厚生労働省のHPには、「労働時間・休日に関する主な制度」について、次のように書かれています。
法定の労働時間、休憩、休日
・使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
・使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません
さて、中学生の学校生活はどうでしょうか。
勤務校の日課はこのようになっています。
教室への入室時刻 8:30
帰りの会 終了時刻 16:30
生徒が学校に拘束されている時間 8時間
この「8時間」に驚きませんか。
大人でも労働時間を8時間と制限とされているのに、成長途中の12才から15才の中学生の一日の拘束時間が8時間です。
「中学生は体力があるから大丈夫」と思われる方もいるかもしれませんが、12才、13才の中学生の体と体力はまだまだ子どもです。
「中学生には休み時間があるから大丈夫」という方もおいでかもしれません。
中学生の1日の休み時間計は85分。
しかし、中学生の休み時間の実態は、休憩になっていません。
中学生は10分の休み時間にホームルームから別の教室へ移動します。
休み時間に生徒会活動、係活動、給食当番活動をする生徒もいます。
授業開始3分前着席を生徒に要求する学校もあります。
私の目から見て、中学生は始業から「さようなら」を言うまで、ずっと走り回っています。
さらに、多くの中学生は部活動に参加しています。
勤務校では、17時40分まで部活動をして、18時を完全下校としています。
部活動をする中学生の平日の学校の拘束時間は
9時間30分 です。
勤務校には、私に「疲れた」「眠い」と話す中学生がいます。無理もありません。
なぜこのように中学生にとって、厳しい状況があるのか。私は3つの理由を考えています。
1 勤務時間、労働時間の認識が低い教職員が少なくない
自分の周囲を見て、一般論を語るべきではないと心がけています。
しかし、多くの教職員は勤務時間の意識が低いと私は感じています。
教職員自身に勤務時間の認識が低いから、中学生の拘束時間が長いことについて問題を感じにくいのだと私は思います。
2 生活の全てを自分の歩む道のために捧げることの美徳
生活の全てを自分の仕事のために捧げることの美徳を否定しません。
社会で秀でた活躍をされているの多くはそうされています。
また、高度経済成長時には、多くの国民がそのように働いてきたから、比較的豊かな今の日本があると思います。
高度経済成長を支える国民を教育するためには、始業からから下校まで全力で取り組ませる学校教育は役立っていたと言えます。
しかし、これからは多くの国民が幸福な生き方を追求するべきだと思います。
これから追求するべきことは、家庭生活(私生活)と仕事を両立して幸せに生きることだと思います。
公立学校では、時間的にゆとりのある学習環境であるべきだと考えます。
3 中学生に自由時間があると問題行動を起こすという考える教職員が少なくない
生徒は自由時間に問題行動を起こす。多くの中学校職員はこう考えています。
2020年春の休校(分散登校)期間に、私の地区では中学生の問題行動が激増したという報告はありません。
問題はゼロではありませんが、激増はしていません。
ここ5年ほどで、部活動の時間は減っていますが、私の感覚では、中学生の問題行動が激増したとは感じません。
数十年前に比べれば、日本の家庭生活は豊かになり、家庭教育力も高まっています。
学校の拘束時間以外の中学生の行動の責任は家庭にあり、それをお任せできるようになりつつあります。
生徒の生活にゆとりがあって良いのです。
学校関係者は考え方を変えて、学校による生徒の拘束時間を減らしましょう。
このブログの読者で、教育行政の方や学校管理職の方がおいででしたら、学校による生徒の拘束時間を制限するルール(指針)作りを考えていただけませんか。
お子さんが学校に10時間近く拘束されていることに疑問を感じておられる保護者がおいででしたら、地域の教育委員会にその声を伝えていただけませんか。
学校職員の声よりも、保護者の意見の方が、教育委員会にははるかに影響力が大きいですから。