ババジ関連記事 翻訳版

ババジのクリヤーヨーガジャーナルなどに掲載された記事などを翻訳し、クリヤーヨーガの修行者の参考にして頂くものです。

4.クリヤーヨーガの修練から如何に最大の成果を引き出すか

2018-05-06 11:19:47 | スピリチュアル
BKYJ 2018 Winter
By M.G.サッチダナンダ

 この問いかけに対する簡潔な回答は相乗作用であり、ババジのクリヤーヨーガの初心者であれ20年以上修練を続けてきたものであれ、すべての修行者にとって重要なことである。相乗作用は二人若しくはそれ以上の人数、或いはものが、夫々個別に生み出すことの出来る能力以上の結果を出そうとして一緒に働いた時に生じる。二三の実例を挙げると、相乗作用は組織、種族、良い結婚によって起きる。また、ババジのクリヤーヨーガの五重の道でも起きるが、それらはクリヤー・ハタ・ヨーガ、クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマ、クリヤー・ディヤーナ・ヨーガ、クリヤー・マントラ・ヨーガ、クリヤー・バクティ・ヨーガから成る。長い回答は、これらをそれぞれ検証することで理解される。

 物理的な肉体において、クリヤー・ハタ・ヨーガはアーサナ(リラックスの為に肉体のポーズ)、バンダ(筋肉の締め付け)、ムドラー(心理物理学的な身振り)を含み、これらは肉体の健康、安らぎ、主要なナーディ(気脈)とチャクラ(エネルギー・センター)の覚醒をもたらす。ババジは、順番にそして対で教えられる特に有効な18のポーズを選んだ。我々は肉体それ自体を気にかけるべきではないが、「神」の乗り物或いは「宮」として大切にすべきである。

 生気体において、クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマはあなたの潜在能力と意識を目覚めさせ、脊椎基底部と頭頂の間にある七つの主要なチャクラにプラーナを循環させる強力な呼吸の技法である。それは七つのチャクラそれぞれに眠っている能力を目覚めさせると共に、存在の五つの象限すべてであなたを活性化させる。

 メンタル体において、クリヤー・ディヤーナ・ヨーガは心を支配する科学的な技法を教える漸進的な一連の技術であり、それは潜在意識を浄め、集中力と感情の清澄さ、創造力を高め、知的で直観的で創造的な能力を目覚めさせ、神と合一した無呼吸の状態であるサマディと「自己」実現をもたらす。

 知性体において、クリヤー・マントラ・ヨーガは、直観、知性、チャクラを目覚めさせる精妙な音の静かの心の中の繰り返しである。マントラは自己中心的な心の中のお喋りの代わりとなって、大量のエネルギーが知性体に蓄積される。マントラはまた、潜在意識下の傾向や癖を浄化する。

 霊体において、クリヤー・バクティ・ヨーガは「神」に対する魂の向上心を養う。それは無条件の愛と霊的な至福を目覚めさせるための献身的な行為や奉仕を含んでいる。更に聖歌の詠唱や歌、儀式、巡礼そして礼拝をも含む。あなたが全てのものの中に「最愛の人」を認識するにつれ、徐々にあなたの全ての行動は甘美さに満たされるだろう。

 これらの内のどの方法による修練も、あなたが無視したり、理解したりしていないうちに、他の種類に影響しているということを忘れないことが重要だ。従って、もしあなたが上記の内のいずれかに必死に取り組んでいるのなら、またはあなたが最早進歩していないかのように感じるなら、この記事は、相乗作用の原理を適用することで、あなたの修練がどれほど利益を得ることが出来るかを説明することになろう。我々の最も神聖な存在の次元、そしてあなたが全ての見かけ上の相違を超越し、すべての良きものが発するところの霊性から始まって、これが如何に展開するかを考えることは役に立つだろう。

クリヤー・バクティ・ヨーガの相乗作法
2017のクリヤーヨーガ・ジャーナルの春季号に、「バクティ・ヨーガの七つの形態、愛と献身の道」という記事を書いた。バクティ・ヨーガにおいて、あなたは「神」との関係を成長させる。「神」とは誰なのか? あなたは崇拝するあらゆる姿での「神」、例えばイエス、クリシュナ、シヴァ、仏陀、ババジ、聖人を想像するかもしれないし、絶対的な実在のような人格を持たない至高の実在、「意識」、至福、ブラフマン、思考の恩寵の光を想像するかもしれない。この「神」との関係は、「私は誰なのか」というあなたの考えと共に進化するだろう。当初「神」は離れた処にいるように見えるか、あなたのある望みを叶えてくれるよう祈る対象と思えるかもしれない。スピリチュアルな教本や「神」を体験した聖人の説明を学習することは、この、「神」に近付き、親しくなるという過程の中であなたに希望を与えるだろう。

バクティ・ヨーガの七つの形態とは、
1. シャラヴァナ:聖典や神聖な物語を聞くか、読むこと。バガヴァッド・ギーター、ラーマーヤナ、パタンジャリのヨーガスートラ、ウパニシャッド、ヴォイス・オブ・ババジはあなたが神を愛するよう導き、動機付け、あなた自身を浄化し、こうした本の中に描かれた気高い英雄があなた自身の手本となるだろう。特に「神」を求め始めた初期の段階において、これらの物語や教本は、古い習慣、記憶、癖から生じる抵抗を克服する助けとなることができる。
2. キルタナ:一人またはグループでの成果の詠唱、神の讃美、献身の歌。目的は美しい音楽を奏でることにあるのではない。あなたが上手に歌えなくても構わない。それはいつでも実行できる。キルタナを実践する最も良い時は、あなたが悲しんでいる時、落ち込んだ時、或いは心配事がある時だ。目的は感情のエネルギーを愛の感情、喜び、そして明け渡しへの変容させることだ。厄介な感情を洗い流すためのシャワーを浴びながら始めなさい。
3. スマラナ:いつも「神」を忘れずにいること。これは、あなたの最も気に入っている「神」のイメージ、即ちイシュタ・デヴァータを思い起すこと、または人格を持たない絶対的実在、「意識」、「至福」であるあなたの内なる意識の光のヴィジョンを保持することによっても可能だ。それは瞑想、聖典読誦、哲学的思索、巡礼そして「神」の崇拝を通じて強固なものとすることができる。
4. セヴァ:無私の奉仕。あなたが愛情を注いだり他者に対する愛を現わしたりするあらゆる行為がセヴァである。もしそれをすることに対するあなたの動機が、あなたの個人的な必要性または評価への配慮なくして行われるのなら、それがあなたの仕事であったとしてもそれは無私である。それはカルマ・ヨーガの性質に満ちており、そこではあなたは結果に執着せず、「神」が全てを行い、あなた自身を単なる道具として見ており、観察者として行動している。
5. アルチャナ:内面的なものであれ外面的なものであれ、一人で或いはグループで行う礼拝。礼拝の対象物が紙、粘土、金属または木であろうがなかろうが、それは一時的なものであって、「神」への窓として供されている。実際、あなたは礼拝の対象物があなたの無条件の愛に見合うものであるかの如く振舞う。結果的に、あなたは無条件の愛を体験し、それがあなたの関係の全てに浸透しはじめる。
6. ヴァンダナ:崇拝、「神」の前に身を屈すること。これは単に肉体上で行われるのみならず、あなたの生命エネルギーの全てを大いなる熱心さをもって、主に対する奉仕と明け渡しに集中させることによってなされる。
7. ダーシャ:「神」の意志に従うこと。私の意志ではなく、あなたの「御心」が実現しますようにと繰り返し念じなさい。
8. サーキャ:世界中の全ての場所と全ての見せかけ、または形の中にある「神」を常に見る用意があること。
9. イシュヴァラ・プラニダーナ:「神」に対する完全なる明け渡し。パタンジャリのヨーガスートラの中で、イシュヴァラ・プラニダーナはクリヤーヨーガの三番目の要素である。その他の二つの要素即ち無執着と自己探求と共に、明け渡しは真我実現と苦しみの原因を弱める効果をもたらす。そして、心の「平衡」が続いて起こる。あなたは手放しで「神」にそれを委ねる。ヨーガスートラの第一章23節において、パタンジャリが更に説明していることは、我々の限られたエゴの意識を「神」に明け渡すことで人は成功裡に認識作用の埋没(即ちサマディ)を達成する。

上記バクティ・ヨーガのどの形態であれ、それを養うことで、あなたはヨーガの修練は向上し、或いは熱意を高める。向上心とは、「真」の、「善」なる、「美」しい「無条件の愛」を求める魂の切なる望みだ。それは怒り、抑圧、プライド、欲望、恐れといったエゴイズムの限られた視野とその現れを拒絶する。結果として、もしあなたがバクティ・ヨーガの強化を優先するのであれば、アーサナ、プラーナヤーマ、瞑想、マントラジャパを修練しようとの衝動を経験することになろう。修練に対する抵抗やエゴイズムから生じた扱い難い感情は、陽の光の中の水溜りのように、愛と献身の歓びのなかで蒸発してしまうだろう。

 超越することが容易になる。それがイエスであれ、ババジ、クリシュナ、シヴァ神または絶対的な実在・意識・至福であれ、あなたの献身の対象の性質をあなたは顕現する。

クリヤー・マントラ・ヨーガを修練することの相乗効果
ジャパとして知られるマントラの反復もまた、あなたが愛、純粋さ、謙遜、インスピレーション、集中力を高めるのに役立つ。あなたが最も惹かれるマントラとしてあなたの「神」の名前を選びなさい。あなたが顕現したいと望むマントラに関連する特性を感じるために、呼吸を静めて練習しなさい。その特性とは、例えばシヴァマントラの場合は静けさと無執着、クリシュナの場合は愛、ラクシュミの場合は豊かさ、サラスヴァティの場合は叡智といった具合である。数珠を繰り始める前に、マントラを108回唱えるまでは、決して心を他に向けないと自身に誓いなさい。あなたの集中力は高まり、結果としてあなたの瞑想はより深くなって気が散ることは少なくなるだろう。あなたの意志の力は驚嘆すべきものになる。あなたは人生の全ての次元で、あなたの意志を実現するだろう。瞑想の前にマントラジャパを実習することは、マインドの一点集中の下準備となる。

 マントラの修練は、心のお喋りに取って代わり、あなたのより高次の知性からインスピレーションを受け取るための余地を作り出す。結果的にあなたは直観から生じるより多くのインスピレーションや内なる導きを得ることになろう。人生で問題が生じた時、マントラを復唱することは解決策が降りて来る場をつくりだす。もし困難な感情で生気体が動揺しているのであれば、マントラがそれを宥め、心を静めてくれるだろう。

 クリヤー・マントラ・ヨーガの修練は、否定的なサンスカーラ(癖)やヴァーサナ(あなたが執着している困難な記憶)を中和するのに役立つだろう。それはあなたの心配、疑念、怠惰、肉欲、情緒不安定を含むヨーガの修練に対する障碍を取り除いてくれる。

クリヤー・ディヤーナ・ヨーガの相乗効果
 第一イニシエーションにおいて七つの瞑想法が伝授される。それらの相互作用は相乗作用の素晴らしい例だ。まず「無執着」(detachment)を養うシュッディは、集中力を必要とする二番目の技法、エカルーパの実施を助ける。それはまた翻って第三番目のイーネイルーパの下準備となり、そのように続いて行く。これが、あなたが全ての技法を順番に繰り返し練習することを求められる理由であり、夫々のセッションでその日の瞑想法を実施する前に、前日の瞑想法を手短に練習する理由だ。それらすべてを練習することで、そしてあなたが簡単だと思う技法だけを練習しないことで、あなたの弱点は強さとなる。そうでなければ、ジムに通って、既に強化された筋肉のトレーニングをするようなものだ。

 更に付け加えれば、夫々の瞑想の技法は異なった目的と効果を持っている。技法の最初のものは否定的な癖や記憶を持つ潜在意識を浄化するが、それが取り除かれない場合、実質的にあなたの修練を継続しようとする意欲を殺いでしまう。四番目の技法はあなたの知性、問題解決能力、コミュニケーション能力を高める。この能力は疑いを「課題」として明確にし、結果的にその答えと解決法を捜し、見つけ出す能力を含んでいる。五番目の技法は、あなたの人生におけるダルマ即ち使命を映像化して顕現させ、欲望を滅尽する能力を強化する。六番目の技法はあなたの直観力を高める。七番目の技法は、あなたの最も高次の「導き手」と対話する能力を養う。結論として、あなたのダルマ(使命)が明らかになり、人生の問題に正解を見出したり解決したりする能力が霊感に導かれて有効になるにつれて、あなたの修練に対する多くの障碍と同様に抵抗は取り除かれる。

クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマと関連する呼吸法の相乗効果
 ババジのクリヤーヨーガにおいては、第一イニシエーションで教えられるクリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマが、他の如何なる技法よりも「五体」(訳注:肉体、生気体、メンタル体、知性体、霊体)に対してより強力な効果を及ぼす潜在力を持つ。霊的な次元において、それはクンダリニをより高次のチャクラに上昇させ、それらが関連している心理的な状態を覚醒させる。それは心を静めて瞑想の下準備を行う。それは集中力と視覚化能力を高め、グルへの献身を深めて修行者を深い安らぎの中において真我に気付かせる。それを行うことは肉体を緊張から解放し、困難な感情を含んだ生気体を浄化する。結果として内なる「グル」が前面に出て来て、「真」、「善」、「美」に対する希みが高まる。

 ブラフマチャリア・オージャス・マトレーカ・プラーナヤーマ(第二イニシエーションで伝授される)の実習はあなたが性的な欲望を霊的な希みに昇華させることを可能にし、悟りの妨げとなる根源を超越と霊的な実現をもたらす手段に変容させる。第二及び第三イニシエーションで伝授されるそれ以外の多くのプラーナヤーマの技法は、喘息、普通の風邪、不眠症、疲労困憊、病気がちな体質を含む多くの機能的な問題や病気予防法或いは対処法となる。

クリヤー・ハタ・ヨーガの相乗効果
 アーサナ(ハタ・ヨーガ)が定期的に実習されると肉体を、不快感を伴うことなく静止させておくことができるので、瞑想がより容易になる。アーサナは気を散らせる原因となる、疼き、痛み、そして機能不全の元を改善することができる。他の体操のシステムとは異なり、アーサナの実習はリンパ節を活性化させる。我々が年を取るにつれて、リンパ節の適切な機能が、肉体及び精神的な健全さに対してますます問題を惹き起こすようになる。最低でも日に30分はアーサナを実習しなさい。

 18のポーズが定期的に実習されると、ナーディ(気脈)とチャクラ(生気体のエネルギー・センター)が覚醒する。それぞれのポーズが下位のチャクラから上位のチャクラへとプラーナのエネルギーを向ける。タントラによれば、意識はエネルギーに従い、それによって意識も目覚める。より高いチャクラに関連する心理的な状態があなたの人生の選択を支持する。瞑想中にあなたが容易に目覚めていられるというだけではなく、あなたの瞑想がインスピレーションに、より順応し易くなる。

 感覚を研ぎ澄まし、注意深くそして気づきをもって18のポーズを実習することは感情と精神的な平衡状態をもたらす。感情と欲望の座である生気体は静まる。あなたの人生で試練に直面した時、あなたはストレスをより上手に制御して恐れや反感の「鋭い刃」に対して静かに向き合うことができるようになる。あなたは心霊的な存在または魂の導き手の声がましますハートの中心をとらえ、そこに坐して自身の行動を導いていく。

あなたの修練から最大の成果を引き出す
 あなたのヨーガの修練の為、日に少なくとも二回、決まった時間を確保することを奨める。風呂かシャワーを浴びた後の早朝の時間(訳注:これはアメリカ人などの習慣に基づいて言っている)を、他の如何なる行動に対しても最優先としなさい。毎日五つのヨーガの支分のそれぞれから、幾つかの技法を実習しなさい。それをすることで、それらのいずれにせよ、実習によって得られる効果はあなたの五体を通じて何倍にもなるだろう。あなたの個人的な弱点が強みに変わるように、あなたがうまく出来ないか、それを行うのに抵抗を感じる技法を定期的に行うことを奨める。あなたが最も得意とする技法を修練することを更に一層楽しみなさい。
                                      以上


以上