ですから、プロになる前に木製バットに慣れておくことが高校生や大学生の選手にも求められるのです。
≪変化球への対応ならびに広角力≫(ポイント5,6,7)
変化球への対応能力は、スイングのバランスそして自然体で構えることのできる能力などに大きく由来します。
一言でいえば、いかに突っ込まずにボールを打てるかということです。
構えた位置から、頭がほぼ同位置にある状態でスイングができる選手は変化球への対応を用意に行えます。
もちろん例外もあります。
例えばイチロー選手などは突っ込みながらも類まれなミート力とバットコントロールにより通常は変化球の対応に苦しむとされる“突っ込む”という癖を難なく補ってしまっています。
これもまた、生まれもった能力により技術的な部分をカバーしてしまっている例といえますが、一般的にスカウトは、ステイビハインドといって突っ込みの少ない選手を高く評価しています。
様々な変化球が多投される最近の状況下では、広角に打てることの意義もますます高まっています。
先に述べたステイビハンイドはここにも大きく関わってきます。
ボールをじっくり待つことができなければ、打球を左右に打ち分けることも可能ではないからです。
≪大きな舞台・プレッシャーにどのように対応しているか≫ (すべてのポイント)
プレッシャーへの対応は非常に重要で、メジャーの舞台という想像しがたい大きなプレッシャーに対応できるかどうかを見極める材料になっています。
評価は、プレッシャーのかかる場面やゲームにおいてより力を発するのか?それともプレッシャー下では力を十分に発揮できないのか?
スカウトは数字だけを見ているわけではなく、例え結果は出ていなくとも内容的にはプレッシャーに負けていない様子が伺えれば評価となります。
どのような状況においても最後まであきらめず戦っている姿を見せたいものです。
≪優れたピッチャーに対する対応≫ (すべてのポイント)
ある程度の技術のあるバッターが、平均的なピッチャーを打てるのは当たり前ですが、90マイル以上の速球の投手にどのように対応するかもスカウトがチェックするポイントです。
≪選球眼とプレート上で待つ姿勢≫(ポイント3,4,5,6,7)
選球眼と良い球を待てる能力は非常に重要なポイントです。
スカウトはボール球にちょくちょく手を出すバッターを好みません。
これは、統計学的にもいい結果を残せないという当然の結果から来るものです。
メジャーで3割、30-40ホームランの選手は、おおよそ90個ほどの四球を稼いでいるでしょう。
2割5分打てる選手(4打数1安打)が、1試合に1つ四球を選べるようになると3割3分の打者(3打数1安打)に変身してしまいます。
そして、出塁率も5割にアップでき数字的にもいいものが残せるようになるのです。
もちろん選んでばかりではなく、自分のストライクゾーンにおいては積極さを忘れずに、ストライクゾーン外のボールを冷静に見送ることのできる姿勢がスカウトの目に止まるホームプレート上でのよい姿勢といえます。
≪試合結果と総合判断≫ (すべてのポイント)
数字がすべてではありませんが、2割2分の成績のバッターをドラフトするには相当の理由と勇気が必要ですので、やはりある程度納得がいく数字的な内容が伴っていることが望ましいといえます。
総合的な判断は試合結果を含む上記すべてからはじき出されます。
様々なチェック項目のうち、やはりミート力が優れたバッターを発掘することが将来のメジャーリーガー発掘のキーポイントとなっています。
どんなにパワーがあってもミート力がなくては宝の持ち腐れになってしまうことからも重要性が問われるポイントです。
●Running Speed(走力)
足の速さは守りにおいても打撃においても共通して重要な能力といえます。
早く走る能力には打撃におけるようなスランプがないという信頼度の高い運動能力として捉えられ、選手の選択において重要な位置を占めています。
足の速さは、近代の野球において大きな意味を持っています。
特に、人工芝を利用する球団にとっては球足が天然芝より速くなることから、足の速い選手の起用によって余計な塁を与えない努力をしなければなりません。
また、このように足の速い選手は、盗塁という攻撃的な武器を使って相手を揺さぶることにも利用できることからも重要視されます。
こんなことからもイチロー選手がいかに優れた選手かが見えてきますね。
走力の計測は通常60ヤード走・ホームからファーストへのタイムによって行われます。
メジャーの選手の平均60ヤード走タイムは6.9秒と言われています。
足の速さは外野手には特に求められ、センターを守るには6.6秒で、両翼は6.8秒で60ヤードを走れることが求められます。
もちろん、多くの外野手が打撃力を買われていることから、特に打撃力のある選手にはこの基準を当てはめないこともしばしばあることです。
そしてホームからファーストへのタイムのメジャー平均は4.3秒と言われています。
ホームからファーストへのタイムはバットにボールが当った音が聞こえると同時に始まり、ファーストベースを踏んだ時点で終了となります。
メジャーでは4秒でこの間を走る選手を足の速い選手と評価します。
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●Catcher(キャッチャーの評価)
試合を有利に進めるためには、キャッチャーに高い質が求めれれます。
キャッチャーはグランドでのリーダシップを発揮し、バッターとの駆け引きをピッチャーと共同で行い、ゲーム全体を組み立てる役目ができなければなりません。
キャッチャーは体が頑丈で、常にゲームに参加できる体力を有し、ゲームにおける責任ある役割、すなわち守りの要を果たせる者でなくてはなりません。
グラブさばきがうまく、機敏に動き、ワンバウンドの投球も難なく受け止める技術が必要です。
メジャーレベルのキャッチャーは投球を受けてからセカンドへ送球するまでに平均2秒かかり、速い者で1.8秒でこれを行うことができます。
キャッチャーのセカンド送球を2-8のスケールで区分けすると以下のようになります。
≪2塁送球スピードスケール≫
8:1.7秒以下
7:1.7-1.8秒
6:1.8-1.9秒
5:1.9-2.0秒
4:2.0-2.1秒
3:2.1-2.2秒
2:2.2-2.3秒
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●Player Make-up(プレーヤーの資質)
プレーヤーの資質はメジャーにおける成功において非常に大きな要因となっています。
先にも述べたように、サミー・ソーサ選手の成功が彼の技術的そして肉体的な才能にのみあるのではなく、精神的な強さにも由来していることからも明白といえるでしょう。
よって、肉体的に高い資質を持っていても、精神的な強さのない者は成功しないのが米国野球界の通説となっています。
ドラフト後、それまでスター扱いされていた選手たちがマイナーリーグに送られ、家から離れた状況下で、多くの選手が初めて大きな屈辱を味わったりすることとなります。
例えば、初回に打ちのめされ降板・・・4打数0安打のような結果に常に直面することになります。
この苦悩を乗り越えることができる選手のみがメジャーの舞台を踏む権利を勝ち得るのです。
多くの高校卒の選手はまず初めに家から離れて暮らすことに慣れなければなりません。
また、長い遠征バスの旅や、暗い照明下でのゲーム、悪いグランドコンディションでのプレーなど、今までの環境と違う状況下で精神的な苦痛を経験することになります。
大学卒の選手にとっては、すべてにおいて今までの良い恵まれた環境の野球とは違う、環境的には下のクラスの野球を強いられることとなります。
大学卒の選手は高校卒の選手よりは多少精神的にタフではありますが、大学卒の選手は学位を持っているため野球以外の他の選択肢もあるという面において、短期で野球人生を決定しがちです。
2年経っても芽が出ないようであれば多くの場合彼らは野球をあきらめる傾向にあります。
マイナーリーグでは結果がすべてですので、いかに多々ある困難を克服しながら常に良い成績を残すかがメジャーへの道を開いてくれます。
≪プレーヤーの資質チェックリスト≫
(a) 資質
成功への強い意志、指導に対する柔軟な姿勢、精神的な発育の程度、気の短さ、向上心、ハングリー精神、野球知識、負けん気の強さをチェックしています。
(b) 身体の成長度
身長はまだ伸びているか?体重は減らせるか?または増やせるか?足の速さは現状が限界か?技術的にピークに達しているのか?過去に怪我はあったか?前年と比べどのくらい上達したのか?など。
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2回連載でお届けしましたメジャーリーグのスカウティングレポートはいかがでしたか?
プロ野球で活躍することが全てではありませんが、こういった視点で選手を見てみるのもおもしろいですよ!!
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昨日は守備&投手の評価についてお伝えいたしましたが、今日は打撃や走塁などの攻撃面でのスカウトの目線をご紹介しましょう!
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●Batting(打撃力)
打撃能力の査定は非常に難しく、メジャーレベルのピッチャーに対してどの程度力を発揮するか?という見極めをスカウトはしなければなりません。
アマチュアレベルやメジャー以外のレベルのピッチャーが打てても、メジャーではまったく打てないことはしばしばあります。
それもそのはず、ロジャー・クレメンス選手やランディー・ジョンソン選手のようなピッチャーはメジャー以外ではなかなか対戦する機会もないのですから・・・
そして、多くの野球殿堂入りしている、または現在活躍している選手を見てわかるように、それぞれがユニークな構えそしてスタイルを持っています。
いわゆる“理想的なバッティングのメカニズム”に捕らわれずに、個々の選手の技術的な部分をスカウトは見極めなくてはなりません。
また、バッティングにも生まれ持った天性の資質的な部分があり、練習からは習得することが難しいといわれている能力の存在があります。
例えば、ミート力などが上げられます。
筋力もミート力もある程度鍛えることが可能ですが、アレックス・ロドリゲスやバーニー・ウイリアムスのような天才と言われる選手は、練習で習得できるものを超越したミート力を持っているといわれています。
とにもかくにも以下の8つのポイントがスカウトが着眼するポイントといえるでしょう。
1.スイングのスピード (Bat Speed)
2.ボールを常に力強くたたけているか。
3.ストライクゾーンの見極めができているか。
4.メジャー級の速球についていけるような体の回転速を持っているか。
5.変化球についていけているか。
6.広角的に打ち返せているか。
7.タイミングをはずされてもしっかりボールを捕らえる能力があるか
8.長距離力があるかどうか
これらの8つのポイントを技術的な側面で捕らえると以下のように解説することができます。
横に示した数字は、8ポイントの中で関連性が高いものを表しています。
≪ミート力≫ (ポイント2,5,6,7)
ミート力は、何も考えずに自然に目で見ているボールの位置にバットを移動することができる能力をさします。
スカウトは、どのくらいの確率でボールを捕らえているか、またはミスしているかを見ています。
バーレル・アキュレシーという単語でスカウトはどのくらいの確率でボールをバットの芯で捕らえているか測っています。
バーレル・アキュレシーの高い選手として認知されるには、常に芯でボールを捕らえそして強くボールを叩けていることが必要です。
≪バランス≫(ポイント5,7)
これは練習で訓練され身につく能力です。
多くのメジャー選手は例え変化球でタイミングをはずされても自分のスイングのバランスを崩すことはありません。
スカウトは常に自分のスイングができているかどうかを見てこのバランス感覚を測っています。
≪頭の位置≫(ポイント3,6,7)
これもまた、練習により修正・向上できる技術的なことです。
頭の位置はボールを見極めそして、ミート力を高めるのに必要不可欠な要素です。
よって、頭の位置が正しく設定されていないとスイングがオフバランスになり、ミート力の低下の原因になってしまいます。
典型的な頭の正しい位置とは、構えたときに下を向き、目と鼻がつま先よりやや前に位置し、そのまま上を向いたときにしっかり両目でピッチャーの見えるぐらいの位置とされています。
≪自然体≫(すべてのポイント)
優れたバッターは自然体でゆったりと構えています。
これは、先に挙げたすべてのポイントにつながる重要なことです。
体に力が入っていると変化球についていけないとか、選球力に欠けるとか、いろいろな弊害が生じます。
力みのないフォ-ムは力みのないスイングを生み、しいてはバランスの取れたしなやかなバッティングを生み出すのです。
スイングは75%-85%ぐらいの力でなされるのが理想的とされています。
≪バットヘッドの速さ≫(すべてのポイント)
これはトレーニングである程度カバーできますが、多くの場合は生まれ持った能力として捕らえられています。
この能力を備えていることは、ボールを長く見ることにつながります。
また、バットヘッドの速さは飛距離につながり、より遠くに飛ばすことができるのです。
また、ヘッドスピードが速い選手は、力をいれずにバランスの取れたバッティングを可能にできるという点にも優れているといえます。
≪長距離力≫ (ポイント8)
長距離力については様々な意見がありますが、私自身としてはこの能力がすべてのバッターに兼ね備えられていなければならないとは思いません。
しかしながら、メジャーのスカウトはこの能力に大きな比重を置いてバッターを査定する傾向にあります。
あのイチロー選手でさえもこの能力においては当初は低く査定され、打率2割8分がいいところであろうといわれました。
また、引っ張って打つことが少ないことから力不足などといわれましたが、見事3割5分を達成し、長距離力だけではバッターの能力を測ることができないことを証明したといえるでしょう。
バッターにはそれぞれ役割があり、その役割に適した能力で判断されるべきだと思います。
しかしながらホームランが選手にとってもスカウトにとっても魅力のあるものであることには変わりなく、そして現状においてスカウトが査定に利用する項目であることには変わりはありません。
長距離のヒットを打つにはバットヘッドのスピードが速いことが重要です。
この資質をもった選手は、バッティング練習などでは常に柵越えを連発し、400フィートくらいの飛距離を出せるといわれています。
アマチュア選手の打撃、とくに金属バットを利用する選手を査定する場合には注意を払う必要があります。
金属バットは木製バットよりも広いスウイートスッポト(“芯”)を有し、木製に比べ軽いためにヘッドスピードを早くすることが可能であり、飛距離においては約18%距離が伸びるとされています。
よって、400フィートの距離を飛ばす選手は金属で470フィートくらい飛ばすことができます。
金属バットを使用していた時はホームランバッターであった選手が、木製バットでは月並みなバッターになってしまうことがしばしばあります。
ですから、プロになる前に木製バットに慣れておくことが高校生や大学生の選手にも求められるのです。
≪変化球への対応ならびに広角力≫(ポイント5,6,7)
変化球への対応能力は、スイングのバランスそして自然体で構えることのできる能力などに大きく由来します。
一言でいえば、いかに突っ込まずにボールを打てるかということです。
構えた位置から、頭がほぼ同位置にある状態でスイングができる選手は変化球への対応を用意に行えます。
もちろん例外もあります。
例えばイチロー選手などは突っ込みながらも類まれなミート力とバットコントロールにより通常は変化球の対応に苦しむとされる“突っ込む”という癖を難なく補ってしまっています。
これもまた、生まれもった能力により技術的な部分をカバーしてしまっている例といえますが、一般的にスカウトは、ステイビハインドといって突っ込みの少ない選手を高く評価しています。
様々な変化球が多投される最近の状況下では、広角に打てることの意義もますます高まっています。
先に述べたステイビハンイドはここにも大きく関わってきます。
ボールをじっくり待つことができなければ、打球を左右に打ち分けることも可能ではないからです。
≪大きな舞台・プレッシャーにどのように対応しているか≫ (すべてのポイント)
プレッシャーへの対応は非常に重要で、メジャーの舞台という想像しがたい大きなプレッシャーに対応できるかどうかを見極める材料になっています。
評価は、プレッシャーのかかる場面やゲームにおいてより力を発するのか?それともプレッシャー下では力を十分に発揮できないのか?
スカウトは数字だけを見ているわけではなく、例え結果は出ていなくとも内容的にはプレッシャーに負けていない様子が伺えれば評価となります。
どのような状況においても最後まであきらめず戦っている姿を見せたいものです。
≪優れたピッチャーに対する対応≫ (すべてのポイント)
ある程度の技術のあるバッターが、平均的なピッチャーを打てるのは当たり前ですが、90マイル以上の速球の投手にどのように対応するかもスカウトがチェックするポイントです。
≪選球眼とプレート上で待つ姿勢≫(ポイント3,4,5,6,7)
選球眼と良い球を待てる能力は非常に重要なポイントです。
スカウトはボール球にちょくちょく手を出すバッターを好みません。
これは、統計学的にもいい結果を残せないという当然の結果から来るものです。
メジャーで3割、30-40ホームランの選手は、おおよそ90個ほどの四球を稼いでいるでしょう。
2割5分打てる選手(4打数1安打)が、1試合に1つ四球を選べるようになると3割3分の打者(3打数1安打)に変身してしまいます。
そして、出塁率も5割にアップでき数字的にもいいものが残せるようになるのです。
もちろん選んでばかりではなく、自分のストライクゾーンにおいては積極さを忘れずに、ストライクゾーン外のボールを冷静に見送ることのできる姿勢がスカウトの目に止まるホームプレート上でのよい姿勢といえます。
≪試合結果と総合判断≫ (すべてのポイント)
数字がすべてではありませんが、2割2分の成績のバッターをドラフトするには相当の理由と勇気が必要ですので、やはりある程度納得がいく数字的な内容が伴っていることが望ましいといえます。
総合的な判断は試合結果を含む上記すべてからはじき出されます。
様々なチェック項目のうち、やはりミート力が優れたバッターを発掘することが将来のメジャーリーガー発掘のキーポイントとなっています。
どんなにパワーがあってもミート力がなくては宝の持ち腐れになってしまうことからも重要性が問われるポイントです。
●Running Speed(走力)
足の速さは守りにおいても打撃においても共通して重要な能力といえます。
早く走る能力には打撃におけるようなスランプがないという信頼度の高い運動能力として捉えられ、選手の選択において重要な位置を占めています。
足の速さは、近代の野球において大きな意味を持っています。
特に、人工芝を利用する球団にとっては球足が天然芝より速くなることから、足の速い選手の起用によって余計な塁を与えない努力をしなければなりません。
また、このように足の速い選手は、盗塁という攻撃的な武器を使って相手を揺さぶることにも利用できることからも重要視されます。
こんなことからもイチロー選手がいかに優れた選手かが見えてきますね。
走力の計測は通常60ヤード走・ホームからファーストへのタイムによって行われます。
メジャーの選手の平均60ヤード走タイムは6.9秒と言われています。
足の速さは外野手には特に求められ、センターを守るには6.6秒で、両翼は6.8秒で60ヤードを走れることが求められます。
もちろん、多くの外野手が打撃力を買われていることから、特に打撃力のある選手にはこの基準を当てはめないこともしばしばあることです。
そしてホームからファーストへのタイムのメジャー平均は4.3秒と言われています。
ホームからファーストへのタイムはバットにボールが当った音が聞こえると同時に始まり、ファーストベースを踏んだ時点で終了となります。
メジャーでは4秒でこの間を走る選手を足の速い選手と評価します。
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●Catcher(キャッチャーの評価)
試合を有利に進めるためには、キャッチャーに高い質が求めれれます。
キャッチャーはグランドでのリーダシップを発揮し、バッターとの駆け引きをピッチャーと共同で行い、ゲーム全体を組み立てる役目ができなければなりません。
キャッチャーは体が頑丈で、常にゲームに参加できる体力を有し、ゲームにおける責任ある役割、すなわち守りの要を果たせる者でなくてはなりません。
グラブさばきがうまく、機敏に動き、ワンバウンドの投球も難なく受け止める技術が必要です。
メジャーレベルのキャッチャーは投球を受けてからセカンドへ送球するまでに平均2秒かかり、速い者で1.8秒でこれを行うことができます。
キャッチャーのセカンド送球を2-8のスケールで区分けすると以下のようになります。
≪2塁送球スピードスケール≫
8:1.7秒以下
7:1.7-1.8秒
6:1.8-1.9秒
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4:2.0-2.1秒
3:2.1-2.2秒
2:2.2-2.3秒
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●Player Make-up(プレーヤーの資質)
プレーヤーの資質はメジャーにおける成功において非常に大きな要因となっています。
先にも述べたように、サミー・ソーサ選手の成功が彼の技術的そして肉体的な才能にのみあるのではなく、精神的な強さにも由来していることからも明白といえるでしょう。
よって、肉体的に高い資質を持っていても、精神的な強さのない者は成功しないのが米国野球界の通説となっています。
ドラフト後、それまでスター扱いされていた選手たちがマイナーリーグに送られ、家から離れた状況下で、多くの選手が初めて大きな屈辱を味わったりすることとなります。
例えば、初回に打ちのめされ降板・・・4打数0安打のような結果に常に直面することになります。
この苦悩を乗り越えることができる選手のみがメジャーの舞台を踏む権利を勝ち得るのです。
多くの高校卒の選手はまず初めに家から離れて暮らすことに慣れなければなりません。
また、長い遠征バスの旅や、暗い照明下でのゲーム、悪いグランドコンディションでのプレーなど、今までの環境と違う状況下で精神的な苦痛を経験することになります。
大学卒の選手にとっては、すべてにおいて今までの良い恵まれた環境の野球とは違う、環境的には下のクラスの野球を強いられることとなります。
大学卒の選手は高校卒の選手よりは多少精神的にタフではありますが、大学卒の選手は学位を持っているため野球以外の他の選択肢もあるという面において、短期で野球人生を決定しがちです。
2年経っても芽が出ないようであれば多くの場合彼らは野球をあきらめる傾向にあります。
マイナーリーグでは結果がすべてですので、いかに多々ある困難を克服しながら常に良い成績を残すかがメジャーへの道を開いてくれます。
≪プレーヤーの資質チェックリスト≫
(a) 資質
成功への強い意志、指導に対する柔軟な姿勢、精神的な発育の程度、気の短さ、向上心、ハングリー精神、野球知識、負けん気の強さをチェックしています。
(b) 身体の成長度
身長はまだ伸びているか?体重は減らせるか?または増やせるか?足の速さは現状が限界か?技術的にピークに達しているのか?過去に怪我はあったか?前年と比べどのくらい上達したのか?など。
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2回連載でお届けしましたメジャーリーグのスカウティングレポートはいかがでしたか?
プロ野球で活躍することが全てではありませんが、こういった視点で選手を見てみるのもおもしろいですよ!!
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