デモンズソウル読み物 「純血のデモンズソウル」

アストラエアは谷の奥でガル・ヴィンランドが無事に戻るよう祈りを捧げている。
当然、侵入者を倒した彼がいつものように巨大な槌を軽々と担いで現れる様を想像していた。

しかし、そこに現れたのは見慣れない男だった・・・


「あなたは……」


アストラエアは咄嗟に全ての状況を理解したが、恐怖心など微塵も感じていなかった。
それどころか、慈悲深さの中にも信念を持った強い眼差しで侵入者を見つめている。

「あの人が斃れたのですね……」
「分かりました……私の抵抗など無意味でしょう」
「さぁ、望みのデモンズソウルをお取りなさい」


彼女は銀色の甲冑に身を包んだ騎士の事を一瞬思い浮かべると静かに自らの命を絶った。
既に人ではない彼女は霧となって消滅して行くのであった。
彼女を彼女として構成していた物が谷と同化して行く・・・
それと同時に谷全体が黒い闇に覆われて行った。

アストラエアが消滅した後にはデモンズソウルが残されていた。
侵入者は静かに一礼するとそれを手に取り見つめている。
それは、真ん中の赤い炎を銀色の外郭が包み込んでいる様な形状であった。


侵入者は静かに空を仰ぐと「純血のデモンズソウル」を握り締め足早に去っていった。





アストラエアが座っていた場所には侵入者が、言葉を書き残していったようだった。


　　「真実の愛」