Alglory Web Travel Diary

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十字軍物語

2010-09-24 01:14:42 | 歴史
ローマ人の物語の著者である塩野七生氏がローマ亡き後の地中海世界で、西地中海を中心としたイスラム海賊とキリスト教世界の対立を書き終えた後、もし書くとするのならば十字軍史になるであろうと大方予想していましたが、まさかこの短期間に出すとは氏の高齢に関わらずの執筆意欲には頭がさがる思いです。 

個人的はビザンティン帝国を中心とした中世ローマ帝国史でも書いていただければと思っていたんですけど・・・ 

ビザンティンを中心とした歴史というのは案外書きづらいのかもしれない。 
ビザンティン帝国の歴史の本を読むとおよそ半分以上は周辺諸国の歴史解説が書かれているのが現状です。 
かの大著「The History of the Decline and Fall of the Roman Empire」(邦題<ローマ帝国衰亡史)の著者エドワード・ギボン(英国人)ですら後半のビザンティン帝国、本体の歴史は極端に少なく周辺諸国の歴史に殆どを費やしている。 
もっとも、ギボンがローマ帝国衰亡史を書く動機について、「ローマがいかに滅亡したかではなく、なぜここまで続いたのか」であった言われている。ならば周辺諸国に狙われ続けて、1000年近く続いたのかという視点で書くのが公平なはずであるのだが、ギボン自身が持つキリスト教に対する考え方が根底にあったのではないかと思われる。実際、古代ローマ時代のキリスト教と関わりを書いたときの厳しい批評は当時の問題になった位ですから、キリスト教の迷信国家となった帝国に何の魅力も感じなかったのかもしれない。 

ちなみにビザンティン帝国とは俗に言う東ローマ帝国のことで、コンスタンティノポリス(現イスタンブル)を中心とした領域を持っていた国家です。 
ローマ帝国の政府がローマ(後ラヴェンナ)を中心とした西ローマ帝国と東ローマ帝国に分かれたのが395年、ここから滅亡まで1,000年近く存続する国家となります。その意味では連綿と続くローマ帝国であるといえます。 
あと、大学の卒業旅行でトルコに行きましたけどイスタンブルは良かったですよ、遺跡がたくさんあって、鉄道好きにはたまらないオリエント急行の発着点もあり街が凄くよかった。 

で本題、第一巻を読み終えたのは、1週間ほど前です。 
塩野七生氏の文体は彼が愛してやまないユリウス・カエサルの文体を意識しているように思われてます。(ローマ人の物語ではカエサルの記述に二巻を費やしている)つまりシンプルであること、読みやすいのが特徴です。(この為、年の名前が現在名と古代名が並立してできます。)十字軍の入門書としてはいいのではないかと思います。 
改めて読んだ感想ですが、所謂、英雄がいない歴史というのはかくも、悲惨になりえるのかというのが感想です。無論、第1回十字軍側にもイスラム勢力側にも力量に置いては中々の人物はいます。 
しかし、カエサルのガリア遠征やハンニバルのローマ遠征のように、もっと言うならばトラヤヌス帝やコンスタンティヌス帝が戦った戦は彼らが主導的な役割を果たし成功を自らの意識を持って整えたのに対して、少なくとも第1回十字軍に対しては相手より失敗が少ないから、翻って成功したという感を受けます。 
これが、結局十字軍国家の短命というものに繋がったのかなかなと思います。 
ただ、サラディンが出てくるようになると考え方は変るかも知れませんが少なくとも第1回十字軍についてはそう思わざる終えませんでした。 
他の十字軍史の本やネットで調べてみると、どうもそういうかき方をしている方が多いようですしあながち間違っていないかなと思います

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