<あなたへの手紙…!>

加齢と比例し記憶は薄れ身体能力は欠ける日々
模索しながら、頑張って登る八十路坂その生活を備忘録を
ここに綴ります!

60数年の歳月で一番哀しんだ日・・・!②

2007年07月01日 | 日記
60数年の歳月で一番哀しんだ日・・・!②

ある日課長が「明日、所長はお休みです。忙しいから貴方は休まないで、
下さいね」と念を押された。(あぁ!病院へいかれるのかな?と思った)

その日の退社時、裏の駐車場から車で出てくると、そこにB所長が
小雨に濡れて立っていた。    
ただ普通に「気をつけてね、お疲れ様」と手を振るこんな事は今までで始めてだ。
バックミラーを見ると・・・・・
小雨の中見えなくなるまで立っていた。

5日後に本社から専務が来た。
「彼はすでに末期のすい臓がんである。明日から次期所長が本社から出社する」
衝立から洩れくる情報である。

なんとまぁ・・・!本人は必死で全快をと、頑張っているにも拘らず、次期所長が
決まるなんて無慈悲な・・・会社人事の冷たさを知った。
 温情のなさに哀しかった。ほんとうに哀しかった。

  【つくづくと企業戦士の果か無さを月に映して思い知るかな】


次の日B所長の椅子には、本社から次期所長が座った。温和な優しい方で
三社祭りが大好きらしくお昼休みには、時々祭りの話が出てくる。

私はその日から毎日、昼の休憩時に、病室の所長へお見舞い状の絵手紙を書いた。
              

「今日も○○さんが遅刻です。いつもの様に何か言い訳をします。
 今日の言い訳は自転車のパンクでした???
 梅雨も真っ只中降る雨の量が多く、倉庫前の品に被せる青いビニールシートを
 10枚買い足しました。」

またある日は・・・・・
「○○さんが髪を切りショートのヘヤースタイルに変えて
来ました。とっても似合います。早く帰ってきて見て下さい。
流れ作業のローラーが回らず午前中は、手渡し作業のようでしたが
午後から配電盤が回復し、正常な稼動でした。」

このように、何でもない会社のひとこまを、絵手紙にして病室へ・・・
 会社の帰りにポストへ入れた。

所長は手術はしないで、入退院を繰り返しているらしい!そんな時は
連絡が来る。そして、また入院と知らせを聞くと、絵手紙をポストへ入れる。

時々社用で入院中の所長から電話が来る。
お見舞いに行っていいですか?と聞くともうすぐ退院して 出社するから
来なくていいと、そっけない返事・・・!

そんな繰り返しの日々紅葉も真っ盛りの午後、私の机の電話が鳴った。
「土曜日2時に見舞いにおいで・・・」 と、それのみで電話は切れた。

        (つづく)

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