カプアン通信

動物は物か


きょう、↓こんなニュースを見ました。
毒物付きソーセージ、拾い食い注意…千葉の公園(読売新聞)
千葉県栄町安食台の十王児童公園で10月、毒物付きのソーセージを
食べたとみられる犬が動物病院に運ばれたそうです。
お近くの方、お気をつけください。


いきなり物騒な話で恐縮ですが

犬の飼い主が、仮に、毒物などで愛犬を殺害された場合
犯人はどのような罪が問われるでしょう。

よく話題になるのが「器物損壊罪」という罪です。

犬は、法的には「物」扱いであり、器物損壊罪の対象になります。
この法律は「損壊」又は「傷害」が構成要件的行為とされ、
動物については、「傷害」行為であり、
法的に動物は物であるとはいえ、その用語例への抵抗からか、
動物への殺傷行為については、「動物傷害罪」と記載する文献もあるそうです。

器物損壊罪は、親告罪であり、飼い主に告訴権があります。
法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

これと同時に、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)にも問われます。
こちらの法律は、非親告罪であり、飼い主でなくても告訴できます。
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という罰則規定があります。

では、どちらの罪が適用になるか、というと
法律家ではないので、確かなことは言えませんが、両罪とも適用になり
「観念的競合」としてより重い刑が採用され、
3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の適用になるのではないか
という意見があります。


さて、ここまでは、前置きです(長い!)


朝日新聞東京本社版夕刊に、年4回折り込まれる
『Sippo』というタブロイドサイズの新聞があります。


この新聞の最新号(2012年11月6日発行)のセンターページに
Sippo Journalという連載記事があり
動物は物かー「動物法人化」を巡る議論
という記事が載ってました。


青木人志さんという法学者が、10年も前から
法学的思考実験として「動物の法人化」という提言をしているというのです。

青木先生は「動物愛護活動家」ではありません。
ベテランの法律学者であり、フランスの法学者の法律論を参考に
あくまで研究材料として動物の「法」を研究しているようです。

先生によると

「日本では従来、動物愛護の問題は法律ではなく
常識やモラルに委ねられるものという感覚がある」

「“愛護”という用語が主観的・内面的なものとして感傷的に響いたり
一部の過激な活動を想起させる場合もあって
少し距離をとっておきたい、と感じる人も少なくない」

と感じており、そのためか、日本では
動物に関する法の研究者はほとんどいなかったそうです。


それでは、「動物法人化」とは何かというと
動物に「法人格」(法律上の人格、権利)を与えるという考えです。

「株式会社」や「財団法人」などは、それ自体は「人」ではないですが
法律上の人格(権利能力)を持ちます。
それを動物にもあてはめようという考えです。

ただし、「権利」といっても、動物自身は裁判を起せませんから
人間または団体が代理人となって、権利を行使できるようにする
という考えです。

また、「動物の法人化」は「人間と同じ権利」を与えるものではありません。
動物の権利の中心的内容は、
「不必要に殺されたり虐待されたりせず、天寿をまっとうする権利」
であろうと考えられています。

ほんとうに、そんなことは可能なのか?

と考える方が多いと思います。
日本の法律は、2世紀のローマ法学に由来されており
権利主体である「人」と、それ以外の「物」を分けて考える
「人・物二元論」から成り立っています。

動物は「人」ではないから「物」に分類される
というのが従来の考え方でしょう。

ところが、20世紀後半から、ヨーロッパを中心に
法学の世界では、動物が「物」から「人」へ近づく
第3の位置づけとされる流れが生まれつつあります。

下の表をご覧ください。



Sippoの記事の一部を「表」にしたものですが
一目瞭然「動物は物ではない」という流れが起きています。


青木先生の「動物の法人化」という提言は、
一般人からの反応はほとんどなかったといいます。

法学界からの反応も、わずかだったそうです。
(ふたりの民法学者が理解を示しています)

実際には、「動物の法人化」には、現行法の改正が必要であり
その他にも、数々のハードルがあり、その成立は容易でない。
と先生も認めています。

それでも、近年、日本では動物愛護の関心が高く
「動物法人化」も「議論」としては可能な社会になりつつある、と
青木先生は感じてます。


よくいわれる話ですが、
「動物愛護問題」は、愛護されるのは「動物」ですが
「人間社会の問題」そのものであり、
動物の問題を考えることは、
人間の社会を考えることです。








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ちばわんいぬ親会ねこ親会のお知らせ

11月もたくさんのちばわんイベントがあります。お時間がありましたら
お近くの会場へぜひ!

第3回湘南プチいぬ親会

11月17日(土)11:00~15:00 
小田原ダイナシティ「ドッグデイズ2012秋」に、ちばわんが登場!
参加わんこの詳細は、バナーをクリック!

第8回八王子いぬ親会

11月23日(金・祝)11:00~15:00 八王子市役所庁舎前河川敷で開催
詳細は後日発表いたします。
※フリマ物資を募集しています。締め切り11月16日(金)詳しくは→こちら

11月のちばわん品川ねこ親会いぬ親会

11月25日(日) 品川区ウエルカムセンター原・交流施設で開催
室内なので、雨でも開催します。今回は会場の都合で犬猫とも2階で開催します。
参加わんこにゃんこの詳細は後日発表します。
ウエルカムセンター周辺への路上駐車・駐輪はご遠慮ください

第20回湘南いぬ親会

今年最後の湘南いぬ親会
12月2日(日)10:30~14:30 鎌倉海浜公園にて開催!
参加予定わんこの詳細は後日発表されます。

コメント一覧

カプアンパパ
ぽぽん&ひよりママさん
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
ベルリンの「地球でイチバンペットに優しい街」は録画しておいたのを見ました。
動物保護施設ティアハイムは、世界トップクラスの動物保護施設として日本でも有名ですね。
こういうところこそが、真の「動物愛護センター」だと思います。
拙ブログでも、以前、ドイツの動物保護についてご紹介させていただきました。
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/d/20090904
ドイツでは140年前に、すでに200の動物保護団体があったそうです。よく、日本の動物愛護は、欧米に比べて100年遅れている。と言われますが、私はここ数年で、日本も欧米を追いかけようという意識が芽生えてきたように感じます、まだまだ先は長いですけどね。
カプアンパパ
あずきママさん
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
あずきママさんも読まれてましたか。
通常の動物愛護の話でなくて、「法律」の話だったので、簡単には頭に入らなかったですが、固い、と思われる法学の世界にも、こんなことを考えている人がいるのか、と新鮮でした。
日本はいつになったら、欧米並みの動物愛護の意識が備わりますでしょうか?
紛争や革命が繰り返された欧米のほうが、平和が長い日本より、動物も含めた、社会のことを考える土壌だということでしょうか?
ぽぽん&ひよりママ
ベルリンの犬
先日、NHKでベルリンにおける犬と社会について、放送していました。ご覧になりましたか?

ドイツは動物保護に関しては最先進国ですが、その中でもベルリンはもっとも充実しているとか。散歩にいかない飼い主は「虐待」と通報され、ドッグポリスが直行し場合によっては犬を取り上げjます。広い公園の中のホテルのような収容所など、日本はいつになったらここまで行くのだろう、とうらやましいのを通り越し、ぼう然としてしまいました。
あずきママ
カプアンパパさん、私もSIPPO読みました。
世界的にというか、先進国では動物は物ではないという考えが主流になってきているのですね。感覚と感情を持った命・生き物として、物とは区別される方向にあるようです。
翻って、日本では「命ある存在」とうたわれていますが、ちょっと曖昧かなという感じがします。

さまざまなところで起こっているペットの問題も、原因は人間が作り出したことなんですよね。

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