KYJ 2019 Spring
By M.G.Satchidananda
多くの科学的な証拠によって報告されている通り、気候変動による生存の危機に不安を抱いているあなた方の多くの人達と同様、私も温室効果ガスを削減するために何ができるのか自問しています。その為の対策として多くの項目が挙げられ、それにはゴミのリサイクル、自然ゴミの堆肥化(コンポスト)、カープール、エアコンの設定温度調整、再生エネルギーの活用などが含まれていますが、最も効果的なことが殆どいつも無視されています。20年前にジョン・ロビンズは「新しいアメリカのためのダイエット」と題する本を著しました。その本は多くの統計資料を通じて、仮に半数でもアメリカ人が菜食主義者になったとすれば、アメリカは石油の輸入に頼る必要はなくなり、北米で最も一般的な死因(ガン、心臓病、糖尿病)を大幅に減らし、地球温暖化の問題の大部分を解決できることを証明した特別優れた作品でした。その理由は、世界の温室効果ガスの20%近くが、家畜と、家畜の食糧及びそれに必要な肥料に必要な化石燃料を燃やすメタンガスから生じるからです。
ですから、ヨーガの全ての生徒が地球温暖化を解決し、化石燃料の過剰消費の問題を解決するために出来る最も重要なことは、菜食主義者になるのみならず、友人、家族、同僚が菜食主義者になるよう勧めることです。彼らを夕食に招待なさい。それは簡単なことですし、楽しみでもあります。あなたの気に入ったレシピを教えてあげなさい。菜食主義者になることのメリットを伝えなさい。植物性タンパク質を紹介しなさい。
おそらくは、多くの人にとって菜食主義者になることに対して最も大きな抵抗となる理由はタンパク質に対する妄想でしょう。というのも、それは筋肉を作り、人々に充足感を与えるからです。多くのアメリカ人、ブラジル人、欧州人は毎日タンパク質、特に動物性タンパク質を摂取しすぎています。ですから家族と友人に新たな菜食主義者のレシピを奨めることとは別に、通常は植物性タンパク質についての事実、特に健康と温室効果ガスに関連する事実を紹介することが重要なのです。
昨今の多くの研究が、動物性タンパク質の過剰摂取(特に赤身の肉)と、第二種糖尿病、心臓廟、癌を含む多くの慢性的な病気との関連性を証明しました。赤身の肉には飽和脂肪酸が多く、ベーコンやソーセージのような加工食品は発癌性の保存料と化学品を含みます。しかし植物に含まれるタンパク質はその反対のことに関連しています。即ち、それが含んでいる食物繊維、健康的な脂質、微量栄養素のお蔭でこれらの同じ病気に罹患する確率は低く、長生きできるのです。
牛肉(の摂取)を、大豆・えんどう豆・ナッツのようなタンパク質を多く含む植物に替えることは健康と長寿に役立つのみならず、世界経済フォーラムが1月に発行した報告書によれば、地球の健全性にも有益です。この報告書では、もし地球上の人類が、牛肉を他のタンパク質に替えるという一つの変更が、温暖化ガスの排出を25%削減し、先進国での食生活に関連する死因を5%減らすだろうと予測しています。これは、家畜を飼育することは広大な敷地と水を必要とし、それが大気に温暖化ガスを排出するので環境にたいする負荷が高いことによるものです。
独立系の市場調査会社ミニテル社のデータによれば、2018年にアメリカの消費者の三分の一は、翌年には植物由来の食品をもっと使う予定でいます。多くの会社が、豆類・藻類・ナッツ・穀物を使い、植物性タンパク質の食材を開発或いは改善しようと競争しています。
豆類
豆類はタンパク質のみならず食物繊維・鉄分・カリウム・アミノ酸を豊富に含んでいるので、(牛肉を)豆類に替えることは大幅な健康増進を意味します。そして地球にもとても良いのです。気候変動に関する2017年の報告書は、アメリカ人が牛肉の代わりに豆類を食べ始めたら、2020年までに温室効果ガス削減目標の74%を達成できるとしています。
ナッツ
ナッツ類を主要なタンパク質摂取源とすることは、牛肉に関連する病気のリスクを低下させるだけでなく、重要な栄養素を取ることに繋がります。どの種のナッツを取るかによってその恩恵は異なりますが、殆どの種類のナッツはタンパク質・良性の脂肪・ビタミン類・ミネラル分を含んでいます。世界経済フォーラムの報告書によれば、ナッツ類は生産過程で二酸化炭素を事実上発生しないので、二酸化炭素削減にとって最善のタンパク質とされています。
肉もどき
植物で肉を食べたように感じたい人にとって、現在はより多くの選択肢があります。最も一般的な肉の代用品である豆腐は3オンスで、食物繊維・良性の脂肪・レシチンと共に10グラムのタンパク質を含みます。それは肉類と比べ、温暖化ガスへの負荷もより穏やかです。肉のような食感と味を簡単に実現できてタンパク質の豊富な小麦グルテンの人気が高まっています。えんどう豆もベジ・バーガーのような多くの製品に多く使われるようになってきました。
藻類
スピルリナまたは藍藻は、ジュース・バーの商品として一般的になってきています。医学雑誌「ランセット」の報告書によれば、それは卵に似た滋養分を含みます。他の多くの食材に混ぜることができます。殆ど温暖化ガスを排出せず、肉の替わりに摂取すれば、大豆やそれ以外の家畜用の飼料による森林伐採を削減することが可能です。
大人が一日に必要なタンパク質どのくらいなのでしょうか?
この質問に対する答えを知らないために多くの人が肉食を正当化しています。
多くの栄養に関係する機関が推奨するタンパク質摂取量はかなり控えめです。
DRI(食事摂取基準)は、体重1Kg足り0.8グラムです。これは、余り運動をしない成人男性に対して56グラム、女性に対して46グラムです。
この不十分な量は欠乏症を防ぐのに十分だと思われますが、各種の調査は、理想的な健康と肉体を保証するのには程遠いものだということを示しています。
いかなる個人に対する適正なタンパク質摂取量も、その活動レベル、年齢、筋肉、目指す体格、現在の健康状態を含む多くの要因に依存していることが判ります。
タンパク質のグラム数が本当に意味するもの
これはとても一般的な誤解です。
栄養学(科学)においては、タンパク質のグラム数は主要栄養素としてのタンパク質のグラム数を指し、肉或いは魚と言ったタンパク質を含む食材のグラム数ではありません。
8オンスの牛肉は226グラムありますが、実際のタンパク質は61グラムです。同様に、大きな卵一つは46グラムありますが、タンパク質の量は6グラムです。
平均的な人についてはどうでしょうか?
健康的な体重であれば、体重を増やすことなく、激しい運動もせず、体重1Kgにつき0.8~1.3グラムが無理のない数値です。これは次のようになります。
・平均的な男性の一日当たり所要量は、56~91グラム
・平均的な女性の一日当たり所要量は、46~75グラム
例外的な環境
肉体的な運動をしている人は、坐って仕事をしている人より多くのタンパク質を必要とします。
若しあなたの仕事が肉体的な作業を必要とするか、沢山歩くか、走る、泳ぐなどの運動をしているのならより多くのタンパク質を摂取する必要があります。
老人もかなり多くのタンパク質を必要とし、DRI(食事摂取基準)の150%、或いは体重1Kg当たり1~1.3グラムです。
これは老人にとって重大な問題とされる、骨粗鬆症とサルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)を予防する助けになりえます。
筋肉量を増加させる
多くのタンパク質を摂取することは、四六時中少量のカロリーを消費してくれる筋肉量を増加する、或いは維持することの助けになります。
既に作り上げた筋肉を維持したい人達は、体脂肪を減らす時にタンパク質の摂取量を増やす必要があります。というのも、それは通常ダイエット中に起こる筋肉量の低下を予防できるからです。
筋肉量のことになると、様々な研究は通常カロリーの割合ではなく、体重当たりのタンパク質の摂取量に言及します。筋肉量を増加させるための一般的なん推奨規準は、体重1キロ当たり2.2グラムです。
減量とタンパク質
減量するとなると、タンパク質は信じがたいほど重要です。ご存知と思いますが、体重を減らすためにはあなたが燃やしているより少ないカロリーを摂取する必要があります。科学的に十分な根拠があることですが、タンパク質を摂取することは、新陳代謝の効率を押し上げて食欲を減少させることで、あなたが燃やす熱量を増加させることができます。
一日の総カロリー数の25~30%をタンパク質にすることは、低タンパクのダイエットと比べて新陳代謝を80~100カロリー押し上げます。
しかし、タンパク質の摂取の減量に対する一番重要な貢献は、多分食欲を減少させてカロリー摂取量を同時に減らすことでしょう。
これらの調査結果によると、総摂取カロリーの大体30%をタンパク質にすることが減量に理想的と言えるでしょう。
(Part2はヴィーガン、ヴェジタリアンにとって最上のタンパク源など)