定着部とは、用紙にトナーを乗せただけでは表面を指などでこすると取れてしまいます。
トナーは、アクリル樹脂などの石油製品でできていて温度で溶ける性質が有ります。
印刷の最終工程で、トナーを熱をかけて溶かして、用紙に密着させます。
この工程の事を「定着工程」といいます。
熱をかけるのですが、その温度は120度から170度の範囲と思います。
定着部は通常筒状(ローラー)になっています。
その筒の中にランプを入れて光エネルギーにより定着ローラーの表面を仕様の温度まで上昇させます。
そこで、お客様に問題
お客様のレーザープリンターはカラーですか?モノクロですか?
プリンターの場合、確認しにくいのでコピー機で説明します。 | |
通常のモノクロレーザープリンター(コピー機) |
筒状の定着部の色が黒い。
表面が硬い。
通常のカラーレーザープリンター(コピー機)
筒状の定着部の色が茶色い。
表面が柔らかい。
何故、このように違うのかを説明します。
先ずは事前説明:
定着ローラーは、用紙が通過する際に定着ローラーの温度が用紙に熱を奪われ下がってしまいます。
モノクロは、黒一色です。
と言うことは、用紙の上には一層のトナーしか乗っていませんので、このような硬いローラーでもいいのです。
硬いローラーの長所としては、定着部を用紙が通過する時に定着部に巻きつかないように「剥離爪」という
部品が付いています。
この部品はローラーに接触しているタイプが多いのです。
定着ローラーは回転しますので、剥離爪により定着ローラーが傷が付きます。
しかし、ローラーが硬いので、傷が付きにくいです。
軟らかいと、紙が詰まった時に無理やり引っ張った時に剥離爪がローラーに食い込み表面を破ってしまいます。
カラーは、4色を使います。
カラー印刷するためには4色を組み合わせますので、極端な場合4層のトナーが用紙表面に乗っていることが
有ります。
すると、4層のトナーを定着させるためには、1層より(モノクロより)沢山の熱が必要です。
ローラーの表面温度が下がらないようにゆっくりと通さなければなりません。
ゆっくり通すと言うことは、印刷速度もゆっくりとなります。
また、4層のトナーが乗っていると言うことは定着前の用紙の表面は凸凹になっているので硬いローラーです
と追従できないため、適切に定着できる部分とできない部分ができてしまいます。
それは困ります。 対応策です。
1 ローラーの温度が下がらないように、もっと熱を供給し、用紙がローラーが通過する時の接触面積を
大きくして熱が加わる時間を物理的に長くする。(軟らかいので接触面積が大きくなります)
2 軟らかい素材を使うことで表面の凸凹もうまく定着させるようにする。
このような理由で、カラーレーザープリンターの場合定着ローラーは弾力性のある軟らかい材質となっています。
ここで、紙詰まりの時の注意事項 (特にカラーレーザープリンターの場合です。)
定着部で紙が詰まったら、絶対に無理やり引っ張らないこと。
まず、定着部の圧力開放レバーを操作して圧力を開放する。
手で回すような取っ手が付いているのなら、それをまわし紙を取り易い状況となるまで回す。
最後の仕上げとして、紙をゆっくりゆっくりと印刷出口方向に向かって引っ張る。
プリンタによっては、印刷方向と逆に引っ張ると故障の原因となる(剥離爪がローラーに食い込む)ので
十分注意して意下さい。