60数年の歳月で一番哀しんだ日・・・!②
ある日課長が「明日、所長はお休みです。忙しいから貴方は休まないで、
下さいね」と念を押された。(あぁ!病院へいかれるのかな?と思った)
その日の退社時、裏の駐車場から車で出てくると、そこにB所長が
小雨に濡れて立っていた。
ただ普通に「気をつけてね、お疲れ様」と手を振るこんな事は今までで始めてだ。
バックミラーを見ると・・・・・
小雨の中見えなくなるまで立っていた。
5日後に本社から専務が来た。
「彼はすでに末期のすい臓がんである。明日から次期所長が本社から出社する」
衝立から洩れくる情報である。
なんとまぁ・・・!本人は必死で全快をと、頑張っているにも拘らず、次期所長が
決まるなんて無慈悲な・・・会社人事の冷たさを知った。
温情のなさに哀しかった。ほんとうに哀しかった。
【つくづくと企業戦士の果か無さを月に映して思い知るかな】
次の日B所長の椅子には、本社から次期所長が座った。温和な優しい方で
三社祭りが大好きらしくお昼休みには、時々祭りの話が出てくる。
私はその日から毎日、昼の休憩時に、病室の所長へお見舞い状の絵手紙を書いた。
「今日も○○さんが遅刻です。いつもの様に何か言い訳をします。
今日の言い訳は自転車のパンクでした???
梅雨も真っ只中降る雨の量が多く、倉庫前の品に被せる青いビニールシートを
10枚買い足しました。」
またある日は・・・・・
「○○さんが髪を切りショートのヘヤースタイルに変えて
来ました。とっても似合います。早く帰ってきて見て下さい。
流れ作業のローラーが回らず午前中は、手渡し作業のようでしたが
午後から配電盤が回復し、正常な稼動でした。」
このように、何でもない会社のひとこまを、絵手紙にして病室へ・・・
会社の帰りにポストへ入れた。
所長は手術はしないで、入退院を繰り返しているらしい!そんな時は
連絡が来る。そして、また入院と知らせを聞くと、絵手紙をポストへ入れる。
時々社用で入院中の所長から電話が来る。
お見舞いに行っていいですか?と聞くともうすぐ退院して 出社するから
来なくていいと、そっけない返事・・・!
そんな繰り返しの日々紅葉も真っ盛りの午後、私の机の電話が鳴った。
「土曜日2時に見舞いにおいで・・・」 と、それのみで電話は切れた。
(つづく)
ある日課長が「明日、所長はお休みです。忙しいから貴方は休まないで、
下さいね」と念を押された。(あぁ!病院へいかれるのかな?と思った)
その日の退社時、裏の駐車場から車で出てくると、そこにB所長が
小雨に濡れて立っていた。
ただ普通に「気をつけてね、お疲れ様」と手を振るこんな事は今までで始めてだ。
バックミラーを見ると・・・・・
小雨の中見えなくなるまで立っていた。
5日後に本社から専務が来た。
「彼はすでに末期のすい臓がんである。明日から次期所長が本社から出社する」
衝立から洩れくる情報である。
なんとまぁ・・・!本人は必死で全快をと、頑張っているにも拘らず、次期所長が
決まるなんて無慈悲な・・・会社人事の冷たさを知った。
温情のなさに哀しかった。ほんとうに哀しかった。
【つくづくと企業戦士の果か無さを月に映して思い知るかな】
次の日B所長の椅子には、本社から次期所長が座った。温和な優しい方で
三社祭りが大好きらしくお昼休みには、時々祭りの話が出てくる。
私はその日から毎日、昼の休憩時に、病室の所長へお見舞い状の絵手紙を書いた。
「今日も○○さんが遅刻です。いつもの様に何か言い訳をします。
今日の言い訳は自転車のパンクでした???
梅雨も真っ只中降る雨の量が多く、倉庫前の品に被せる青いビニールシートを
10枚買い足しました。」
またある日は・・・・・
「○○さんが髪を切りショートのヘヤースタイルに変えて
来ました。とっても似合います。早く帰ってきて見て下さい。
流れ作業のローラーが回らず午前中は、手渡し作業のようでしたが
午後から配電盤が回復し、正常な稼動でした。」
このように、何でもない会社のひとこまを、絵手紙にして病室へ・・・
会社の帰りにポストへ入れた。
所長は手術はしないで、入退院を繰り返しているらしい!そんな時は
連絡が来る。そして、また入院と知らせを聞くと、絵手紙をポストへ入れる。
時々社用で入院中の所長から電話が来る。
お見舞いに行っていいですか?と聞くともうすぐ退院して 出社するから
来なくていいと、そっけない返事・・・!
そんな繰り返しの日々紅葉も真っ盛りの午後、私の机の電話が鳴った。
「土曜日2時に見舞いにおいで・・・」 と、それのみで電話は切れた。
(つづく)