人とは違う見た目のため、好奇の目にさらされ、学校や就職、結婚で差別にあう「見た目問題」。上映中の映画「ワンダー 君は太陽」では、遺伝子の疾患で顔が変形した10歳の少年オギーが、見た目に悩む姿が描かれています。この映画を鑑賞した江原小学校(東京都中野区)の6年生68人が6月下旬、特別授業で、オギーと同じ疾患を持つ大学院生、石田祐貴さん(25)と交流しました。(朝日新聞文化くらし報道部記者・岩井建樹)
【写真】「変形した顔」悩んだ男性が授業 小学生と一緒に給食も
特別授業、はじまりはじまり~
【映画「ワンダー 君は太陽」】
オギーは生まれつき顔のほおやあごの骨の発達に異常がある「トリーチャーコリンズ症候群」で、27回もの手術を受けてきた。顔にコンプレックスを抱え、外出時には宇宙飛行士のヘルメットをかぶっていた。自宅で学習を続けていたが、小学校5年から学校に通うことに。オギーは学校で好奇の目にさらされ、いやがらせを受ける。家族の励ましでなんとか学校に通い、子どもたちもオギーの人柄にひかれていく
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<石田さんが登場すると、子どもたちの視線が石田さんに集まりました。みんな真剣なまなざしです。特別授業が始まりました。>
石田さん
僕の顔、オギーと似ているかな? 同じ病気です。
僕もオギーと同じように、嫌な思いをしてきました。ジロジロ見られたり、「宇宙人」「バケモノ」と言われたり。
映画はハッピーエンドで終わりますが、僕は小学校・中学校は好きではなく、中学では、不登校も経験しました。高校は特別支援学校に進み、優しい友だちと出会いました。今は、大学院で楽しい日々を送っています。
だけど今も、初めて会う人は僕を見て、「エッ」と反応します。電車で僕が座っていたら、隣に座ろうとした人が、僕の顔を見て、そのままどこかに行ってしまうこともあります。
僕も何度も手術を受けていますが、違和感のない顔にはなりません。その分、内面を磨こうと思っています。
小中学校の友だちは
<質疑応答の時間には、「はいっ」と多くの子たちが手を挙げました。>
児童
つらかった小学校・中学校の時にも友だちはいましたか?
石田さん
いました。幼稚園のころからの友だちが多かったです。物心ついたときから僕の顔を知っていたので、なんとも思わなかったんだと思います。
小学生のとき、友だちと公園で遊んでいると、見知らぬ子たちが僕の顔をからかってきました。そのとき、友だちが「放っておいて、気にせず遊ぼう」と言ってくれました。
児童
学校に行くのは、不安でしたか?
石田さん
とくに初めて会う人には「何か言われるかな」「仲良くしてくれるかな」と不安でした。
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