電撃ブックハンター

本の話題、もしくは関連すること関係ない事を書きたい放題です。

汽車の旅読

2018-04-08 22:34:16 | 日記
私は本を買いまくってはいますが、読む方はまったく追いついていません。
登録済み5000冊以上、未整理分合わせて1万冊ぐらいの蔵書の1/3ぐらいしか読めていないのが現状です。
しかもなお増加中・・・。

もし1万冊全部読んで理解していたらちょっとは自慢出来るのかも知れませんが、持っているだけじゃ何の意味もないのです。
本は読んで、理解して、身につけて、初めてモノにしたと言えます。

ブックハントは続けるにしろ(やめるとは言わない)、今後は読む方・理解する方にウエイトを置くようにしたいです。


しかし、家にいると雑用を言いつけられたり、艦これに没頭してしまったりするので、もっと本に集中する環境に自分を追い込む必要があります。
こないだからキャンプしに行くとか何とか言っているのはそのためです。

4月に入っても寒いゆえ、公園読書はもうちょっと後に始めるとして、アレコレ思案した結果、
「電車の中で読めばいいんじゃね?」
というアイデアが思い浮かびました。

普通、電車の中で本を読むのは目的地に着くまでの暇つぶしなんですが、逆に本を読むために電車に乗ってしまおう、ということです。

電車の中なら寒くないし、何より
「本を読む以外にする事がない」
のです。


という訳で「汽車読書」やってみました。
今回チョイスしたのは天竜浜名湖鉄道
こないだ「ゆるキャン」を巡る旅に出た時、一回は乗っておきたいと思った昭和レトロな路線です。
(なんで「汽車」かというと、ディーゼル車両だから)

実は浜名湖の辺に住んでいて、天浜線に乗ったことがありませんでした。
そういう点でも興味津々であります。


さて、ご存じない方のためにご説明しますと、天竜浜名湖鉄道は東海道線・JR掛川駅から新所原駅の間を山間・奥浜名湖の方を経由して絆いだ第3セクターの鉄道です。
地元の方の足であると共に、周遊、駅間ウォーキングなど、観光やイベントにも利用されています。

西の始発駅・新所原から乗り込み。
ほぼ1時間に1本、というのどかなダイヤなので、駅員さんがきっぷの買い方からおトクな乗り方まで一人一人丁寧に説明してくださいます。



今回は1日乗り放題で途中下車自由という「1日フリーきっぷ」(1700円)を購入。



おまけにグルメガイド冊子がついてきます。



出発。
ディーゼルエンジンが唸りを上げます。



さてさて。
汽車に乗りに来たのではなく、本を読みに来た訳ですから、どんどん読んで行きましょう。




持ち込みし5冊のうち、最初はコレ。

●「情報隠蔽国家」 青木理・著 河出書房新社




さすらいのジャーナリスト・青木理氏による情報漏えいの冤罪をかけられた現役自衛官へのロングインタービューをメインに、公文書・国家情報についてのルポをまとめた1冊。
これを読むと、政府・役所が自分たちの保身のためならどんなメチャクチャでもやらかすという事が分かります。

国有地売却の資料は捨てちゃいました。
官邸に入るゲストの情報は残ってません。
自衛隊の日報は存在しません。

都合が悪いことは全部隠す。
あっても無いと嘘をつく。
日本国民はこんな政府と役所に重要な業務を委託しているのです。


言うまでもありませんが、公務員が税金を使って得た情報と、それを元に作成された文書は国民の共通財産です。
それを一部の人間が権限を守るために好き勝手に使って良い訳がありません。


普通の会社で重要な契約書や設計図を不正隠蔽で燃やしたりしたら警察に突き出されます。
業務に支障をきたして損害を被るからです。
スケールは遥かに大きいですが、これと同じことが日本という国でも起こっているのです。

この本の中でも述べられていますが、情報を管理し、しっかり公文書に残させれば、いい加減な仕事が出来なくなります。
逆に言えば今の政府や役所が公文書を雑に扱っているのは、いい加減すぎてバレるとマズイ仕事をしているから、という事になるでしょう。

国民はこうした事実に目を向け、情報・公文書の重要性に気づくべきだ、と、今更ながら身につまされた次第です。

内容もさることながら、青木氏の視点に「なるほど」と頷く事の多い力作でした。


・・・・と。
レビューは1冊だけです。

なぜなら、窓から見える景色に心を奪われっぱなしだったから(笑。

天浜線のキャッチコピーは「日本の原風景に出会う旅」。
窓の外には、まさしく原風景が広がっていました。

草と木のトンネルの中をレールは走り、



山中を通り抜け、



懐かしさ漂うホームに停車します。




お菓子を買いに降りた原谷(はらのや)は昭和10年に建てられたという年季の入った駅舎ですが、キレイに整えられて、地域の人たちに愛されているのが分かりました。










某JR●海などは待合室を取っ払ってしまい、安い運賃しか払わないお客様は風にでも吹かれていてください、という営業スタイルですが、ここは昔ながらの人をいたわる優しさが感じられます。






なんて、寄り道したり、写真撮ったり、風景に心奪われたりしてたら1冊しか読めなかったのですよ(笑。


掛川まで行って帰って5時間ぐらい。
天浜線は下車して見たり食べたり遊んだり、がセットの鉄道ですから、本を読むのに乗るにはちょっと不向きだったかな。
一番読書に向いているのは、山手線ですかね。


新所原まで戻ってきました。



という事で、昭和の薫り漂う汽車の読書ツアーでした。

















お茶と城址

2018-04-07 19:20:13 | 日記
前回「ゆるキャン」の話をしましたが、もうちょっと書きます。
今年のテーマは「お外で、読書!」なので(笑。

「ゆるキャン」5巻では、さすらいの女子高生ソロキャンパー・志摩リンが静岡県までキャンプしに来るのですが、リアルをうまく織り込んでいるマンガなので、実際にあるお店を訪ねてみる事にします。

今回はリンがお茶を買いに来るシーンにインスパイアされて、掛川市のお茶の店「きみくら」さんにお邪魔してみました。
(作中では「たかくら」という屋号)

「きみくら」さんは、1階がお茶の販売スペース、2階が喫茶店になっています。
マンガでは外観から店内まで正確にトレースされています。


最初に2階でお茶を頂く事にします。
1300円のビッグいちごパフェとかありましたけど、此度は「お茶」が主役と割り切って「羊羹と緑茶のセット」を注文。
高品位のお茶を堪能しました。

お茶は入れ方がキモなんですよねー。
最初に入れて頂いたのが一番おいしくて、後から自分で入れたおかわりは苦くなってしまった。
さすがにプロには敵いません。
しかし元々の茶葉が良いので、自己流でもそれなりに美味しく頂けました。
羊羹も上品な甘さでビューです。

しばらく窓の外に見える日本庭園的な風景にまったりしていましたが、すぐに飽きて本に手を伸ばしました(笑。
ここでのお供はこちら。

●アベノミクスによろしく  明石純平・著  集英社インターナショナル新書



第2次安倍政権から始まった経済政策「アベノミクス」を、政府や国際機関が公表しているデータを元に評価しています。

安倍政権は雇用が増え、景気も良くなっている、と自画自賛しているが、データーを冷静に見ると言うほどの成果は上がっていない。
リーマンショック、東日本大震災で困難な経済政策を強いられた民主党政権時代よりもパフォーマンスが悪い。
それどころか、それを誤魔化すためにGDPの計算方法を変更して成果を「かさ上げ」しているらしい。

結果的に恩恵を受けているのは投資家と輸出をしている企業だけで、一般の人たちは物価だけ上がって給料は実質下がっているので、購買意欲が沸かず景気なんか良くなるわけがない、という話。

さらにインフレを起こすために国債買いまくったり、年金で株買ったりしているため、何かあったらドボンという非常にキワドイ状況にある、という現状に背筋が寒くなりました。

現政権の面々はこういう本とか読んだりしないから指摘しても無駄かも知れませんがね。
副総理にいたっては新聞も読まない、とか言ってるし。
読まないんじゃなくて漢字が読めなくて内容を理解出来ないじゃないんでしょうか。


そもそも安倍首相とその一味は、「自分たちの要求が満たされれば日本がどうなろうが知ったことではない」と思っているロクでも無い連中に飼われているだけなので、ペットに文句を言っても仕方ありません。
問題は餌をやったりムチで打ったりしている奴らにあります。




お茶を頂いた後、1階に降りて家へのお土産と自分の喫茶用に茶葉を求めます。
と言っても、お茶に詳しいわけでもないので、リーズナブルのをチョイスしました。

家族には普通の煎茶、自分用にはこの「きみくら謹製・どっさりほうじ茶」を購入。


本当にどっさり詰め込んであってサービス満点です(笑。




さて、掛川まで来てお茶飲んで帰るだけではもったいないです。
近くに「高天神城」の跡があるので、ちょっと寄ってみる事にしました。


高天神城は戦国時代に徳川家康と武田信玄・勝頼が取り合った山城で、地形を巧みに利用した難攻不落の要衝でした。
最後は家康に攻め滅ぼされてしまうのですが、もし勝頼から援軍が送られていたら徳川側も相当てこずったに違いありません。
実際にここへ登ってみると、それを実感できます。


昔はこんな感じだった様です。



今は登りやすいようにしてありますけど、当時はこの険しい道を登りにくくしてあったでしょうから、攻める方は嫌だったでしょうねー。
私もヒイヒイ言いながら上を目指しましたし(笑。



上の様子が分かりにくい工夫がしてあります。
死角を作って待ち伏せしたり、崖の上から攻撃したりしたのでしょう。


搦手門から登って右側に行くと高天神社です。
石段を登り切ると立派な社が建っています。







神社に参って神様に歓迎されていると、どこかから光が差したり、心地よい風に吹かれたりするそうですが、そういう現象を経験した事がないので私はあんまり歓迎されていないようです(笑。


その奥をさらに行くと、辺りを見渡せる展望台になってます。


ここからさらに峰伝いに山道を歩けるようで、高天神城が落ちる寸前には武田の軍監がこの尾根を伝って甲州まで落ち延びたみたいです。



搦手門の左側には城の本丸跡。


時代が下ってここに天守が再建されたそうですが、落雷で消失したらしい。





コチラ側には高天神社とは別の神社が建てられていましたので、またお参りしておきます。

下に降りていくと坂がいかに急かが分かります。
守るに易し、攻めるに難し。






今度は反対側の大手門側から登ってみます。


搦手門とは違う鳥居は、大陸からの影響を受ける前の古い神社があった事を物語っています。
高天神社も元天神社も違う鳥居だったので、元々の神様はどちらかに合祀されているのでしょうか。

搦手門側とはまた一味違った険しい山道です。


三の丸跡。


ここからも辺り一面を見渡せる絶景ポイントです。


昔は敵がいつ来るかビクビクしながら見張っていたでしょうから、平和な時代のありがたみを噛み締めなければなりません。


という訳で高天神城跡でした。
重機も航空機もない時代に、知恵と経験でこうした難攻不落の城を作った人たちに畏敬の念を抱かずにいられません。