こんなに暑くて、アップダウンが激しくて、直射日光を受けて、景色が単調で、そして応援がまばらなフルマラソンは初めてだった。

マウイマラソン。
ひょんなきっかけと勢いから、初めての海外マラソンに夕夏と会社仲間で出場した。

日の出前のマウイ島。
朝5時にスタート。
マラソン大会で初めて先頭集団に入った。
真っ暗な島の道路を先頭集団の中で走る気持ちよさ。
でも、すぐにずるずると遅れ、一人、また一人と抜かれ始める。
朝陽が顔を出し、そびえる山々がとてもきれいだ。

そんなことを思っていたら、すぐに暑くなってきた。
陽を遮るもののない一本道。
海岸線を走っているはずなのに、急なアップダウンの連続。
ハワイ島と同じように火山活動によってできたこの島は、ゴツゴツと岩がちだ。

20キロを待たずして、心も体も弱ってきた。
これまでのマラソンでは常に周りに多くの選手がいて、一緒に走っているという気持ちが背中を押してくれていたが、こうも選手がまばらでは…。
そして、沿道には殆ど人がいない。
いても、泳いだり、のんびりしたりと、自分たちのバカンスに余念がない。
こんな暑い中で苦しそうに走っている選手たちには、理解と興味を示さない。
応援から力を貰うのが大好きな僕は、だれか応援してくれる人を探してフラフラな頭をキョロキョロさせる。
たまに、「Good Job!」、「Go! Run!」と言ってくれる人に、力を貰う。

残り、15㎞。
もう、フラフラ。
歩きたい。
青梅マラソンのときもよっぽど歩きたいと思ったが、今回はフルマラソンの分、その苦しみが長い。
歩きたい。
抜きつ抜かれつしていたおじいさんが、「私はもうだめです」と言って、遠く後ろへ下がっていった。
僕も歩きたい。歩いたら、どんなに楽だろう。
それでも、歩きたくない。

直前に読み返した村上春樹の『走ることについて語るときに僕が語ること』に書いてあった言葉を何度も頭の中で繰り返す。
「少なくとも最後まで歩かなかった」
そう、ただ、そう言いたいだけ。
理由なんてない。
なにか一つ、胸を張って言える、真実がほしい。

のどがカラカラだ。
給水のたびに、赤く色のついた謎のスポーツドリンクを飲む。
普段、給水は最小限にしかとらないのに、これほどに給水所が待ち遠しい。
永遠に続くと思われたビーチが終わり、リゾートエリアの広大な(いまいましい)ゴルフ場をどうにか抜けた。

景色というのは、それを見る人の精神的状況によって、こうも見え方が変わるものなんだ。
あんなにきれいだと思っていたマウイの景色が、目に入ってこない。
ただゴールしたい、いや、歩きたい一心。
なんとか、ぎりぎりという言葉がぴったりのゴール。

4時間43分。
ぼろぼろだ。
なんとか、完走したという感じ。
そう思っていたら、1時間間違えていて3時間43分だった。
1時間も間違えるほどだから、どれだけ頭が朦朧としていたかがわかる。
最初にスピードを上げた分、後半のヨレを多少吸収して、3時間台で走らせてくれたか。
気持ちとしては、4時間を超えていてもおかしくない走りだった。

他の会社仲間も無事に全員完走。
この大会が初フルマラソンの人が2人いた。
皆が疲れ切っていたが、達成感に満ち溢れた顔をしていた。

プールサイドで巨大ハンバーガーとハワイ特産の苦いビールで乾杯。
実は会社では殆ど繋がりのない僕らが、こうしてマウイのプールサイドでマラソンを熱く語りながらビールを飲んでいる。
考えてみると、なんとも妙な、変な、でもうれしい状況だ。


マウイマラソン。
ひょんなきっかけと勢いから、初めての海外マラソンに夕夏と会社仲間で出場した。

日の出前のマウイ島。
朝5時にスタート。
マラソン大会で初めて先頭集団に入った。
真っ暗な島の道路を先頭集団の中で走る気持ちよさ。
でも、すぐにずるずると遅れ、一人、また一人と抜かれ始める。
朝陽が顔を出し、そびえる山々がとてもきれいだ。

そんなことを思っていたら、すぐに暑くなってきた。
陽を遮るもののない一本道。
海岸線を走っているはずなのに、急なアップダウンの連続。
ハワイ島と同じように火山活動によってできたこの島は、ゴツゴツと岩がちだ。

20キロを待たずして、心も体も弱ってきた。
これまでのマラソンでは常に周りに多くの選手がいて、一緒に走っているという気持ちが背中を押してくれていたが、こうも選手がまばらでは…。
そして、沿道には殆ど人がいない。
いても、泳いだり、のんびりしたりと、自分たちのバカンスに余念がない。
こんな暑い中で苦しそうに走っている選手たちには、理解と興味を示さない。
応援から力を貰うのが大好きな僕は、だれか応援してくれる人を探してフラフラな頭をキョロキョロさせる。
たまに、「Good Job!」、「Go! Run!」と言ってくれる人に、力を貰う。

残り、15㎞。
もう、フラフラ。
歩きたい。
青梅マラソンのときもよっぽど歩きたいと思ったが、今回はフルマラソンの分、その苦しみが長い。
歩きたい。
抜きつ抜かれつしていたおじいさんが、「私はもうだめです」と言って、遠く後ろへ下がっていった。
僕も歩きたい。歩いたら、どんなに楽だろう。
それでも、歩きたくない。

直前に読み返した村上春樹の『走ることについて語るときに僕が語ること』に書いてあった言葉を何度も頭の中で繰り返す。
「少なくとも最後まで歩かなかった」
そう、ただ、そう言いたいだけ。
理由なんてない。
なにか一つ、胸を張って言える、真実がほしい。

のどがカラカラだ。
給水のたびに、赤く色のついた謎のスポーツドリンクを飲む。
普段、給水は最小限にしかとらないのに、これほどに給水所が待ち遠しい。
永遠に続くと思われたビーチが終わり、リゾートエリアの広大な(いまいましい)ゴルフ場をどうにか抜けた。

景色というのは、それを見る人の精神的状況によって、こうも見え方が変わるものなんだ。
あんなにきれいだと思っていたマウイの景色が、目に入ってこない。
ただゴールしたい、いや、歩きたい一心。
なんとか、ぎりぎりという言葉がぴったりのゴール。

4時間43分。
ぼろぼろだ。
なんとか、完走したという感じ。
そう思っていたら、1時間間違えていて3時間43分だった。
1時間も間違えるほどだから、どれだけ頭が朦朧としていたかがわかる。
最初にスピードを上げた分、後半のヨレを多少吸収して、3時間台で走らせてくれたか。
気持ちとしては、4時間を超えていてもおかしくない走りだった。

他の会社仲間も無事に全員完走。
この大会が初フルマラソンの人が2人いた。
皆が疲れ切っていたが、達成感に満ち溢れた顔をしていた。

プールサイドで巨大ハンバーガーとハワイ特産の苦いビールで乾杯。
実は会社では殆ど繋がりのない僕らが、こうしてマウイのプールサイドでマラソンを熱く語りながらビールを飲んでいる。
考えてみると、なんとも妙な、変な、でもうれしい状況だ。


※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます