心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

南アルプス・塩見岳(1)

2019年10月07日 | 中央アルプス・南アルプス


塩見岳(3,052m)

 「塩見岳の特徴は、漆黒の鉄の兜、あるいはズングリした入道頭、こうおぼえておけば、遠くの山から南アルプスを眺めても、その中の塩見岳を見落とすことはないだろう。~」(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))


 間ノ岳から塩見岳

 南アルプス全体を北部・南部に分けるなら、塩見岳はちょうどその分岐点にそびえている山です。標高は3,052mもあるものの、登る前の印象では、塩見岳は南アルプスの山々の中では地味でした。よく覚えているのは、間ノ岳からの塩見岳です。山頂だけが盛り上がった姿はまさに「漆黒の鉄の兜」の通りの山で、鉄兜のことを知らない人でもすぐに分かるくらいな山容をしており、奥穂高岳から見たジャンダルムを想い出させるほどの威容を誇っていました。間ノ岳に登った一年前、悪沢岳から撮影した塩見岳の写真も見返してみましたが、その時はそこまで特徴のある姿には見えなかったように思います。


 奥穂高岳からジャンダルム


 悪沢岳から塩見岳
 
 前日は飯田に泊まりました。その時の本州は、「二重高気圧」というものに覆われていたと聞きました。とにかく暑い一日でした。
 長野県の市で最も南部に位置する飯田市は、全国的にも夏の暑さが特に厳しい場所の一つです。
 さすがに朝晩は東京よりは涼しいと思っていましたが、自分たちの泊まった日の5日前、2018年7月17日は最低気温が25.6度で、観測史上初めての熱帯夜になったということでした。


 翌朝は伊那大島駅まで移動し、鳥倉登山口までバスに乗ります。「赤石岳・荒川岳・東岳・聖岳・三伏・塩見岳・各縦走路表口」という大きな看板があります。駅前にコンビニはありませんが、自動販売機で飲み物は調達可能でした。
 塩見岳への登路は次の4通りがあります。
 1:鳥倉登山口~三伏峠~塩見岳
 2:二軒小屋~蝙蝠岳~塩見岳
 3:北岳・間ノ岳から塩見岳への縦走、または仙丈ヶ岳から仙塩尾根を経て塩見岳への縦走
 4:荒川中岳から三伏峠を経て塩見岳への縦走
 今回は1:のルートを往復する1泊2日の登山ですが、もし1がなければとても大変な山になります。2の蝙蝠岳経由は、二軒小屋から一日で登るには相当難しい距離と標高差がありますが、途中に山小屋はありません。しかも、昭文社の「山と高原地図」では、このルートは点線で示されており、距離も相まって困難な道のりになりそうです。「蝙蝠尾根」という名前からして大変な感じがします。
 1がなく、点線ルートの2も使えなければ3か4の縦走となります。例えば3と4を組み合わせて、■広河原~北岳~間ノ岳~塩見岳~三伏峠~荒川中岳・悪沢岳~椹島 とすると、短くても4泊5日が必要だと思います。
 考えただけでもわくわくしますが、壮大なルートです。もし1の鳥倉登山口ルートがなければ、塩見岳は日本百名山の中で、最も日数を要する山になっていたかもしれません。


 伊那大島駅にあった、手書きの塩見岳の絵が、味があります。

 (登頂:2018年7月下旬) (つづく)



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