あや乃古典教室「茜さす紫の杜」

三鷹市&武蔵野市で、大学受験専用の古文・漢文塾を開講しました。古文教師の視点から、季節のいろいろを綴ります。

桃の節句④

2013-03-06 00:02:29 | 
それが証拠にとは言いませんが、
「平安貴族の間で、広く膾炙した和歌や漢詩を集めた」はずの、
和漢朗詠集には、「三月三日付桃」という項目があります。

が、その中身は、
「純粋に、桃の花の美しさを謳ったものではなく」
全て、仙郷絡みの歌です。

代表的な歌を、記してみましょう。

-三千年(みちとせ)になるといふ桃の ことしより 花さく春に あひそめにけり

(現代語訳)
三千年に一度、実をつけるという実が、
今年の春から、初めて花を咲かせるようになりましたよ

(注)
「三千年になるといふ桃」とは、
三千年に一度、果実が成るという西王母の花園の桃のことです。

「漢武内伝」には、
漢の武帝が、西王母より桃をもらって食べると、
あまりに美味しかったので、これを植えようとすると、
西王母が「此の桃、三千年に一たび、実を生ず」
と言ったという話が、載っています。

この故事を引いている和歌なわけです。

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