あてれん家の人々

酒好きとぉちゃん、とぼけたじじ&ばば、盗み喰い大魔王のワンたちを書き綴ったある一家の恥物語。

ボーナス

2006-07-22 | かぁちゃんの巻き
『ボーナスは20日に支給します。』

朝礼で社長が渋い顔をしながら言う。

ホントだべな。出るんだべな。みんなが心の中で疑う。


午後、社会保険庁で用事を済ませた社長が鼻息を荒くして帰ってきた。

『本当に役所のヤツラの態度は悪いぞ!弱いものにはめっぽう強いくせに

強いものにはヘコヘコしやがって!ろくに仕事もしないくせによぉ!』


その言葉、そのまんまアンタに返してあげたい。

喉まで出かかったが、ボーナス前なので言葉を呑んだ。


20日。朝から社長はいない。

経理のオバちゃんは昨日から察知して、ボーナスの準備をしていてくれた。ホッ。

途中、出先の社長から経理のオバちゃんに電話が入った。

『どーする?まさか、‘ボーナス支給額を減らせ’って言うんじゃない?』

一同、うなずく。ありえる。ヤツなら・・・。

『支給した後でかけなおしちゃおうか?』

こっちも対策を練る。社員はいつも一致団結で社長と戦っている。



どうやら電話の内容はまったくの別件だった。

ボーナスはいつもと変わらない普通郵便並みの・・いや、それ以下の封筒で手渡された。

毎回、もらうまで冷や汗モンだよ。


さて、昨日の金曜日はちょっと忙しい。

社長も含め、全員総出で倉庫の荷物発送の手伝いをしなくちゃ、間に合わない。

しかし、アタシくらいベテランになると、手も動くけど口も動く。

クォンサンウ様の話から、扁桃腺の話題まで、果てしなくおしゃべりをしながら

動き回っていた。


どういう流れだったか思い出せないが、話題は『ケチ』についてに変わっていた。

社長が自分の兄弟のケチ振りを自慢している。

『オレの姉のうちは、金遣わないゾォ。貯まる一方だぞ。』

『なぁ~に言ってんですか、社長!社長の座右の銘は 拾う・もらう・値切る じゃぁないっすぁ!』

とうとうかぁちゃんがこらえ切れずに言ってしまった。

ボーナスが出た後なのでコワいものなし。

社長が続く。

『拾う・もらう・値切る・・。オレの一番好きな言葉だ。



またまた話題は変わり、スポーツネタになった。

『オレ、こう見えても一応、スポーツなんでもできるんだよ。』

『社長、泳げるんですか?』

『あったりまえさ!昔は倉沼川の河童と呼ばれていたんだ。あの川のようにまっすぐ素直に育ったんだ。』

『一体、どこらへんで屈折しちゃったんですか?』

間髪いれずにあてれんが突っ込む。

『だはは~。いつからかなぁ~。』

なぜか嬉しそうに答える社長・・・。


この人には何を言っても無駄な気がした・・・。