真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

勇気なき予算

2010-12-31 17:52:37 | Weblog
南米・ボリビアで、ガソリンが一気に73%値上げになった。
突然原油価格が高騰したのか?
そうではなかった。

これまで原油の値上げがあっても、政府は補助を出して価格を抑え続けてきたが、要は政府に金がなくなって、補助し続けられなくなったのだ。

突然の発表に激怒したボリビア国民が、暴動を起こした。

一方、ヨーロッパ。
ギリシャ危機の一番の根幹は、いい加減な税制と役人天国だったことははっきりしている。
なにせ役人の数は人口のおよそ1割、労働人口に占める役人の数は25%。働いている4人に1人が公務員という「役人天国」。

こんな大きな政府が、大きな経済成長を伴わずに維持できるわけがない。

ひるがえって、我が日本。
税収の倍の予算を組んだ。
41兆円の税収に対し、92兆円の予算。
(税外収入は7兆円)。

簡単に言えば、年収410万円の家庭で、920万円を使うと言っているのである。

さすがに最近は「自民党政権時代のしりぬぐいをしているんだ」という発言は聞かれなくなったが、本心はそこにあるのだろう。
また、私たちもそういう感覚を持っている。

しかし小泉政権時代。国債の発行を抑えて税収の中で政策を行えるようにしようとしたことは知られている。
規制緩和で民間活力を増進して税収を増やし、国の出費を抑えるために民営化を推進した。

構造改革が続いていれば、2010年代初頭には、基礎的財政収支を黒字化する、つまり収入に対して支出が赤字にならない可能性が高かった。

たしかに、自民党には現状に対する責任がある。
しかし、小泉内閣を含めた改革推進政権もまた、自民党政権であった。

私たちはいま、「民主か自民か」という選択肢ではなく、国を本気で良い方向に変えていく人たちを選ばなければなるまい。それも、事業仕分けのようなヒステリックな方法ではなく、もっと大局に立ってモノを言い実行する内閣が必要だ。

民主党政権は、自民党政権が途中までつくっていた昨年度予算とは違い、今回の予算は最初から組んだ。
結果、ばらまく金の額が驚異的に増え、ばらまきを臨時ではなく常態化させた。

民主党政権はたしかに日本を「チェンジ」した。それは、より悪い方向に「チェンジ」したのである。

あるところから、今回の予算編成について一言で何と表現しますか、と尋ねられたので、
「勇気なき予算」
と言っておいた。それは、財政赤字を減らし、経済成長を遂げるには、政権与党の支持者や支持団体の嫌なことをやり、滅茶苦茶なマニフェストを修正しなければならないからである(もちろん単なる増税には大反対である。これについては年初にまた述べたい)。
まともにやるには勇気がいる。だが、彼らには勇気はなかった。

勇気は発揮されず、ただ、赤字が増えたのである。

政権担当能力が無いのだから、せめて、過ちを認めるくらいの素直さと勇気を持ってもらいたかった。

間もなく平成22年が幕を閉じる。
歴史法廷は、この年の政権をどう裁くのであろうか。
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