お姉ちゃんに笑顔を4
山道で新次郎は偶然
はつとあった。
「加野屋さま・・・」
前で大八車をひいていた
栄達は新次郎を見て逃げ出した。
新次郎は大八車につまれた
野菜を見た。
一方あさは雁助と一緒に
五代から誘われた
大阪商人の会に参加した。
その日は五代が招集したことも
あって、大勢の人が
集まった。
そこへ五代が入って来た。
あさは、話を聞かなくては
と思って緊張した。
さて、山道で栄達が逃げて
しまい、はつは大八車を
動かすことができなくなり
新次郎は引いてみるが
力仕事などやったことのな
ぼんぼんには動かすことも
できない。
「一応わて、男だすし」と
いう。
「もうやめとくれなはれ。
手が汚れます。」
「こんな手伝いもできないなんて
なさけないわ。」
なぜここがわかったのかとはつが
きくが
新次郎は偶然だという。
「こんなことなら
あさが用意していた荷物をもって
くるんだった」というが。
はつは、
「施しはいりまへん」と
きっぱりと断った。
「農家でやっかいになっている」
という。
「みんな元気だ」というが。
そこへ惣兵衛が「新次郎さん」と
声をかけた。
はつは、「あさには言わないでくれ」と
いった。
「加野屋さんはまだ御無事出すか?」
「いまのところはな」、と新次郎。
「今度酒などちそうしてもらわねば」と
いって、
笑ってはつと行ってしまった。
こちら・・・
五代は、旦那衆の前で
新しい時代は新しい大阪の経済を
立て直さないといけない。
皆で新しい大阪を作りましょう
といった。
あまりにも当然といわば
当然、おおざっぱと
いえば
おおざっぱな話である。
「このままだと、東京や
また、西洋から入って来る
あたらしい商売に潰されて
しまいます。」
「だからどうせいというだ」と
山屋のおやじがいう。
「だからどないしたら、儲かるのか
聞きたい」と山屋はいった。
五代は、「儲けはすぐにでるものでは
ないから、焦ることなく
根底からビジネスを変えていくことだ」
という。
「ビジネス?」
「困っているのは今や」とブーイングが
でた。
天神屋は「やっぱり他人事だと
思っている。」と。
神田屋は「しかももとあの薩摩のお武家はんやし。」
と。
五代はそんなブーイングを前に
いった。
「カンパニーや。
まずは世界を相手にできるビッグなカンパニーを
この大阪に造るんです。」
山屋:「五代さまのお話は大き過ぎて
わたしら大阪商人にはちんぷんかんぷんで
おわす。」
ざわざわと騒がしくなる。
「噂通りの方やな」
と、雁助。
「あの方はお武家様のくせに西洋かぶれで
商売ばっかりやっているという噂です。」
そういってふとみるとあさは縫物をしている。
「何でだす?
何で若奥さん、こんな時にこんなところで
そんなことをしているのだす?」
あさは、着物のつくろいを
していた。
しながら話を聞いていたのだった。
主婦とオーエルの二足わらじである。
「すんまへん、なかなか縫い終わらへんもんや
さかい・・・」
情けなさそうにあさがいう。
「はぁ・・・
相変わらず大きな縫い目だすなぁ~~」
雁助は気の毒そうに言う。
「そうだすか?」
寄合が終わって五代はひとり
部屋に戻った。
散々だった今日の寄合。
誰一人五代の話を理解しようと
しなかった。
あさは、五代に声をかけた。
「あの・・・大丈夫だすか?」
「ああ・・あささんか
大阪商人には困ったものだ。
何ぼ才覚があっても
家のしきたりに縛られて
新しい商売に手を出さないのだから。」
「新しいことだすか?」
「しかし、あなたに心配されるとはな」
「この間はすんませんでした。」
五代はあさが縫物をしながら
話を聞いていたことを
感謝した。
「来てくれはってほんま
おおきに・・・」
(あのこてこての薩摩弁が
みごとに大阪弁になっている)
あさははつの家がつぶれたことを
いう。「姉が行方不明になっているから
心配でお商売に身が入らないけど
自分がいまするべきことは
これだと思っている」という。
申し訳ない。あのときあささんが
新政府のせいで両替屋が
大変な目にあったといった。
だから
両替屋がこうなったのも
新政府のせいだ」と
五代は認めた。
「何でだす?何で新政府は・・・」
といいかけると雁助が出入り口から
顔を出して
「若奥さん~~」という。
「何ではもうあきまへんで。」
あさは、「またやってしもた」と
反省した。
「ええんですよ」と五代は言って
“その罪滅ぼしのためにここにきている
のだから・・・“と
英語でつぶやいた。
(早すぎて、聞き取れません)
あさ:「は?」
五代:「せやからこの大阪を世界に知られる
町にすることがこれからの
わたしの使命です。」
雁助は
店に戻って正吉に報告した。
五代の話は大きすぎる話だけど
五代は決して悪い人ではなく
本当に大阪のことを
考えてくれていると
いった。
正吉は
「よその人がそこまで大阪のことを
考えてくれはっているのに
自分たちが何もしないわけには
いかないな」といった。
あさは
新しいこと
を考えていた。
そこへ今井の母から手紙が来た。
そこには
今井家が新政府の仕事を請け負うこと
になったことや
その仕事のために一家で京都を離れて
東京へ行くことになったことが
書かれてあった。
梨江ははつのことも心配していた。
いまだに消息が分からないという。
「何で助けられなかったのかと
後悔の気持ちばかりです
どうぞあなたは新次郎さんを支えて
お家を守ってください」と
あった。
うめは
「あの京都のお屋敷がなくなって
しまうかもしれないんですね」という。
あさの京都の思い出はいつも
はつと一緒だった。
木に登ったときも
寝起きをしていた時も
お琴を弾いていた時も・・
そのころ、新次郎は惣兵衛と
屋台で飲みかわしていた。
「あの色白の惣兵衛さんが
ふんどし姿があんなにも
似合うようになったとはね」と
いう。
惣兵衛は
「喧嘩を売っているのか」と
きく。
「けどいまは
喧嘩すら買うお金 残っていません
けどな・・・」
その冗談に新次郎は
「うまい」といってたたえた。
惣兵衛は
菊を殺せなかったという。
でも、すっきりしたという。
「それはよかった。」
「はつのおかげかな?
あいつは女々しい女やと
思っていたけど案外
図太いのかもしれん・・」
新次郎は
納得したのか
「姉妹そろって今井の娘やな」という。
「ということは
おはつさんも頑固なのかな?」
と新次郎が聞くと
惣兵衛は笑って
「それは間違いないことだ」という。
屋台のおやじがドンブリにうどんを
もってきた。
惣兵衛はうまそうに、ずずっと食べた。
「は・・・
どうないしたら、あさにあって
くれるのやろか・・・」
新次郎が悩む。
惣兵衛は
「あのじゃじゃ馬の妹もそこまで
旦那さんに思ってもろて
いたら
しあわせもんやな。」
と笑ったが
「せやけどわしは・・・」と
声を落とした。
笑ってごまかした
惣兵衛は
「久しぶりの酒はよう回るわ」
といって
うどんをすすった。
家に帰った新次郎。
あさをみて
「また本を読んでいたのかいな」
といった。
「あの・・この間のお話ですけど」と
あさがいうと
「あのな、」といいつつ
はつが口止めをしたことを思いだした。
「まだいわれへん」というと
あさは「お願いだから
あの石炭のことを教えてください」と
いった。
「え?」
新次郎は、話が違うので
とまどったが
そんな面倒くさいこと
この夜中にしたくないと
思って
布団をかぶって寝たふりをした。
あさは、その布団をはいで
「お願いします」という。
あさの心ははつへの思いを
忘れるかのように燃えていました。
そしてはつは・・
貧乏な棲み家で
着物の繕いをしていた。
その様子を惣兵衛はじっとみた。
******************
つまり惣兵衛さんはいい人になった
のですよ。
自分の身丈に合った生き方を
探していますが
なにがどうなのか・・・自分は
これから何を目的に生きていくのか
きっとそれを悩んでいるのではと
思います。
家を守るほどの器量もなく
凡人の惣兵衛は菊のプレッシャーに
潰されかけていたのでは
と思います。
こいつさえいなかったらと
ずっと思っていたのではと思い
ますが・・
つまりこれが恨みつらみという
ことです。
義理の兄弟になった惣兵衛と新次郎。
どちらも商売に才能はないのか
無い振りをしているのかわかりませんが
今井の娘にそれぞれに助けられている
ことは
間違いない事実です。
女性の力もすごいのです。
それを認めないのが男性社会です。
野蛮ですね・・・。
あさはまた、五代を励まします。
役人という立場
薩摩出身という身の上
それが、大阪に溶け込めない
原因になっているのかもしれませんが
正吉が
よそさんがそこまで大阪のことを考えて
いるのなら・・・と
自分たちが何もしないわけには
行かないと思い始めています。
あさは
石炭への興味を持ちました。
はつのことを
心配するより
一緒にお家を守ろうといった
はつの言葉を信じるほうが
いいと思ったのでしょう。
妻と若女将の二足わらじ。
なんとなく面白いと思います。
山道で新次郎は偶然
はつとあった。
「加野屋さま・・・」
前で大八車をひいていた
栄達は新次郎を見て逃げ出した。
新次郎は大八車につまれた
野菜を見た。
一方あさは雁助と一緒に
五代から誘われた
大阪商人の会に参加した。
その日は五代が招集したことも
あって、大勢の人が
集まった。
そこへ五代が入って来た。
あさは、話を聞かなくては
と思って緊張した。
さて、山道で栄達が逃げて
しまい、はつは大八車を
動かすことができなくなり
新次郎は引いてみるが
力仕事などやったことのな
ぼんぼんには動かすことも
できない。
「一応わて、男だすし」と
いう。
「もうやめとくれなはれ。
手が汚れます。」
「こんな手伝いもできないなんて
なさけないわ。」
なぜここがわかったのかとはつが
きくが
新次郎は偶然だという。
「こんなことなら
あさが用意していた荷物をもって
くるんだった」というが。
はつは、
「施しはいりまへん」と
きっぱりと断った。
「農家でやっかいになっている」
という。
「みんな元気だ」というが。
そこへ惣兵衛が「新次郎さん」と
声をかけた。
はつは、「あさには言わないでくれ」と
いった。
「加野屋さんはまだ御無事出すか?」
「いまのところはな」、と新次郎。
「今度酒などちそうしてもらわねば」と
いって、
笑ってはつと行ってしまった。
こちら・・・
五代は、旦那衆の前で
新しい時代は新しい大阪の経済を
立て直さないといけない。
皆で新しい大阪を作りましょう
といった。
あまりにも当然といわば
当然、おおざっぱと
いえば
おおざっぱな話である。
「このままだと、東京や
また、西洋から入って来る
あたらしい商売に潰されて
しまいます。」
「だからどうせいというだ」と
山屋のおやじがいう。
「だからどないしたら、儲かるのか
聞きたい」と山屋はいった。
五代は、「儲けはすぐにでるものでは
ないから、焦ることなく
根底からビジネスを変えていくことだ」
という。
「ビジネス?」
「困っているのは今や」とブーイングが
でた。
天神屋は「やっぱり他人事だと
思っている。」と。
神田屋は「しかももとあの薩摩のお武家はんやし。」
と。
五代はそんなブーイングを前に
いった。
「カンパニーや。
まずは世界を相手にできるビッグなカンパニーを
この大阪に造るんです。」
山屋:「五代さまのお話は大き過ぎて
わたしら大阪商人にはちんぷんかんぷんで
おわす。」
ざわざわと騒がしくなる。
「噂通りの方やな」
と、雁助。
「あの方はお武家様のくせに西洋かぶれで
商売ばっかりやっているという噂です。」
そういってふとみるとあさは縫物をしている。
「何でだす?
何で若奥さん、こんな時にこんなところで
そんなことをしているのだす?」
あさは、着物のつくろいを
していた。
しながら話を聞いていたのだった。
主婦とオーエルの二足わらじである。
「すんまへん、なかなか縫い終わらへんもんや
さかい・・・」
情けなさそうにあさがいう。
「はぁ・・・
相変わらず大きな縫い目だすなぁ~~」
雁助は気の毒そうに言う。
「そうだすか?」
寄合が終わって五代はひとり
部屋に戻った。
散々だった今日の寄合。
誰一人五代の話を理解しようと
しなかった。
あさは、五代に声をかけた。
「あの・・・大丈夫だすか?」
「ああ・・あささんか
大阪商人には困ったものだ。
何ぼ才覚があっても
家のしきたりに縛られて
新しい商売に手を出さないのだから。」
「新しいことだすか?」
「しかし、あなたに心配されるとはな」
「この間はすんませんでした。」
五代はあさが縫物をしながら
話を聞いていたことを
感謝した。
「来てくれはってほんま
おおきに・・・」
(あのこてこての薩摩弁が
みごとに大阪弁になっている)
あさははつの家がつぶれたことを
いう。「姉が行方不明になっているから
心配でお商売に身が入らないけど
自分がいまするべきことは
これだと思っている」という。
申し訳ない。あのときあささんが
新政府のせいで両替屋が
大変な目にあったといった。
だから
両替屋がこうなったのも
新政府のせいだ」と
五代は認めた。
「何でだす?何で新政府は・・・」
といいかけると雁助が出入り口から
顔を出して
「若奥さん~~」という。
「何ではもうあきまへんで。」
あさは、「またやってしもた」と
反省した。
「ええんですよ」と五代は言って
“その罪滅ぼしのためにここにきている
のだから・・・“と
英語でつぶやいた。
(早すぎて、聞き取れません)
あさ:「は?」
五代:「せやからこの大阪を世界に知られる
町にすることがこれからの
わたしの使命です。」
雁助は
店に戻って正吉に報告した。
五代の話は大きすぎる話だけど
五代は決して悪い人ではなく
本当に大阪のことを
考えてくれていると
いった。
正吉は
「よその人がそこまで大阪のことを
考えてくれはっているのに
自分たちが何もしないわけには
いかないな」といった。
あさは
新しいこと
を考えていた。
そこへ今井の母から手紙が来た。
そこには
今井家が新政府の仕事を請け負うこと
になったことや
その仕事のために一家で京都を離れて
東京へ行くことになったことが
書かれてあった。
梨江ははつのことも心配していた。
いまだに消息が分からないという。
「何で助けられなかったのかと
後悔の気持ちばかりです
どうぞあなたは新次郎さんを支えて
お家を守ってください」と
あった。
うめは
「あの京都のお屋敷がなくなって
しまうかもしれないんですね」という。
あさの京都の思い出はいつも
はつと一緒だった。
木に登ったときも
寝起きをしていた時も
お琴を弾いていた時も・・
そのころ、新次郎は惣兵衛と
屋台で飲みかわしていた。
「あの色白の惣兵衛さんが
ふんどし姿があんなにも
似合うようになったとはね」と
いう。
惣兵衛は
「喧嘩を売っているのか」と
きく。
「けどいまは
喧嘩すら買うお金 残っていません
けどな・・・」
その冗談に新次郎は
「うまい」といってたたえた。
惣兵衛は
菊を殺せなかったという。
でも、すっきりしたという。
「それはよかった。」
「はつのおかげかな?
あいつは女々しい女やと
思っていたけど案外
図太いのかもしれん・・」
新次郎は
納得したのか
「姉妹そろって今井の娘やな」という。
「ということは
おはつさんも頑固なのかな?」
と新次郎が聞くと
惣兵衛は笑って
「それは間違いないことだ」という。
屋台のおやじがドンブリにうどんを
もってきた。
惣兵衛はうまそうに、ずずっと食べた。
「は・・・
どうないしたら、あさにあって
くれるのやろか・・・」
新次郎が悩む。
惣兵衛は
「あのじゃじゃ馬の妹もそこまで
旦那さんに思ってもろて
いたら
しあわせもんやな。」
と笑ったが
「せやけどわしは・・・」と
声を落とした。
笑ってごまかした
惣兵衛は
「久しぶりの酒はよう回るわ」
といって
うどんをすすった。
家に帰った新次郎。
あさをみて
「また本を読んでいたのかいな」
といった。
「あの・・この間のお話ですけど」と
あさがいうと
「あのな、」といいつつ
はつが口止めをしたことを思いだした。
「まだいわれへん」というと
あさは「お願いだから
あの石炭のことを教えてください」と
いった。
「え?」
新次郎は、話が違うので
とまどったが
そんな面倒くさいこと
この夜中にしたくないと
思って
布団をかぶって寝たふりをした。
あさは、その布団をはいで
「お願いします」という。
あさの心ははつへの思いを
忘れるかのように燃えていました。
そしてはつは・・
貧乏な棲み家で
着物の繕いをしていた。
その様子を惣兵衛はじっとみた。
******************
つまり惣兵衛さんはいい人になった
のですよ。
自分の身丈に合った生き方を
探していますが
なにがどうなのか・・・自分は
これから何を目的に生きていくのか
きっとそれを悩んでいるのではと
思います。
家を守るほどの器量もなく
凡人の惣兵衛は菊のプレッシャーに
潰されかけていたのでは
と思います。
こいつさえいなかったらと
ずっと思っていたのではと思い
ますが・・
つまりこれが恨みつらみという
ことです。
義理の兄弟になった惣兵衛と新次郎。
どちらも商売に才能はないのか
無い振りをしているのかわかりませんが
今井の娘にそれぞれに助けられている
ことは
間違いない事実です。
女性の力もすごいのです。
それを認めないのが男性社会です。
野蛮ですね・・・。
あさはまた、五代を励まします。
役人という立場
薩摩出身という身の上
それが、大阪に溶け込めない
原因になっているのかもしれませんが
正吉が
よそさんがそこまで大阪のことを考えて
いるのなら・・・と
自分たちが何もしないわけには
行かないと思い始めています。
あさは
石炭への興味を持ちました。
はつのことを
心配するより
一緒にお家を守ろうといった
はつの言葉を信じるほうが
いいと思ったのでしょう。
妻と若女将の二足わらじ。
なんとなく面白いと思います。
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