明鏡   

鏡のごとく

杉皮の壁

2022-11-04 13:24:30 | 詩小説
杉皮の壁を作った

杉皮葺の屋根は
屋根の傾きに
皮だけになった身をそらしながら
一寸弱だけずらしながら重ねていき
竹で押さえ
またその上に
竹が見えなくなるように
杉皮で葺いていくのだ

杉皮の壁を作った

壁は垂直であり
竹で押さえることもせず
ばすばすと一枚づつ固定していく
ゆるりと皮がなめされていくように 
杉皮のざらりした肌目の波に
手心を委ねて
白い粉と杉のヒゲを
はらはらとはらいながら
杉皮が重なっていく
壁が大きな樹になっていくのだ
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