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教室・保育室の管理とインフルエンザ Q&A その2 【木材・二酸化塩素】

2014-11-25 18:42:00 | 情報提供

【木材使用によるインフルエンザ対策について】


可能性としては、木材から出る「フィトンチッド」(殺菌効果を持つ化学物質)による効果、
あるいは抽出液(ヒノキチオールなど)による抗菌効果を期待してのことだと思います。

しかし、これらは「実在空間」での効果は実証されておりません。
もし、実証されていれば、下記の二酸化塩素の製品と同様に、抽出物質として製品化されていると思われます。

一方、木材には吸放湿性能があり、「湿度変化を小さくする」効果があります。
適切に加湿されていれば、カビ発生や結露の防止にはつながります。

なお、よく勘違いされるのですが、「木材は湿度を調節する」という言葉は本来正しくありません。

高い湿度の時に、水蒸気を吸う(吸湿)
低い湿度の時に、水蒸気を吐く(放湿)

ではありますが、例えば、非常に乾燥していて「吸う」水蒸気がなければ、
水蒸気を「吐く」ことはできません。
逆に、限界まで吸ってしまえば、それ以上は吸うことができません。

急激に加湿されたとき、あるいは換気などで急激に放湿されたとき、木材が「緩衝材」となり、大きな湿度変化を抑えることができます。

画像



【二酸化塩素等の製品について】
これは、昨年度も同様のお問い合わせをいただき記事にしております。

「二酸化塩素によるウイルス除菌等の効果と注意事項について 」
http://aokilab.at.webry.info/201311/article_2.html をご覧下さい。

【昨冬はあまり流行しなかった】

可能性としては、12~1月の冷え込みが厳しくなかったためと考えられます。
インフルエンザウイルスは低温・低湿度環境を好みます。

富山市
12月:5.1℃(前年:3.6℃、前々年4.5℃)
 1月:2.9℃(前年:1.9℃、前々年2.0℃)
金沢市
12月:6.3℃(前年:4.7℃、前々年5.3℃)
 1月:3.9℃(前年:3.0℃、前々年2.9℃)

福井市
12月:5.4℃(前年4.1℃、前々年:4.9℃)
 1月:3.0℃(前年:2.5℃、前々年:2.4℃)

(気象庁のデータより)

「インフルエンザの流行」と「温度と湿度」の関係は密接に出てきますので、その記事はまた後日掲載いたします。


教室・保育室の管理とインフルエンザ Q&A その1 【空気清浄機】

2014-11-05 19:21:00 | 情報提供

アンケートにご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
さて、アンケートの集計が終わるまで、皆さまから多く頂きました疑問点などを分類し、幼稚園や保育所の皆さまと情報を共有していけたらと思います。

第1回目は「空気清浄機によるウイルス除去効果はどの程度あるのか?」についてです。

まず、空気清浄機のメーカーのホームページから、それぞれがウリとする除菌機能について引用してみます。

◆シャープ:プラズマクラスターイオン
「浮遊カビ菌を除菌、浮遊菌・ウイルスの作用を抑える」など
http://www.sharp.co.jp/plasmacluster/effect/

◆パナソニック:ナノイー
「菌・カビ菌・花粉・ウイルスを抑制」など
http://panasonic.jp/nanoe_h/nanoe_h/f_gmg01/recommend/p01.html

◆ダイキン工業:光速ストリーマー、アクティブプラズマイオン
「強毒性インフルエンザウイルス、豚インフルエンザウイルスなど分解・除去」
http://www.daikin.co.jp/product/streamer/point_03/point_03_1.html
「付着カビ菌、付着菌抑制」
http://www.daikinaircon.com/ca/2012/why/plasmaion/index.html


言葉だけ抜き出すと、とても効果がありそうですね!
ただし、各ページをご覧いただければ分かりますが、除菌に関しては実空間における実証データはありません。

3社ともに注意事項 「実空間での実証結果ではありません」 と記載されています。
(ダイキン工業のストリーマー放電を直接照射するのですが、もちろん空間での評価ではありません)

密閉空間、試験空間など、空気清浄機の効果が実証しやすい、気流が安定した空間で検証しています。

※気流が安定:窓開けなどの換気がなく、机や椅子に邪魔されることなく、空気清浄機から出た空気が、またスムーズに空気清浄機に戻ってくるような空間と考えて下さい。

<除菌効果は、あくまで「とても条件の良い」環境で行われている最大限の効果である>



さて、それでは実際に実空間等で検証は行われているのでしょうか?

2012年に(独)国立病院機構仙台医療センターの西村秀一先生の文献(感染症誌)にこう記載されています。
(調査対象:プラズマクラスター、ナノイー、ビオン(KING JIM社販売終了))

1)通常の生活空間のような広い空間における使用では,ほとんど殺菌効果が期待できない
2) ただし、極めて狭い空間+ある種の細菌という限定的な対象は、ある程度の殺菌効果が認められる
3) その殺菌効果はむしろ、オゾンの効果であろう。

文献:殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の,寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析

<プラズマクラスター、ナノイーは実環境では殺菌効果が期待できない>

※上記文献では、ダイキン工業の製品は検討対象になっていませんが、同じイオン式なので同様であると考えられます


さて、新しく出てきた「オゾン」。

オゾンは強力な酸化力を持ち、殺菌・脱臭の効果があるが、高濃度のオゾンに曝露されると身体への影響も大きいとされています。(独)国民生活センターでは、家庭用オゾン発生器の安全性について2009年に検証しています。
参考:家庭用オゾン発生器の安全性(国民生活センター)


実は、イオン式の空気清浄機は、マイナスイオン生成時にオゾンを多く発生させてしまいます。
ただし、現在はJISによってオゾン濃度に上限があるので、それによる危険性はないと考えられます。

さて、以上をまとめますと、幼稚園・保育所においては

<空気清浄機はフィルターによる性能が大きい=ホコリ取り、脱臭等には効果あり。殺菌(ウイルス除去)は期待しない方がよい!>


ということになります。

教室・保育所で使用されている空気清浄機のフィルターには、いっぱいホコリがたまりますよね!
それこそが効果です!

【その他参考】
人体に悪影響も…イオン式空気清浄機は花粉対策にならない? 誤解生む広告上の“効果”(Business Journal2013/3/9)

カビ、PM2.5、花粉…空気清浄機の効果どこまで? (日経新聞2014/4/29)