お待ちかねチャコが『体内電気ショックマシン』をシンゴに授けられるまでの過程を描いてみました。
最初はホントにシンゴ視点にする予定だったのですが、話の展開上チャコにせざるを得なくなりました。でも、それはそれでいいかな~と思います
話的には日記のくせにチョ~長くなりまして。仕方ないから前編・後編に分けました。
長い分、クドイですクドイけど、どこ削ったらいいかわからないので説教くさい全文を頑張って読んでください。
話としては、
カオルのヘタレさ。
ルナの芯の強さ。
チャコの心配性。
・・・・なところが上手く出ていればいいですが・・・・え?カオルは何でヘタレてるって?男は意外とヘタレですよ?弱点つかれるとね??
そんなわけでチャコさんの日記です。
太陽系標準歴6月27日:標準時間17:12 (チャコ)前編
今夜もカオルが艦長と副長に飲まされて、見た目シラフには見えるけどホロ酔い加減で帰ってきたから、ルナが何やら文句を言ってるねん。
そういや今日はハワードの誕生日だったから、仲間みんなで時間を合わせてモニター上のサプライズパーティを企画してたらしいんや。
カオルのやつが今朝のシフトチェンジに出掛ける前に、確かにルナが「だから、今夜は早く帰ってきてね。」って言っとったな。
なのに、アイツときたら。
「・・・・・だからといって、絶対に帰るとは言わなかった。」
だなんて、完全屁理屈こねてるやないか!
当然、ウチはルナの味方や!
「このバカボン!飲んで帰ってきて通る言い訳かいなっ!飲み会なんぞ断りや!」
「チャコ、飲み会じゃなくて会議なのよ、この場合。相手が上司なんだから。」
「ルナァ~~!!旦那甘やかすのもいい加減にせぇへんかぁ~~~!!」
「もう、いいわ。ハワードだって『期待してなかった』って。でも、欠けてたのはあなただけだし、内心は寂しかったでしょうから、今度ちゃんと謝ってね?」
「・・・・・期待してなかったんだから、いいだろう。」
はぁ~~~~??何や、その態度ぉ~~!!
さすがのルナも表情をきつくして黙り込む。
カオルのヤツは、ろくにそんなルナを見もしないで背中を向けたまま寝室へ消えていった。
・・・・・ウチ、てっきり久々にキレたルナを見れるのかと思っとったんやけど。
「・・・・・ほぉ、大人になったルナは説教もやめたんかい。」
「うん・・・・・・・・。」
「何やねん、いくらラブラブでもシメるとこはシメんと。疲れてるにしたってあの言い草はないやろ?」
「そうね・・・・・・・・。」
「ルナ?」
昔からカオルは機嫌が悪いと人から離れていくところがある。
そんな自分を見せたくないとか、他人に無意識にあたりたくないとか、あいつなりの配慮もあるんかもしれんけど。
ルナとしてはそんなところも受け入れたくて、玉砕覚悟でぶつかっていく姿を何度も見た。
実際、そんなカオルに説教できるのはルナくらいやし。
ウチかていつもそんなあいつの態度に辟易しとるから、やっちまえ~!的なところもあったんやけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・最近。
「・・・・・・あれか?『カオルの声が聞こえてきたの♪』ってやつかいな?」
「ううん、まさか。ただ・・・・・・今はそっとしておいた方がいいかな、って。」
「何でや?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・また、や。
じっと我慢してるような、複雑な表情のまま黙ってしまう、ルナ。
何十年来の相棒のウチにも言わんようになってしまった。
それもこれも、あのバカボンのせいやっ!!そうに違いないぃ~~~!!
あいつ、こっそりルナにDVとか、こっそりものすんごぉ~~~いHなこととか、とんでもないことしとるんやないやろうなぁ~~~???
そんなウチの心配なんて全く気付かん様子で、ルナはカオルが消えていった寝室の方ばかり気にしてるわい。
なんてゆ~か・・・・・・最近はルナの方がすっかりカオルにぞっこんな感じがホント気に食わんわ。
大丈夫なんかいな・・・・・例えば、カオルのヤツが、浮気~~~!とか、不慮の事故で昇天~~~!とかなったら、ルナはどうなってしまうんやろ。
仲間内で一番気丈で元気なイメージのルナやけど、身内に対しての情の深さは人並み以上・・・・・つまり、それがウィークポイントでもある。
カオル。あんたは、ルナの唯一の『身内』なんやで・・・・・・・・・?
ウチはそんなルナを見ながら、この『スカイ=フューチャー号』乗務の前にシンゴの元に行った時のことを思い出した。
シンゴに最後のメンテナンスをしてもらいながら、こんな話をしたんや。
「あんまり、新婚夫婦の邪魔しちゃダメだよ~。」
「・・・・・・わかっとるわい。」
「ルナはさ?ずっとチャコと一緒にいたわけだから、傍にいるのが当然だと思ってるかもしれないけどさ?カオルにしてみれば、やっぱ邪魔だよねぇ~~!」
「だっから、わかっとるわいっ!もういろんなやつに言われまくってこのプリティ~な耳にタコッ!やっ!」
「あっはは!・・・・・・でも、出来る限り傍にいてあげてよ。ルナにはそれが一番なんだしさ、カオルだってわかってるよ。」
「あったりまえやっ!・・・・・・言っとくけど、ウチはただルナにくっついてるわけやないんやで?いろんな場面を想定しとるんや。」
「いろんな場面て?」
「あの朴念仁が一生ルナ一筋とは限らんやろ?」
「ええ~~??何それ!?カオルが浮気するってこと??」
「ありえん話やないで?」
「ありえないよぉ~~~!!」
・・・・・・ま、現段階ではありえんかもしれんけど。
「人は変わるもんやで?シンゴ。」
「う~~~ん・・・・、そりゃ100%ありえない話ではないけどさ?あの2人を見てると想像出来ないなぁ・・・・・。」
「例え1%ない確率でもな、ウチはルナを守る義務があるよって。」
「じゃ、参考までに聞くけど、カオルが浮気したらチャコはどうする気?」
「そんなん決まってるわっ!天誅~~~~!!やっ!お仕置きっ!!」
「あっはは~~~!!古風な言葉知ってるなぁ~!・・・・・でも、どうお仕置きするのさ?」
「それはぁ・・・・・え~と・・・・・・」
・・・・・・・・・・実はそのやり取りの結果、ウチに最新の武器を搭載してくれたシンゴやったけど。
そうなった過程がある。
「・・・・・・でもさぁ、ルナって例え、カオルの浮気を知っても、じっと耐えるタイプのような気がするんだよねぇ・・・・・・」
ウチに『武器』を取り付けながら、シンゴがそんなこと言うんや。
「そうやろか?カンカンに怒って家から追い出すくらいのことはする思うで?」
「出来心で、な浮気ならそうするかもね。でもさ、例えばカオルが傷心の人妻に出会って、彼女は夫から暴力を受けてて助けようとしたカオルが事件に巻き込まれて、犯人から『その女とヤレ!』とか言われてやむをえずそんな関係になっちゃった、とか、そ~ゆ~背景ならさ・・・・・」
「シンゴ・・・・・ドラマの見過ぎやで・・・・・・・」
せやけど、もしももしももしも・・・・そんな事情があった場合・・・・・・・。
「ルナならグタグタ悩みそ~やな~・・・・・。はてまた浮気相手に同情とかな・・・・・」
「でしょ~~~~??ルナ、人のこと考え過ぎなんだよ。カオルもさ、根はお人好しだからやりそうだよね、そ~ゆ~こと。」
「せやな・・・・・・・・」
「まぁ、普通の状況なら、ってことだけど。」
「はん?普通?」
コホン、とシンゴが小さく咳払いをする。そして、ふう、と息を付いて。
「人助け、はするだろうね、2人とも性分だから。けど。・・・・・・・最後の一線はドラマのようにはいかないだろうね。・・・・・・2人とも『普通』じゃないから。」
「あ・・・・・・・・・・・。」
シンゴもウチも。・・・・・そして、多分、カオルとルナという2人を深く知る仲間たちはみな、口を揃えて「それはない。」と言い切る理由。
その最大の理由にあるものは。
「ナノマシン、か・・・・・・・・・・。」
「そう。2人とも、どうしても最後の最後でそこに躓くだろうね。特にルナはさ、この前の凱旋の一件で、カオルには負い目、持ってるだろ?気にするな、って言われたって気にしちゃうよね。だからさ、ルナは多分一生、この問題に関しては、カオルに強く言えないと思うんだ。」
「・・・・・・・・・・。」
「浮気なんてしない・・・・というより、出来ない理由になっちゃってる。けどそれだけじゃなくて、他にもっと可能性を遮る理由になっちゃうのかも。そんな時・・・・・ルナは何も言えずにじっと黙っちゃうんだろうな、って。理由によってはカオルもフォロー出来ないのかな、って。」
「せや・・・・・な・・・・・・・・。」
さきの凱旋でルナが今までに見たこともないくらい泣いて憔悴する姿を見た。
誰よりも強くて頼もしいと思っていた相棒が、一人の男の為に一人の女になってしまった姿を見た。
そこにいたのは、もうウチだけのルナやない。
ウチだけじゃ、もう・・・・・・・。
「・・・・・・・そこでっ!唯一、支えになれるのはチャコなんだな~?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ???」
シンゴは、鼻の下をゴシゴシと指先で擦るとヘヘヘ!と笑って。
「だってチャコしかいないじゃないか!ルナが小さい頃から傍にいるチャコしか知らない、『ルナを笑顔にする方法』ってあるんじゃないの?」
「ウチしか知らん方法・・・・・・・」
ピンクの大きな頭を斜めにして考える。
ウチだけが知っとるルナの喜ぶこと。
昔から大好きなホットケーキを山のように積み上げること。
お母ちゃんとお父ちゃんの話を夜通し語り合うこと。
昔住んでた火星の遊園地の話。
お父ちゃんとウチと3人で行ったキャンプの話。
大好きだった宇宙公園から見た星空の話。
そして。
・・・・・・・・いつかルナが宇宙一のお嫁さんになる話。
「アカン・・・・・シンゴ・・・・・・・」
「何?」
「ウチが思い浮かぶのは、昔の話、ばっかりや。ルナももうさすがに大人なんやし・・・・・」
ルナが小さな頃から一緒にいたウチにとって、遭難当時の14歳だってまだまだ子供や、思っとったところが沢山あったんやけど。
それからのルナは。
大人の階段を昇っていったルナは・・・・・・・・。
「アカン・・・・・・どこ場面にもあの朴念仁がおるねん・・・・・!」
「まぁ、そりゃそうだろね。あの事件以来、ルナだけじゃなくて僕らはみんなサヴァイヴでのことは笑顔になる元でもあるんだ!今のルナにとって元気の元はカオル。でも、カオルに無理な時はチャコってことだよ。それこそ昔からの一緒の想い出がいっぱい!のチャコだけがね。」
せやけど。
ウチがカオルに勝てる方法って・・・・・・・・思いつかん!!!
「へぇ~え?さすがのチャコもカオルには勝てない?」
「なぁ~~~!!そんなことはあらへんでぇ~~~!!ウチはな~~!ウチはぁ~~~!!」
「わかった、わかったって。・・・・じゃあね、僕が君にとっておきのプレゼントをしてあげるよ!」
「プレゼント?」
「うん!」
嬉しそうに笑ったシンゴは、11年前の12歳のシンゴに見えた。
あの頃も今も変わらない、得意気な憎めない表情で。
・・・・・・・・・こんな恐ろし気なことをあっさりと言ったもんや。
「チャコ。・・・・・・・・いい?『これ』を使う時は、考えずに思いっきりいってね。だってさ?状況としては不可抗力、って時があるんだから。そんな時、君の大事なルナを守る為には仕方ない、ってことだよ・・・・・・・?」
・・・・・・・・・・続く。
__________________________________
eriy
日記で「続く。」は初めてです。ハイ、単に終わらなかっただけです。
話的になんとなく繋がってるのはありましたけどね。今回は完全に前後編~
さていつも以上に俺様なカオルにルナがとった手段とは???
最初はホントにシンゴ視点にする予定だったのですが、話の展開上チャコにせざるを得なくなりました。でも、それはそれでいいかな~と思います
話的には日記のくせにチョ~長くなりまして。仕方ないから前編・後編に分けました。
長い分、クドイですクドイけど、どこ削ったらいいかわからないので説教くさい全文を頑張って読んでください。
話としては、
カオルのヘタレさ。
ルナの芯の強さ。
チャコの心配性。
・・・・なところが上手く出ていればいいですが・・・・え?カオルは何でヘタレてるって?男は意外とヘタレですよ?弱点つかれるとね??
そんなわけでチャコさんの日記です。
太陽系標準歴6月27日:標準時間17:12 (チャコ)前編
今夜もカオルが艦長と副長に飲まされて、見た目シラフには見えるけどホロ酔い加減で帰ってきたから、ルナが何やら文句を言ってるねん。
そういや今日はハワードの誕生日だったから、仲間みんなで時間を合わせてモニター上のサプライズパーティを企画してたらしいんや。
カオルのやつが今朝のシフトチェンジに出掛ける前に、確かにルナが「だから、今夜は早く帰ってきてね。」って言っとったな。
なのに、アイツときたら。
「・・・・・だからといって、絶対に帰るとは言わなかった。」
だなんて、完全屁理屈こねてるやないか!
当然、ウチはルナの味方や!
「このバカボン!飲んで帰ってきて通る言い訳かいなっ!飲み会なんぞ断りや!」
「チャコ、飲み会じゃなくて会議なのよ、この場合。相手が上司なんだから。」
「ルナァ~~!!旦那甘やかすのもいい加減にせぇへんかぁ~~~!!」
「もう、いいわ。ハワードだって『期待してなかった』って。でも、欠けてたのはあなただけだし、内心は寂しかったでしょうから、今度ちゃんと謝ってね?」
「・・・・・期待してなかったんだから、いいだろう。」
はぁ~~~~??何や、その態度ぉ~~!!
さすがのルナも表情をきつくして黙り込む。
カオルのヤツは、ろくにそんなルナを見もしないで背中を向けたまま寝室へ消えていった。
・・・・・ウチ、てっきり久々にキレたルナを見れるのかと思っとったんやけど。
「・・・・・ほぉ、大人になったルナは説教もやめたんかい。」
「うん・・・・・・・・。」
「何やねん、いくらラブラブでもシメるとこはシメんと。疲れてるにしたってあの言い草はないやろ?」
「そうね・・・・・・・・。」
「ルナ?」
昔からカオルは機嫌が悪いと人から離れていくところがある。
そんな自分を見せたくないとか、他人に無意識にあたりたくないとか、あいつなりの配慮もあるんかもしれんけど。
ルナとしてはそんなところも受け入れたくて、玉砕覚悟でぶつかっていく姿を何度も見た。
実際、そんなカオルに説教できるのはルナくらいやし。
ウチかていつもそんなあいつの態度に辟易しとるから、やっちまえ~!的なところもあったんやけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・最近。
「・・・・・・あれか?『カオルの声が聞こえてきたの♪』ってやつかいな?」
「ううん、まさか。ただ・・・・・・今はそっとしておいた方がいいかな、って。」
「何でや?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・また、や。
じっと我慢してるような、複雑な表情のまま黙ってしまう、ルナ。
何十年来の相棒のウチにも言わんようになってしまった。
それもこれも、あのバカボンのせいやっ!!そうに違いないぃ~~~!!
あいつ、こっそりルナにDVとか、こっそりものすんごぉ~~~いHなこととか、とんでもないことしとるんやないやろうなぁ~~~???
そんなウチの心配なんて全く気付かん様子で、ルナはカオルが消えていった寝室の方ばかり気にしてるわい。
なんてゆ~か・・・・・・最近はルナの方がすっかりカオルにぞっこんな感じがホント気に食わんわ。
大丈夫なんかいな・・・・・例えば、カオルのヤツが、浮気~~~!とか、不慮の事故で昇天~~~!とかなったら、ルナはどうなってしまうんやろ。
仲間内で一番気丈で元気なイメージのルナやけど、身内に対しての情の深さは人並み以上・・・・・つまり、それがウィークポイントでもある。
カオル。あんたは、ルナの唯一の『身内』なんやで・・・・・・・・・?
ウチはそんなルナを見ながら、この『スカイ=フューチャー号』乗務の前にシンゴの元に行った時のことを思い出した。
シンゴに最後のメンテナンスをしてもらいながら、こんな話をしたんや。
「あんまり、新婚夫婦の邪魔しちゃダメだよ~。」
「・・・・・・わかっとるわい。」
「ルナはさ?ずっとチャコと一緒にいたわけだから、傍にいるのが当然だと思ってるかもしれないけどさ?カオルにしてみれば、やっぱ邪魔だよねぇ~~!」
「だっから、わかっとるわいっ!もういろんなやつに言われまくってこのプリティ~な耳にタコッ!やっ!」
「あっはは!・・・・・・でも、出来る限り傍にいてあげてよ。ルナにはそれが一番なんだしさ、カオルだってわかってるよ。」
「あったりまえやっ!・・・・・・言っとくけど、ウチはただルナにくっついてるわけやないんやで?いろんな場面を想定しとるんや。」
「いろんな場面て?」
「あの朴念仁が一生ルナ一筋とは限らんやろ?」
「ええ~~??何それ!?カオルが浮気するってこと??」
「ありえん話やないで?」
「ありえないよぉ~~~!!」
・・・・・・ま、現段階ではありえんかもしれんけど。
「人は変わるもんやで?シンゴ。」
「う~~~ん・・・・、そりゃ100%ありえない話ではないけどさ?あの2人を見てると想像出来ないなぁ・・・・・。」
「例え1%ない確率でもな、ウチはルナを守る義務があるよって。」
「じゃ、参考までに聞くけど、カオルが浮気したらチャコはどうする気?」
「そんなん決まってるわっ!天誅~~~~!!やっ!お仕置きっ!!」
「あっはは~~~!!古風な言葉知ってるなぁ~!・・・・・でも、どうお仕置きするのさ?」
「それはぁ・・・・・え~と・・・・・・」
・・・・・・・・・・実はそのやり取りの結果、ウチに最新の武器を搭載してくれたシンゴやったけど。
そうなった過程がある。
「・・・・・・でもさぁ、ルナって例え、カオルの浮気を知っても、じっと耐えるタイプのような気がするんだよねぇ・・・・・・」
ウチに『武器』を取り付けながら、シンゴがそんなこと言うんや。
「そうやろか?カンカンに怒って家から追い出すくらいのことはする思うで?」
「出来心で、な浮気ならそうするかもね。でもさ、例えばカオルが傷心の人妻に出会って、彼女は夫から暴力を受けてて助けようとしたカオルが事件に巻き込まれて、犯人から『その女とヤレ!』とか言われてやむをえずそんな関係になっちゃった、とか、そ~ゆ~背景ならさ・・・・・」
「シンゴ・・・・・ドラマの見過ぎやで・・・・・・・」
せやけど、もしももしももしも・・・・そんな事情があった場合・・・・・・・。
「ルナならグタグタ悩みそ~やな~・・・・・。はてまた浮気相手に同情とかな・・・・・」
「でしょ~~~~??ルナ、人のこと考え過ぎなんだよ。カオルもさ、根はお人好しだからやりそうだよね、そ~ゆ~こと。」
「せやな・・・・・・・・」
「まぁ、普通の状況なら、ってことだけど。」
「はん?普通?」
コホン、とシンゴが小さく咳払いをする。そして、ふう、と息を付いて。
「人助け、はするだろうね、2人とも性分だから。けど。・・・・・・・最後の一線はドラマのようにはいかないだろうね。・・・・・・2人とも『普通』じゃないから。」
「あ・・・・・・・・・・・。」
シンゴもウチも。・・・・・そして、多分、カオルとルナという2人を深く知る仲間たちはみな、口を揃えて「それはない。」と言い切る理由。
その最大の理由にあるものは。
「ナノマシン、か・・・・・・・・・・。」
「そう。2人とも、どうしても最後の最後でそこに躓くだろうね。特にルナはさ、この前の凱旋の一件で、カオルには負い目、持ってるだろ?気にするな、って言われたって気にしちゃうよね。だからさ、ルナは多分一生、この問題に関しては、カオルに強く言えないと思うんだ。」
「・・・・・・・・・・。」
「浮気なんてしない・・・・というより、出来ない理由になっちゃってる。けどそれだけじゃなくて、他にもっと可能性を遮る理由になっちゃうのかも。そんな時・・・・・ルナは何も言えずにじっと黙っちゃうんだろうな、って。理由によってはカオルもフォロー出来ないのかな、って。」
「せや・・・・・な・・・・・・・・。」
さきの凱旋でルナが今までに見たこともないくらい泣いて憔悴する姿を見た。
誰よりも強くて頼もしいと思っていた相棒が、一人の男の為に一人の女になってしまった姿を見た。
そこにいたのは、もうウチだけのルナやない。
ウチだけじゃ、もう・・・・・・・。
「・・・・・・・そこでっ!唯一、支えになれるのはチャコなんだな~?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ???」
シンゴは、鼻の下をゴシゴシと指先で擦るとヘヘヘ!と笑って。
「だってチャコしかいないじゃないか!ルナが小さい頃から傍にいるチャコしか知らない、『ルナを笑顔にする方法』ってあるんじゃないの?」
「ウチしか知らん方法・・・・・・・」
ピンクの大きな頭を斜めにして考える。
ウチだけが知っとるルナの喜ぶこと。
昔から大好きなホットケーキを山のように積み上げること。
お母ちゃんとお父ちゃんの話を夜通し語り合うこと。
昔住んでた火星の遊園地の話。
お父ちゃんとウチと3人で行ったキャンプの話。
大好きだった宇宙公園から見た星空の話。
そして。
・・・・・・・・いつかルナが宇宙一のお嫁さんになる話。
「アカン・・・・・シンゴ・・・・・・・」
「何?」
「ウチが思い浮かぶのは、昔の話、ばっかりや。ルナももうさすがに大人なんやし・・・・・」
ルナが小さな頃から一緒にいたウチにとって、遭難当時の14歳だってまだまだ子供や、思っとったところが沢山あったんやけど。
それからのルナは。
大人の階段を昇っていったルナは・・・・・・・・。
「アカン・・・・・・どこ場面にもあの朴念仁がおるねん・・・・・!」
「まぁ、そりゃそうだろね。あの事件以来、ルナだけじゃなくて僕らはみんなサヴァイヴでのことは笑顔になる元でもあるんだ!今のルナにとって元気の元はカオル。でも、カオルに無理な時はチャコってことだよ。それこそ昔からの一緒の想い出がいっぱい!のチャコだけがね。」
せやけど。
ウチがカオルに勝てる方法って・・・・・・・・思いつかん!!!
「へぇ~え?さすがのチャコもカオルには勝てない?」
「なぁ~~~!!そんなことはあらへんでぇ~~~!!ウチはな~~!ウチはぁ~~~!!」
「わかった、わかったって。・・・・じゃあね、僕が君にとっておきのプレゼントをしてあげるよ!」
「プレゼント?」
「うん!」
嬉しそうに笑ったシンゴは、11年前の12歳のシンゴに見えた。
あの頃も今も変わらない、得意気な憎めない表情で。
・・・・・・・・・こんな恐ろし気なことをあっさりと言ったもんや。
「チャコ。・・・・・・・・いい?『これ』を使う時は、考えずに思いっきりいってね。だってさ?状況としては不可抗力、って時があるんだから。そんな時、君の大事なルナを守る為には仕方ない、ってことだよ・・・・・・・?」
・・・・・・・・・・続く。
__________________________________
eriy
日記で「続く。」は初めてです。ハイ、単に終わらなかっただけです。
話的になんとなく繋がってるのはありましたけどね。今回は完全に前後編~
さていつも以上に俺様なカオルにルナがとった手段とは???
>黎華様
カオル、ムカつく?ムカつく??そうでしょ?ムカつくでしょ~~~??
なんかでも、こういうタイプってたまにこんな感じで超・機嫌悪い時ってありそう・・・これがメノリ相手とかだったら刃傷沙汰になりそうだな(笑)
次回、さらに俺様なカオルにルナの鉄槌がくさされる!?