あや乃古典教室「茜さす紫の杜」

三鷹市&武蔵野市で、大学受験専用の古文・漢文塾を開講しました。古文教師の視点から、季節のいろいろを綴ります。

桃の節句③

2013-03-05 00:02:14 | 
中国で理想郷や仙郷を「桃源郷」と称するのは、
陶淵明の「桃花源記」に由来します。

古来、中国では、
桃は神仙(仙人です)に力を与える果実と考えられており、
邪気を払い、不老不死を与える植物として親しまれていたわけです。

女仙の頂点に君臨する西王母(せいおうぼ)の仙桃が、その代表ですね。
西王母の統べる仙郷は「瑶池(ようち)」と呼ばれ、
西方の崑崙山にあると考えられてきました。

ちなみに、男性の仙人を統べるのが、東王父(とうおうふ)。
彼の本拠地が、西の崑崙山に対する、東の蓬莱山(ほうらいさん)です。

日本における古文での「桃」の扱いが、呪術的な側面に限られているのは、
こうした古代中国の思想を、引きずっていたからだと考えられます

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