
9月11日~17日の1週間、東京・新宿バルト9で開催された第5回スペイン・ラテンアメリカ映画祭。
(Latin Beat Film Festival)
昨年は伝説のバイラオーラ・ローラ・フローレスの半生を描いた「ローラ」や、アントニオ・バンデラス
初監督作品「夏の雨」などを鑑賞した。
普段スペイン語の映画を観る機会は少ないので、ヒヤリングの勉強にもなり一石二鳥のこの映画祭
今年も楽しみにしていた。
今回選んだのはスケジュールの都合もあり、3本だけとなってしまったけれど、ぜんぜんちがったものを選べたので面白かったと思う。
本当はもう一本観たいのがあったのだけど(「静かな光」です!)休日の上映日はチャンピオンズ・
オン・アイスの日と重なり、あとは平日の昼間で行かれなかった。
で、まずは初日の9月11日オープニング作品、カルロス・サウラ監督の舞台挨拶付「ファド」。
続いてその後に上映されたガエル・ガルシア・ベルナール初監督・主演作品「デフィシット」。
こちらはメキシコ映画。
プロデューサーと映画に出演した日本人俳優さんの舞台挨拶と質疑応答タイム付。
最後の1本はスペイン人シェフがコンクールに参加して奮闘する様子を記録したドキュメンタリー
「鶏肉、魚、そして蟹」(面白いタイトル!)でこちらは土曜日の午前中に鑑賞。
サウラ監督は過去「音楽」や「踊り」を映像化した2作品「フラメンコ」と「タンゴ」に続いて「ファド」をとりあげた。スタジオでミュージシャン達が踊りや歌を披露するところは前2作と同じアプローチだ。
舞台を作り上げる様子を描きながら、出演者のインタビューなども交え、最後にその舞台を映像化
した「サロメ」などもこの流れを汲む作品のひとつ。
今回の「ファド」はポルトガルの郷土色の濃い「歌」の世界であり(日本なら演歌といったところ?と
よく言われるけれど)踊りではない。
その分映像も淡々としているなぁと感じるのは当然のことかな。
冒頭は街を歩く人々などが映るのだけど、あとはいろいろな歌手が次々とファドを切々と歌う様子が続き、ちょっと単調な気もしてしまった。
もっとリスボンの映像などが差し挟まれていたら、うれしかったかも。
ファドのショーは一度しか行ったことがないけれど、人間の声の持つパワーのすごさには圧倒されたし、ものすごく印象に残っている。
そしてリスボン。リスボンには今まで3回行ったことがある。
青い絵タイル・アズレージョに覆われた壁と坂道の多い街。
海の香りがするけれど、七つの丘から見えるのは海ではなくテージョ河だ。
河といっても河口に近いので限りなく広く、海の雰囲気がする。
乾燥したスペインとちがって、湿り気のある感じなのがポルトガルだ。
路地裏に漂うイワシを焼く匂い、窓から窓へと渡されたロープにかかる洗濯物、石畳の道に光る
レールを上をゴトゴト縦横無尽に走る市電。
サウダージ(郷愁)という言葉がしっくり似合ういぶし銀の街。
ファドを聴いているとそんな光景が脳裏をかすめていく。
魂の底の底に訴えかけ、忘れていた遠い記憶を呼び覚ますような歌。
最近ではファドとフラメンコのカンテのコラボもあるらしいけれど、この映画の中でもカンタオールの
ミゲル・ポベーダがファド歌手の女性と共演していた。
フラメンコのカンテも魂の歌である。
でもファドは演歌だけどフラメンコは民謡という感じがするんだよね。
でもそんな世界にも新しい風が吹き始めている。
そんな「今風」のファドも聴くことができる。
ファドが好きな人も、ファドを知らない人も、ファドの持つ強烈なパワーを垣間見られる作品だね。
ポルトガルは私の大好きなステファン・ランビエールのお母さんの祖国だ。
彼の体の半分を流れる血はポルトガルの血。
またポルトガルに行きたくなった・・・。
(Latin Beat Film Festival)
昨年は伝説のバイラオーラ・ローラ・フローレスの半生を描いた「ローラ」や、アントニオ・バンデラス
初監督作品「夏の雨」などを鑑賞した。
普段スペイン語の映画を観る機会は少ないので、ヒヤリングの勉強にもなり一石二鳥のこの映画祭
今年も楽しみにしていた。
今回選んだのはスケジュールの都合もあり、3本だけとなってしまったけれど、ぜんぜんちがったものを選べたので面白かったと思う。
本当はもう一本観たいのがあったのだけど(「静かな光」です!)休日の上映日はチャンピオンズ・
オン・アイスの日と重なり、あとは平日の昼間で行かれなかった。
で、まずは初日の9月11日オープニング作品、カルロス・サウラ監督の舞台挨拶付「ファド」。
続いてその後に上映されたガエル・ガルシア・ベルナール初監督・主演作品「デフィシット」。
こちらはメキシコ映画。
プロデューサーと映画に出演した日本人俳優さんの舞台挨拶と質疑応答タイム付。
最後の1本はスペイン人シェフがコンクールに参加して奮闘する様子を記録したドキュメンタリー
「鶏肉、魚、そして蟹」(面白いタイトル!)でこちらは土曜日の午前中に鑑賞。
サウラ監督は過去「音楽」や「踊り」を映像化した2作品「フラメンコ」と「タンゴ」に続いて「ファド」をとりあげた。スタジオでミュージシャン達が踊りや歌を披露するところは前2作と同じアプローチだ。
舞台を作り上げる様子を描きながら、出演者のインタビューなども交え、最後にその舞台を映像化
した「サロメ」などもこの流れを汲む作品のひとつ。
今回の「ファド」はポルトガルの郷土色の濃い「歌」の世界であり(日本なら演歌といったところ?と
よく言われるけれど)踊りではない。
その分映像も淡々としているなぁと感じるのは当然のことかな。
冒頭は街を歩く人々などが映るのだけど、あとはいろいろな歌手が次々とファドを切々と歌う様子が続き、ちょっと単調な気もしてしまった。
もっとリスボンの映像などが差し挟まれていたら、うれしかったかも。
ファドのショーは一度しか行ったことがないけれど、人間の声の持つパワーのすごさには圧倒されたし、ものすごく印象に残っている。
そしてリスボン。リスボンには今まで3回行ったことがある。
青い絵タイル・アズレージョに覆われた壁と坂道の多い街。
海の香りがするけれど、七つの丘から見えるのは海ではなくテージョ河だ。
河といっても河口に近いので限りなく広く、海の雰囲気がする。
乾燥したスペインとちがって、湿り気のある感じなのがポルトガルだ。
路地裏に漂うイワシを焼く匂い、窓から窓へと渡されたロープにかかる洗濯物、石畳の道に光る
レールを上をゴトゴト縦横無尽に走る市電。
サウダージ(郷愁)という言葉がしっくり似合ういぶし銀の街。
ファドを聴いているとそんな光景が脳裏をかすめていく。
魂の底の底に訴えかけ、忘れていた遠い記憶を呼び覚ますような歌。
最近ではファドとフラメンコのカンテのコラボもあるらしいけれど、この映画の中でもカンタオールの
ミゲル・ポベーダがファド歌手の女性と共演していた。
フラメンコのカンテも魂の歌である。
でもファドは演歌だけどフラメンコは民謡という感じがするんだよね。
でもそんな世界にも新しい風が吹き始めている。
そんな「今風」のファドも聴くことができる。
ファドが好きな人も、ファドを知らない人も、ファドの持つ強烈なパワーを垣間見られる作品だね。
ポルトガルは私の大好きなステファン・ランビエールのお母さんの祖国だ。
彼の体の半分を流れる血はポルトガルの血。
またポルトガルに行きたくなった・・・。