心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

中央アルプス・空木岳(1)

2020年04月19日 | 中央アルプス・南アルプス


空木岳(2,864m)


「~ 中央アルプスの北半分に主峰駒ヶ岳があって、多くの登山者で賑わうが、南半分を訪れる人はぐっと少なくなる。その南半分の最高が空木岳である。登山者というロマンティストは美しい山の名に惹かれる。心の中に、まだ訪れたことのない、しかしその美しい名前だけは深く刻み込まれている、幾つかの山を持っているものだ。
   私にとって、空木岳はその一つであった。空木、空木、何というひびきのよい優しい名前だろう。 ~」(深田久弥『日本百名山』(新潮文庫))

 登山を初めてほぼ1年経つ頃のある週末に、有給休暇は取れませんが、土日で登れる山を探していました。
 南アルプス、北アルプスの山には登り、八ヶ岳にも登ったので、未登の中央アルプスに一度登ってみたいと思いました。
 「ヤマケイアルペンガイド11 中央アルプス 御嶽山・白山」(津野祐次・島田靖・栂典雅著 山と渓谷社)を読むと、空木岳のサブコースとして池山尾根の登りコースが紹介されています。地図上のタイムは、駒ヶ池バス停から空木岳までが6時間半。途中の「池山林道終点」まではタクシーで入れるとのことで、少し短くなりそうです。
 これなら日帰りができるかもと思うと、会社帰りの電車の中でわくわくしました。
 この頃は、通勤バッグの中に山のガイドブックを3冊か4冊は入れて、毎日持ち歩いていたものです。

 早朝、登山口までタクシーで送ってもらいましたが、池山林道は工事中で終点まで入れませんでした。歩き始めたのは標高1,200mくらいの地点だったと思います。
 最初から飛ばし気味に歩きました。1時間半登ると、水場がありました。大きな木がくりぬかれたところに、湧き出た水が流れ続けています。近くには三角形の屋根をした池山小屋が建っていましたが、人の気配はありませんでした。
 森のとても美しいコースでした。途中の「マセナギ」では、星屑が流れて来るように木漏れ日が注いでいました。シラカバの幹が、陽光に照らされて白さをさらに増しています。
 眺望のきく場所が、少しずつ出てきました。
 地図上には、「大地獄」「小地獄」というおどろおどろしい名前のポイントもありましたが、注意して歩けばさほど危険ではない印象でした。
 何時間もかけて樹林帯を登り続けると、頂上がいきなり目に飛び込んできました。何の前触れもなくぱっと世界が変わるのでびっくりします。
 登山道に序盤・中盤・終盤があるとすれば、空木岳では序盤がとても長く、中盤はほとんどなく、いきなり終盤に至るのです。






 (登頂:2012年8月下旬) (つづく) 



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