先月の台風上陸のときに、母親と歌舞伎を見に行った。
以前の日記で書いた、株主優待のチケットの日だった。
折りしも台風が関東上陸の日、いやーでもなかなかない機会だもの。歌舞伎ははずせない。
当日は朝から雨だったが、嵐の前の静けさといった感じで外はやたらと静かだった。
夜の部のチケットを持っていたので、時間は前もって2時半くらいには家を出た。
電車は順調。めずらしく乗り換えの間もいい。ついてるのーなんて思いつつ。
銀座に降り立つ。まずここで弁当を調達する。
幕の内弁当なんていう言葉もあるくらいだから、観劇に弁当は必須。
なんせ4時半から幕間いれて5時間の長丁場、飯を食わないと体がもたん。
お金のある人たちは歌舞伎座内で予約した幕の内弁当を食べるんだけど、
場所は食堂に移動しなければならないし、5千円くらいだからパス。
せっかく銀座なんだし、デパートだっておいしいものがたくさん売っているのだ!
銀三はいつも行くのでめずらしく松屋いこっかーなんて言って松屋へ。
うーん。おいしそうなお菓子いっぱい。特にミクニのお店がおいしそう。
調理コーナーへ。あれー?あんまりない。銀三の方が良かったかしら?
でも定番だけどなだ万を発見したのでなだ万のお弁当と焼きさばすしを買った。
やっぱりミクニが気になって焼き菓子を二つ買う。このお菓子が数時間後に私的ブームを迎える。
銀座から歩いて東銀座の歌舞伎座へ。まだ昼の部続いている。
この客の出し入れ、大変だろーなー。すごい短時間に客を入れ替えてる。
雨脚は徐々に強くなっている。あーあ、本当はパンプス履きたかったのに雨だから長靴だ。
夜の部に入るためのおばちゃん連中が続々と集まってくる。
いつもは着物の人が多いものだが、やっぱり台風。レインコート姿が目立つ。
金ありそうな人がおおいなー。いつもながら凹むのだ。
さっさと入場。お弁当の準備もある。準備万端。席は、すごい前じゃん!
花道より下手側だからさすがにはじっこだけど、それでもすごい。全部近いよ。
花道なんて目の前だ。役者がここを通ったらすごいだろうなあとそれだけでも大興奮。
しかもさすがに台風の日。入りがよくなくて私と母の前の席は空だ。
あー、こんなにいいシチュエーションがあるだろうか。最高だなあ。
お隣は下手桟敷席。一人若造がいる。生意気だぞ若造。お茶菓子どんな味だったか、言え!
桟敷席はおそらくよくは見えないだろうとは思うのだが、ステータスのある席だ。
一人ひとり出入り口は別だし、掘りごたつ式でお茶とお茶菓子がつく。
いつかは、と思う席だ。いつかは、ねえ。
この日の公演は見取りといわれるもの。「より取り見取り」の見取りです。
人気のある演目から華やかな幕を抜粋したり、舞踊演目を入れたりしてお客をあきさせない。
これに対して「通し」と呼ばれるものもあるんだけど、これは長い演目を通して演じるもの。
「仮名手本忠臣蔵」などは長い話だから通しで行われたりする。
10月大歌舞伎の演目は、
一幕目、「井伊大老」
二幕目、「源平布引滝 実盛物語」
三幕目、「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち) 直侍」
でした。
井伊大老は幸四郎の抑制のきいた感情表現が光り、雀右衛門のいじらしさが涙を誘った。
地味といえば相当地味な演目。けれんみがほとんどなく、ほとんど会話劇と言ってもいいくらい。
でも、それが逆に西洋演劇もやっている幸四郎にあっていたのかな。
雀右衛門はその御年にもかかわらず(失礼!)かわいらしい!いじらしい!
井伊直弼が翌日暗殺されることを案じて二人で最後の夜を過ごすという内容なのだけど、
静かな、物悲しいとても良い芝居でした。
このあと、幕間30分。ごはんだごはんだー。お弁当タイム。
んまい!だてになだ万を語ってないね。
お弁当の煮物、甘すぎないです。卵焼き、甘すぎなくておだしがきいとります。
焼きさばすし、くさくありません!あと2貫くらいは食えました。
そして食後に先ほどミクニで買った焼き菓子を1つ頬張る。これが、不思議にうまいのです。
歯がかけるかと思うくらいに硬いんだけど、かめばかむほど味が出る。
甘くないのよ。塩がきいていてナッツに合うし、ナッツ類の油臭さがハーブで抑えられてるの。
次松屋に行っても絶対買うよあれは。久しぶりにはまったお菓子でした。
歌舞伎見るときにはお弁当やお茶菓子の楽しみ。これは欠かせないね。
次、実盛物語。主演は仁左衛門。くー、老いてなおいい男です。
実際は孫もいるくらいなんだけどね。
これもまたさわやかだけど物悲しい物語なのだった。
源平の戦いがモチーフになっていて、ここでは書ききれないくらいにストーリーは複雑!
太郎吉と実盛のやりとり、あっとおどろく瀬尾十郎の過去など見所はいっぱい。
最後に太郎吉が大人になったら自分を討てと約束をして馬に乗って去る実盛の颯爽とした魅力。
あー!!!花道ばんざい。仁左衛門ってなんていい男なんでしょう!
ちなみに、馬も2人の役者が演じる。すごいよ。リアル馬でした。
最後の幕、直侍なんだけどこれがまた泣けるのですよ。
まず圧倒されるのは舞台機構の素晴らしさ。自分の席が下手端で本当についていた。
続く冬の道が本当に奥行きがあるように見えるんだよね。
一場では蕎麦屋を舞台にして江戸の風俗が垣間見られ、直次郎の過去が私たちに知れる。
盲人の丈賀を橋渡しにして直次郎と三千歳とがつかの間愛を確かめる。
しかしかつての仲間の思わぬ裏切りにあい、二人は離れ離れになってしまう。
菊五郎の華が存分に生かされた演目。
隣のおじいちゃんは菊五郎の佇まいの美しさをしきりに賞賛していたし。
私も、あまり好きなタイプの役者ではないのだが、
あのオーラは家柄と名前の重さも併せて彼の大きな魅力になっていると思う。
入谷の街にしんしんと雪が降る舞台、黙阿弥の名調子と美しい浄瑠璃の言葉と旋律。
本当に名作演目だと思った。じーんと感動しました。
私は田之助演ずる賀丈が一番のお気に入り。
盲目の按摩氏なんだけど、気持ちがあったかいんです。
全部公演が終わると9時15分くらいだったかな。
気象の悪化の心配もあって、さっさと東銀座の駅へ階段を下りました。
すると運よく東横線との直通電車が来て、おかげさまで菊名まで一本でこれたの。
途中風雨が本当にひどくて、
(東横線ってホームに屋根のない駅がたくさんあるのね)
ずぶ濡れで帰途に着くサラリーマンを見ながらのらくら各駅で帰る親子。
畜生、横浜線に乗り換えてからが徐行運転で時間がかかったけれど無事帰宅。
帰るころには雨もほとんど止んでいて、駅から我が家への道も問題なし。
この日は本当に充実してました。
久しぶりの歌舞伎を、心から堪能しました。
以前の日記で書いた、株主優待のチケットの日だった。
折りしも台風が関東上陸の日、いやーでもなかなかない機会だもの。歌舞伎ははずせない。
当日は朝から雨だったが、嵐の前の静けさといった感じで外はやたらと静かだった。
夜の部のチケットを持っていたので、時間は前もって2時半くらいには家を出た。
電車は順調。めずらしく乗り換えの間もいい。ついてるのーなんて思いつつ。
銀座に降り立つ。まずここで弁当を調達する。
幕の内弁当なんていう言葉もあるくらいだから、観劇に弁当は必須。
なんせ4時半から幕間いれて5時間の長丁場、飯を食わないと体がもたん。
お金のある人たちは歌舞伎座内で予約した幕の内弁当を食べるんだけど、
場所は食堂に移動しなければならないし、5千円くらいだからパス。
せっかく銀座なんだし、デパートだっておいしいものがたくさん売っているのだ!
銀三はいつも行くのでめずらしく松屋いこっかーなんて言って松屋へ。
うーん。おいしそうなお菓子いっぱい。特にミクニのお店がおいしそう。
調理コーナーへ。あれー?あんまりない。銀三の方が良かったかしら?
でも定番だけどなだ万を発見したのでなだ万のお弁当と焼きさばすしを買った。
やっぱりミクニが気になって焼き菓子を二つ買う。このお菓子が数時間後に私的ブームを迎える。
銀座から歩いて東銀座の歌舞伎座へ。まだ昼の部続いている。
この客の出し入れ、大変だろーなー。すごい短時間に客を入れ替えてる。
雨脚は徐々に強くなっている。あーあ、本当はパンプス履きたかったのに雨だから長靴だ。
夜の部に入るためのおばちゃん連中が続々と集まってくる。
いつもは着物の人が多いものだが、やっぱり台風。レインコート姿が目立つ。
金ありそうな人がおおいなー。いつもながら凹むのだ。
さっさと入場。お弁当の準備もある。準備万端。席は、すごい前じゃん!
花道より下手側だからさすがにはじっこだけど、それでもすごい。全部近いよ。
花道なんて目の前だ。役者がここを通ったらすごいだろうなあとそれだけでも大興奮。
しかもさすがに台風の日。入りがよくなくて私と母の前の席は空だ。
あー、こんなにいいシチュエーションがあるだろうか。最高だなあ。
お隣は下手桟敷席。一人若造がいる。生意気だぞ若造。お茶菓子どんな味だったか、言え!
桟敷席はおそらくよくは見えないだろうとは思うのだが、ステータスのある席だ。
一人ひとり出入り口は別だし、掘りごたつ式でお茶とお茶菓子がつく。
いつかは、と思う席だ。いつかは、ねえ。
この日の公演は見取りといわれるもの。「より取り見取り」の見取りです。
人気のある演目から華やかな幕を抜粋したり、舞踊演目を入れたりしてお客をあきさせない。
これに対して「通し」と呼ばれるものもあるんだけど、これは長い演目を通して演じるもの。
「仮名手本忠臣蔵」などは長い話だから通しで行われたりする。
10月大歌舞伎の演目は、
一幕目、「井伊大老」
二幕目、「源平布引滝 実盛物語」
三幕目、「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち) 直侍」
でした。
井伊大老は幸四郎の抑制のきいた感情表現が光り、雀右衛門のいじらしさが涙を誘った。
地味といえば相当地味な演目。けれんみがほとんどなく、ほとんど会話劇と言ってもいいくらい。
でも、それが逆に西洋演劇もやっている幸四郎にあっていたのかな。
雀右衛門はその御年にもかかわらず(失礼!)かわいらしい!いじらしい!
井伊直弼が翌日暗殺されることを案じて二人で最後の夜を過ごすという内容なのだけど、
静かな、物悲しいとても良い芝居でした。
このあと、幕間30分。ごはんだごはんだー。お弁当タイム。
んまい!だてになだ万を語ってないね。
お弁当の煮物、甘すぎないです。卵焼き、甘すぎなくておだしがきいとります。
焼きさばすし、くさくありません!あと2貫くらいは食えました。
そして食後に先ほどミクニで買った焼き菓子を1つ頬張る。これが、不思議にうまいのです。
歯がかけるかと思うくらいに硬いんだけど、かめばかむほど味が出る。
甘くないのよ。塩がきいていてナッツに合うし、ナッツ類の油臭さがハーブで抑えられてるの。
次松屋に行っても絶対買うよあれは。久しぶりにはまったお菓子でした。
歌舞伎見るときにはお弁当やお茶菓子の楽しみ。これは欠かせないね。
次、実盛物語。主演は仁左衛門。くー、老いてなおいい男です。
実際は孫もいるくらいなんだけどね。
これもまたさわやかだけど物悲しい物語なのだった。
源平の戦いがモチーフになっていて、ここでは書ききれないくらいにストーリーは複雑!
太郎吉と実盛のやりとり、あっとおどろく瀬尾十郎の過去など見所はいっぱい。
最後に太郎吉が大人になったら自分を討てと約束をして馬に乗って去る実盛の颯爽とした魅力。
あー!!!花道ばんざい。仁左衛門ってなんていい男なんでしょう!
ちなみに、馬も2人の役者が演じる。すごいよ。リアル馬でした。
最後の幕、直侍なんだけどこれがまた泣けるのですよ。
まず圧倒されるのは舞台機構の素晴らしさ。自分の席が下手端で本当についていた。
続く冬の道が本当に奥行きがあるように見えるんだよね。
一場では蕎麦屋を舞台にして江戸の風俗が垣間見られ、直次郎の過去が私たちに知れる。
盲人の丈賀を橋渡しにして直次郎と三千歳とがつかの間愛を確かめる。
しかしかつての仲間の思わぬ裏切りにあい、二人は離れ離れになってしまう。
菊五郎の華が存分に生かされた演目。
隣のおじいちゃんは菊五郎の佇まいの美しさをしきりに賞賛していたし。
私も、あまり好きなタイプの役者ではないのだが、
あのオーラは家柄と名前の重さも併せて彼の大きな魅力になっていると思う。
入谷の街にしんしんと雪が降る舞台、黙阿弥の名調子と美しい浄瑠璃の言葉と旋律。
本当に名作演目だと思った。じーんと感動しました。
私は田之助演ずる賀丈が一番のお気に入り。
盲目の按摩氏なんだけど、気持ちがあったかいんです。
全部公演が終わると9時15分くらいだったかな。
気象の悪化の心配もあって、さっさと東銀座の駅へ階段を下りました。
すると運よく東横線との直通電車が来て、おかげさまで菊名まで一本でこれたの。
途中風雨が本当にひどくて、
(東横線ってホームに屋根のない駅がたくさんあるのね)
ずぶ濡れで帰途に着くサラリーマンを見ながらのらくら各駅で帰る親子。
畜生、横浜線に乗り換えてからが徐行運転で時間がかかったけれど無事帰宅。
帰るころには雨もほとんど止んでいて、駅から我が家への道も問題なし。
この日は本当に充実してました。
久しぶりの歌舞伎を、心から堪能しました。