明鏡   

鏡のごとく

「からすどまり」

2017-04-30 20:34:54 | 詩小説


日田から湯布院に行く道すがら

小高い丘の上に親方たちが作ったという茅葺屋根のお家がある

そこを覗いてみると

一本の茅を咥えてからすが茅葺屋根にとまっていた

得意そうに茅葺屋根の上にとまっていた

茅葺屋根にはからすどまりというものがある

からすどまりにからすがとまるように

いたずら好きのからすがそこにいてくれるように

棟の少し下に

ちょこんとのっかれるようにこしらえてある

からすも茅が好きなのだ
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年輪と節々

2017-04-29 21:17:23 | 詩小説
丸太積むトラックの後ろ走り行く 
あの年輪の赤黒いところは
切ったばかりにまだ水気を含んだ木の証拠
しばらくすると
あの赤黒い年輪は乾ききって
おなじ白っぽい色になると親方が教えてくださった

竹は温泉が湧くところのものは柔らかく
枯れたところに生える竹はきんと硬く乾いているものが多いという
そこにあるものは
そこで生きてきた証のような節々を残しているものなのだ
と親方が教えてくださった
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眼鏡

2017-04-28 21:46:59 | 短歌
倅いふ 眼鏡を手に入れ よく見える 黒板さえも この世さえも
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石楠花

2017-04-28 21:26:16 | 短歌
石楠花の咲き始めたり奥日田の山に開きて 白き面影
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茅の旅と帽子猫のお迎え

2017-04-27 20:05:54 | 詩小説

一日 片付け
みちぎや足場板や茅を運ぶのも慣れてはきたが
肩に食い込む長いみちぎの重さがひりひりしてくる

あんまり長いので
透明な重りと見えない重い荷を天秤にかけているような
そんな気分になる

一輪車で運ぶバリカンで刈られた茅も
ちくちくするプラスチックの輪のようにてかり
隙間を埋めるだけ埋めて容赦なく重い

男も女も関係なく
重い荷物を運ぶのはいい
屋根に登って遠くを見ながら目の前の茅を屋根葺きできたらなおいい

湯布院から日田まで
一時間半ほどの茅葺の旅ももうすぐ終わり
次の現場に移動となる

新米の運転でつまり私の運転で帰ると
帽子猫が階段を上ってやってきた
まだ子供のようで
何してるのとじっとこちらを見ている

お家に入ってくるかなと思ったが
じっと招き猫のように座っている
ここで待っていてくれるなら旅もまたいい
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