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明鏡   

鏡のごとく

『幻の国』三

2014-12-02 11:36:00 | 詩小説
「イスラーム革命とイスラーム国家」

イスラーム革命の前後を見た。
そこにいたから。
幼い頃、革命前後、二度に分けて、父親の仕事の関係でイランに住んでいたのだ。
シャーの時代。
女達は一部のものを除いて何も被っていなかった。
車を運転していた。
高いヒールを履いて、そこいらを歩いていた。
革命後、再度イランに行くことになって、シャーの奥方の靴が何千個も置き去りにされたということを、その頃、見物ができるようになっていたシャーの使っていた別荘か屋敷かで聞いた。
誰も履かなくなった靴は、革臭い儚い被りもののように、何千億、兆もの油火にあぶられたあとの灰を被った、灰かぶり姫の忘れ物のように、そこにとり残された。

もぬけの殻になった建物。
火にかけられていないだけで、Alexander大王に焼かれ柱と土台だけが残ったペルセポリスのように、棲むものは人っ子一人いない中、土漠を見渡すように、時は流れているようで、止まっているのだった。

かつてあったペルシャという「幻の国」。

かつてあったイランという「幻の国」。

その幻の国の上にある、中にある、外にある、今そこにある、イランイスラーム帝国。

「国」とは、幻を食い尽くした後の祭りの実体なのだろうか。


この「イランイスラーム帝国」とは一線を画する「イスラーム国」とは、一体、何なのであろうか。

革命で起こったのではなく、外人部隊のように散らばっていたのか、外部からかき集められたのか知らないものの、戦うための集団、あるいは概念なのであろうか。

実体はないかもしれない「幻の国」。

覆面をかぶったままの戦いの舞台こそが「国」という概念なのであろうか。

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