The Alan Smithy Band

The band is on a mission.

シャッターモーニング

2010年12月04日 | ヒデ氏イラストブログ
鞄に伸ばした手はまるでドラマのようにあと数センチというところで届かない。

左足甲には激痛。

額からにじみ出る汗。震える全身。

完全なる窮地に立たされた事のあらましはこうだ。

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いつもの朝、支度をして家を出た。
家の前の階段を下りると、何かピーという異音がする。

耳を澄まして聞いてみると、どうもウチのガレージから音がしているような気がする。
注意しないと聞こえないが、周りが静かだと結構目だって聞こえてくる、高い音だ。
何だこれ?と思い鞄を置き、我が家のガレージのシャッターに近づく。明らかに音源はここだ。

シャッターと地面の接地部分を見ると、左端のほうに何かが挟まっている。
何かはよく分からないが、プラスチックのケースのようなもので、
多分端っこに追いやられていた半分ゴミみたいなものが挟まったのだろう。
これにより完全に閉まってないために、アラームが鳴っていると見た。

シャッターは電動である。開けるには、一旦階段をのぼり玄関に戻り、
リモコンを向けてボタンを押さなければいけない。
それも面倒だと思い、コンコンとそのケースを蹴ってみる。
要はこれさえ奥へやってしまえばちゃんと閉まるわけだ。

なかなか動かないので、更に強めに爪先で蹴ってみた。

ガツ!

瞬間、ケースは奥へ弾き飛ばされ間髪いれずシャッターに足を挟まれた。


軽率だった、としかいいようがない。

結構固いなと感じたときに、それが自分の思う以上にシャッターの圧力がかかっているからと冷静に思えば回避できた。
玄関に戻ってリモコンをとるくらいの労力を惜しんだ結果、私ヒデ氏は朝の8時に自宅のシャッターに左足を挟まれ、
全く身動きが取れなくなってしまったのだ。

大声を出して家の者を呼ぶことも出来るが、朝の住宅地でそれは避けたい。
どうしたどうした、とついでに出てきた近所の人が目撃すれば未来永劫語り継がれるほどの痴態だ。

とっさに頭に浮かんだ二文字。「携帯」。
振り返って手を伸ばすが、何せ左足はがっちりロックオンされている。
微妙に届かない。絶妙な位置に鞄を置いた自分を呪う。

誰かが通りかかるのは時間の問題だが、やはりそれもさっきの理由と同じで避けたい。
できれば誰かに目撃される前に脱出したいのだ。

革靴でなかったら折れていたのではと思うような力が足を押さえつける。
ふと昔何かで読んだカマクラの話を思い出した。あったかいからおいでと誘われるまま入ると、
誘った男がおもむろに自分と入れ替わりにカマクラから出る。すると「俺は呪いをかけられてこのカマクラからでることができなかった、しかしお前という身代わりを見つけたから出れた」と走り去っていき、いくらどうやってもそのカマクラから出られなくなってしまう話だ。

ああ。。。寒い。眠くなってきた。。
もうメンタルの限界を迎えそうになったとき、
最後の力をふりしぼって体をえびぞりにすると、指先がかろうじて鞄の取っ手にかかった。

た、助かった。

鞄を引き寄せ、携帯を取り出して家に電話をかける。
出てきたマネージャMikaは腹を抱えて笑ったが、それだけで済んだ。


俺は助かったのだ。。。!


起死回生の逆転劇の代償は、右足太ももと腰に今も残る異様なまでの痛み。



すんごい海老ぞりしたから筋肉傷めたみたい。













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