心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

鈴鹿最北の山・霊仙山(4) 最高点と山頂・お虎ヶ池・汗ふき峠

2022年07月24日 | 中部・近畿地方の山


霊仙山(1,094m) ((3)のつづき)


 「~ 鈴鹿の山々の中でも霊仙山ほど大きな山はない。さして目立った標高ではないのだが、四方に深く刻み込んだ谷と長大な尾根を伸ばしている。登山道も多く通じていて、古くから親しまれ、大きく深い魅力を秘めた山である。 ~」(『鈴鹿の山を歩く』草川啓三(ナカニシヤ出版))


 「霊仙山ほど大きな山はない。」というのは稜線に立つと分かります。スケールの大きな景色です。こういう山は東京や関東近郊にはないなと思います。鷲が音を立てずに飛んでいるのが、悠然とした感じがします。
 標高1,000mを少し超える程度の高さでありながら、冬は雪と風が厳しく、大きな木があまり育ちません。
 石灰岩の山らしく、霊仙山の稜線には、同じ鈴鹿の鈴北岳で見たのと同じ、ため池状の地形もあります。池の数は霊仙山の方が少ないです。山に突き立てた刀のような形の岩もあります。
 近江展望台から1時間以上のんびり歩いて、たどり着いたのは「霊仙山最高点」でした。最高点の向こうの伊吹山は小さく見えます。霊仙山では、最高点と(三角点のある)山頂は別々の場所にあり、「最高点」の方が「山頂」より10m高いです。近くには最高点と山頂の両方を指す標識もあり、2つは別々の方向を指しています。
 単純なようで複雑な地形です。5月でも残雪があります。太陽をさえぎるものがないのに雪があるというのは、冬の積雪が多かったに違いないと思わせます。
 「汗ふき峠」(地形図でも”ふき”は平仮名で表記されています。)へ下る途中、八合目に「霊山神社」の鳥居と池があります。現地の標識はただの「お池」ですが、『鈴鹿の山を歩く』の地図を見ると「お虎ヶ池」という名前で、「琵琶湖の形をしている」という注釈もあります。琵琶湖に似ているかどうかは分かりませんでしたが、琵琶湖のミニチュアがあるとすれば、その中で最も小さいのがこの池だと思います。
 カエルの鳴き声が騒がしいほどの音量です。そんなにたくさんカエルがいるとは思えませんが、音だけは存在感を出しています。
 六合目から森の中に戻り、汗ふき峠から北に向かって榑ヶ畑に出て登山道は終わりました。三角屋根の山小屋が建っていますが、人の気配はありません。”かなや手動飲料販売所”がありますが、飲み物は1つもありません。
 榑ヶ畑も、登り始めた地点の今畑と同じく廃村です。灰色の大きな壺が横倒しになっています。今畑にあったような大きな廃屋は見当たりませんでしたが石垣はあります。廃村になったのは今畑よりも早かったようです。昔は建物が建っていたであろう場所に植林され、その樹々が今では大きくなっています。この地が自然に還っても、廃村の雰囲気はいつまでも残るだろうと思いました。
 乗合タクシーの出る養鱒場まで、アスファルトの道を1時間ほど下りました。







◆◆◆◆◆
【霊仙山(登り:西南尾根ルート・下り:榑ヶ畑ルート)】
 今畑登山口10:05→笹峠11:55→(途中昼食休憩およそ30分)→近江展望台13:29→最高点14:36→山頂(三角点)14:51→お虎ヶ池15:25→六合目15:50→汗ふき峠16:31→榑ヶ畑16:42→養鱒場17:30
※道が不明瞭なところはありませんでした。鎖場や梯子はありませんが、急坂はところどころで出てきます。特に、近江展望台への最後の登り坂が急で、どこでも歩けるように見えて安定しない足場があります。
 (体力●●●○○ 技術●●●○○) (登頂:2022年5月上旬) 



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。