かかりつけのお坊さん 奮闘編

転勤も定年もリストラもない、失うものは何もない最強な坊主が日頃の“感謝”を言葉にこめて、日常を綴ります。

すっかり降ろしてきた

2011-11-25 21:51:12 | 始中終 事の始まりは
「起」

“君はまだ、抱いていたのか!!”

私がタイトルにさせていただいたこの言葉。
明治の初期に輩出した、禅宗の学僧原坦山の言葉です。

坦山は、友人の僧と修行の旅に出ていました。
ある時、川岸にさしかかったのですが、その川に橋が
なく、二人は法衣を脱いで裸で川を渡ることにしました。

ところが、その川岸の近くに、川を渡れないで
困っている娘がじっと立ちすくんでいました。
でも、二人は修行僧の身、女性に触れるのは戒律に
反することです。
友人の僧は、目もくれずに川を渡っていったのですが、
坦山は、その娘を背負って川を渡ったのです。

そして、二人はまた旅を続けたのですが、しばらくして
その友人が「君は出家の身でありながら、娘を背負うとは、
そんなことをして、恥ずかしくないのか」と坦山を問い詰
めました。
そのときに、坦山が返した言葉がこれ。。。

「君は、あれからずっと娘を抱いていたのか。
私はあの時、すっかり降ろしてきたよ」


遠く過ぎ去ったころの“恨み”“辛み”を、どこかに
背負いながら、歩いている私のことかも、知れません。

団塊世代と言われ、そう思うとなぜか、安心して
生きてきた、一人の悪業“坊主”が、走り始めます。
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3 コメント

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Unknown (おやじライダー)
2012-12-05 04:59:22
背負って渡ったのは「布施行」だったのでしょうか。
それとも「利行」だったのでしょうか。
HIROSHIMA 飲酒運転ゼロ PROJECTを応援したいと思いますが、どうしたらいいのでしょう?
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はじめまして (B級坊主)
2012-12-05 08:35:25
>おやじライダーさま
コメントありがとうございます。

>背負って渡ったのは
はい。布施行であり、利(他)行だと思います。
相手のために自分が動くことを、布施(行)といいます。
出家なとどという大げさなことをしなくても、日常、私たちが普通にできる行いのことです。

>HIROSHIMA 飲酒運転ゼロ PROJECT
この取り組みは、どうしたら飲酒運転がなくせるかを、県民みんなでかんがえようというものらしいです。
福岡県では、数年前、飲酒運転によって幼い子どもさんが亡くなられる事故がおこりました。
福岡でも、このような取り組みが行なわれています。
HIROSHIMA 飲酒運転ゼロ PROJECTでは、飲酒運転根絶に向けての、意見や提言を募集しておられます。
詳しくは、中国新聞のHPをごらんください。
返信する
Unknown (おやじライダー)
2012-12-07 02:22:51
ははあ。なるほど。
プロジェクトについて教えていただきありがとうございます。
県民全員で考えようとは素晴らしい取り組みだと思います。
実は私も小学生に自転車教室をしたり、高校生に原付の実技講習をしたりと、交通安全の啓蒙に取り組んでおります。
日頃から悲惨な事故が無くなってほしいと願っております。
中国新聞のHPは、早速調べてみたいと思います。
ありがとうございました。
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