大規模に冠水した岡山県倉敷市真備(まび)町。9日午後、まだ道路一面に5センチほどの泥が残る真備支所の前で、女性が涙を流しながら馬に駆け寄り、3日ぶりの「再会」を喜んでいた。介護老人保健施設、ライフタウンまびで入所者のアニマルセラピーを目的に飼われていたミニチュアホースの「リーフ」。大雨で行方がわからなくなっていた。
【写真】民家の屋根の上で身動きが取れなくなっていたリーフ=2018年7月9日、岡山県倉敷市真備町、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン提供
リーフが、施設職員の谷本真理さん(49)の方へ顔を近づけると、谷本さんはその顔をいとおしそうになでた。リーフはメスで、9歳。昨年3月に大阪の牧場から施設へとやってきた。
今回の大雨で真備支所は1階部分が冠水。約200メートル南のライフタウンまびにも水が押し寄せ、隣接する農場で放し飼いだったリーフやヤギを助ける余裕はなかった。世話をしていた谷本さんが9日、「泳いで逃げて、助かっているかもしれない」と近くの山へ捜しに行っていたところ、支所近くの民家の屋根にいるのが見つかったという。
リーフは体も泥だらけで、屋根から落ちて脚を痛めてしまった。だが住民らにキャベツやニンジンを差し出されると、おいしそうに食べていたという。
谷本さんは「捜しに来られず、本当に心配していた」。同じ施設職員の吉田昌幸さん(48)は「もうダメだと思っていたが、運良く屋根にたどり着いたんでしょう。土日には40~50人がエサやりに来てくれるほど愛されている。3日間、よく頑張った」と胸をなで下ろしていた。(多鹿ちなみ)
朝日新聞社
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