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第Ⅴ章 胴差と梁の仕口、管柱との仕口

2021-03-17 11:56:12 | 同:通し柱と2階床組

第Ⅴ章 2.  10)胴差と梁の仕口、胴差・梁と管柱の仕口

(1)胴差と梁が天端同面の場合

 ①胴突(小胴突) 腰掛け蟻掛け                                        

いずれも柱根ほぞ頭ほぞ長ほぞ差し。普通に行われる方法。

柱ほぞは短ほぞ差しよりも、長ほぞ差しの方が適切である。込み栓を打てばさらに確実。

短ほぞ差しの場合は山型プレート、平金物などによる補強が必要。筋かいの取付く箇所では、ホールダウン金物を必要とする場合がある(告示第1460号)。

 

①胴突付 (又は小胴付) 腰掛け蟻掛け

 図A    図Aは、胴差丈≧梁丈天端同面の場合。

胴差下に管柱があるときは、胴突梁丈いっぱいに設けることができる。下に管柱がないときは、胴突の丈を小さくして腰掛けの効果を確保する。

 

 図B        図Bは、梁丈≧胴差、天端同面の場合。                    

下に管柱がなければ梁下端こぼれ不可能梁の胴突管柱の木口にのせかける。大入れ蟻掛けで取付けるには、天端同面の場合は、胴差丈>梁丈でないと梁下端がこぼれる

また、下に管柱がないときは、胴差への梁のかかりが1寸(約30㎜)程度必要。 必要な梁丈により胴差の丈を決める梁は単純梁と見なされる。       

いずれの仕口も、住宅金融支援機構仕様は、胴差と梁を羽子板ボルトで結ぶことを指定。

 

②大入れ蟻掛け

 

 

(2)胴差に梁をのせ掛ける場合 (梁天>胴差天)

①大入れ蟻掛け(解説図省略)

胴差にかかる部分だけ大入れ蟻掛けとする。普通に行われているが、安定度が劣るため羽子板ボルト等により補強することが多い。

上階の管柱の取付けが難しい。梁は単純梁となる。

台輪を設けるか、胴差外側まで伸ばし扇ほぞで立てる。これを解決する確実な方法が次のである。

 

②胴突付蟻掛け+上階柱蟻落とし

   

     

胴差胴突付蟻型を造り出し、1階管柱に架ける。端部には全面に胴突付蟻を刻み胴差に掛け、上階の管柱を蟻落としで落とし込み一体化させる。

根ほぞ長ほぞが適切。下階の管柱は、胴差長ほぞ差し下階に管柱がなくてもできる。

図は胴差に左右からが架かっているが、外周部など片側だけの場合も可能。見えがかりもよく、真壁仕様で用いられる仕口。

上下の管柱胴差が一体に組まれるため、梁端部は固定端に近くなる。上下の関係を逆にした納め方も可能である。

 

【管柱・梁・胴差】 写真のような例を見かけるが、この場合は、下図の納めが確実である。

  

 

 

【胴差と柱】 短ほぞ差し+補強金物

  

   

柱の頭・根ほぞ短ほぞの場合に多用される。筋交い使用時には、水平力による柱の引抜きがかかるので、山形プレートやかど金物が用いられる。

上下をつなぐ点では、短冊金物の方が優れる。 

 

【胴差と梁 腰掛け蟻掛け】

   

梁天端が胴差天端より高く胴差上で左右からがかかる場合は、上の部分は、胴差に乗せかけるだけで、下部を腰掛け蟻掛けとする。

曲げの力に対して、の部分だけが抵抗する。乗せかける部分を胴差外側まで延し、扇ほぞで上階の管柱を立てる例もあるが、かみ合わせが弱く、薦められない。

 

【差鴨居】

    

この図では、建具付きの鴨居雇い竿シャチ継ぎで柱に取り付ける例。隅の柱では小根ほぞ差し割り楔締めで取り付ける。

枠まわりなどの造作(仕上げ材)も力を負担する材として扱う方法である。上棟時に取り付けることになるので、上棟までの刻みの仕事は増えるが、造作の手間は減る。

伝統的なつくりでは、主要横架材間(土台~梁・桁間など)にこのような仕口による横材差物)と(壁の部分)を組み込んで、

軸組を立体的に組み、架構全体の強度を上げている(今井町・高木家など)。ただし、この場合の貫は、現在の壁下地材としての「」ではない。

差鴨居の使用は、木材の曲げに対する力を有効に使う方法で、骨組みの強度を格段に上げ、現在でも十分通用する。

 

【参考 柱仕上がり4.3寸の場合:差し鴨居の納め、胴差・梁管柱の納め】

  

 

    スパンが2.5間を超える床梁(下階に管柱がない床梁)の場合の合成梁の一例    

 

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