Study of Spenser

ロバート・B・パーカー著、ボストンの私立探偵スペンサーを読み解くガイドブックです

誘拐 - God Save The Child - (1974) 11章その2

2009-08-30 | 海外ミステリ紹介
画像は、ナター・バター・クッキーよりははるかに美味しい、ブルックリンのイタリアン・ベーカリーのクッキー。


第11章その2
マージャリー・バートレットは、自分の命を狙うと脅迫されているのですぐに来て欲しいと告げます。
スペンサーは55分でスミスフィールドのバートレット宅に馳せています。最初にスペンサーが訪れたときにいた警官・ポール・マーシュがいて、スペンサーが見張りを代わろうかと言うと、そんなことをしたらトラスク署長に怒られる、彼はミセス・バートレットに熱をあげているから(I think he’s hot for Mrs. Bartlett.)と言います。

マージャリー・バートレットに掛かった脅迫電話は、ティーンエイジャーの女の子の声で、ケヴィンを押さえている、次はお前だという内容だったとスペンサーに話します。

ミスタ・バートレットは仕事からまだ帰っておらず、バートレット家の娘(ケヴィンの妹)ドリィが、1960年代のスローガン、<Make love not war 戦争より愛>と書かれたTシャツを着て、マカロニ・アンド・チーズのTVディナーを食べながらタブを飲んでいました。

■■ タブ(tab, TaB)は、1963年にダイエット・ドリンクとしてコカコーラ社から販売されてたソフトドリンクです。チクロやサッカリンなどの有害性が発表されるたびに、甘味料の種類を変えてきたのですが、ダイエット・コークの発売でタブの市場は小さくなっていきました。ま、それでもこの味が好きな人というのはいるようです。
タブは嫌いだからコカコーラを買ってくれと言うドリィに、マージャリーはタブはほとんどカロリーがないのよ、言っていますが、ダイエット・コークが発売されたのは1982年ですから、この物語当時のカロリー・オフ飲料としては、タブに頼っていたわけです。

ドリィはデザートにナター・バター・クッキーを食べながら2本目のタブを飲んでいます。
スペンサーがドリィに自己紹介すると、彼女は自分の本当の名前ディライラ(Delilah)が好きではないらしく、スペンサーに「馬鹿げた名前じゃない? Isn’t that a dumb name?」と言います。

■■ ナター・バター・クッキー(Nutter Butter Cookies)はナビスコ社から発売されているクッキーで、中央がくびれたピーナッツの形の二枚のクッキーの間に、ピーナッツバターのフィリングがはさんであります。(けっこう好きです、これ)

ドリィは、二階にある別の電話で、脅迫電話を聞いていて、マージャリーがスペンサーに語った電話の内容は嘘だと告げます。本当は、「They are going to punish my mother for screwing her ass off all over town. 母親は町中の男と寝ているから罰を与える」と言ったというのです。

スペンサーは、子供にこんなことを聞くのは嫌だと思いながらも、ドリィに、そのことは本当のことだと思うかと問うと、ドリィは「Oh, sure. Everybody knows about my mother except maybe Duddy. She screws with everybody. She screws with Mr. Trusk, I know. もちろんよ。みんなママのことは知っているわ。たぶんパパを除いては。彼女はみんなとやってるし、ミスタ・トラスクともやってるの」そして、嫌だけど慣れてしまった、でもケヴィンはいつも怒っていた(used to drive Kevin crazy)と言います。

マージャリーが弁護士のマグワイアとスペンサーのそばにやって来て、余分に手当てを支払うから、マージャリーの警護をして欲しい、バートレット家に泊まりこんで、マージャリーが買い物やパーティや劇のリハーサルに行くときについていて欲しい、ボディガードとして雇いたいのだと言います。

スペンサーは、それをやっていてはケヴィンを捜す時間がないと断るのですが、しばらくの間と言われて、引き受けてしまいます。そして必要なもの取りに、一旦ボストンのアパートメントに帰ることにするのでした。


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