あさじう しのはら
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど
あまりてなどか 人の恋しき
詠んだ人・・・参議等(さんぎひとし)
詠んだ人のきもち・・・まばらに茅がはえている野原と
その野原の篠。
私は恋をたえしのんでいるが
どうにもしのびきれない。
どうしてこんなにあなたが恋しいのだろうか。
浅茅生・・・まばらに茅(ちがや)のはえたところ。
茅はススキに似たイネ科の草。
「小野」のまくらことば。
小野・・・野原
篠原・・・篠(しの)のはえた野原。
篠は細くて小さい竹。
あまりて・・・「しのぶれど」をうけて、ここでは
しのぶにあまる、つまり
たえしのぶことができない、という意味。
などか・・・どうしてだろうか
人・・・ここでは、あなた
「浅茅生」から「篠原」までは、実際の風景というより「しのぶれど」という言葉をみちびきだすための長い序詞になっています。
そういう序詞を使ったおかげで、静かでさびしい風景のイメージと忍びがたい恋の思いが同時にうかび、味わいを深めているわけです。ちょっとわかりにくいですけどね~。