第20作目 キミにきめた!
個人的チェックポイント
■ホウオウ
ポケモンの生命を司ると言われる伝説のポケモン。人間
とポケモンの平和な営みから発生する幸せの波動をエネ
ルギー源とし、逆に悪しき心では衰弱してしまう。気に
いった人間ににじいろのはねを与え、ライコウ・エンテ
イ・スイクンやマーシャドーを用いて会えるかどうか試
すという。空を飛び去って行った他、最後の最後にサト
シ達の前に現れ、全員を癒した後サトシのピカチュウと
対戦した。ライコウ・エンテイ・スイクンとは従来通り
火事に巻き込まれて死んだ所を命を分け与えて蘇生させ
た関係。
■マーシャドー
虹色の羽を手に入れた者の影に潜む幻のポケモン。虹色
の羽を持つ者が虹の勇者に相応しいかどうか見定めると
され、悪しき心に触れると人間を傷つけてでも正そうと
するという。虹色の羽を色を失わせかけたサトシにポケ
モンのいない世界の悪夢を見せたり、クロスが虹色の羽
を奪った時には虹色の羽で力を増幅させてポケモンを操
り人間達を襲わせ、サトシのピカチュウと戦った。ポケ
モン達の攻撃でサトシが異空間に消えたような状態になっ
たのもこいつの能力と思われる。最後はサトシがピカチュ
ウとの絆で復帰し、虹色の羽も元通りになった事で大人
しくなったようだ。
■エンテイ
マーシャドーと同じく虹色の羽を持つ者が虹の勇者に相
応しいか見ているとされる伝説のポケモン。とあるポケ
モンセンターの近くに出現し、サトシがソウジやマコト
達と出会う切っ掛けとなった。小さなポケモン達を引き
連れて雨宿りする姿も。
■スイクン
マーシャドーと同じく虹色の羽を持つ者が虹の勇者に相
応しいか見ているとされる伝説のポケモン。水辺でマコ
トが遭遇した。
■ライコウ
マーシャドーと同じく虹色の羽を持つ者が虹の勇者に相
応しいか見ているとされる伝説のポケモン。バタフリー
と別れたサトシ達の元に現れ、放電して消えた。
■ガオガエン
クロスの手持ちの一体。「じごくづき」「かえんほうしゃ」
「クロスチョップ」そして地面を四足歩行で移動しなが
ら「ほのおのキバ」を使う。
■レントラー
ソウジの幼少時代に登場。留守にしがちな両親に代わり
ソウジの親のようになっていたが、一人で外出したソウ
ジをかばい、凍死してしまった。
■ピカチュウ
カビゴンを投げ飛ばしたり、マーシャドーと戦ったりし
た。最後の方にサトシの幻聴っぽく喋っているシーンが
ある。
■ソウジ
エンテイの件が切っ掛けでサトシと知り合ったトレーナー
の一人。伝説のポケモンについて調べており、薬作りな
どの知識もある。エンディングでフリーザーと遭遇して
いた。ルカリオを使う。
■マコト
エンテイの件が切っ掛けでサトシと知り合ったトレーナー
の一人。フタバタウン出身で母親が地元で有名なトレーナー
らしい。ポッチャマやラプラスを使う。
■クロス
エンテイの件が切っ掛けでサトシと知り合ったトレーナー
の一人。強さこそ全てと考えており、ヒトカゲが弱いか
らと捨てた。ホウオウから虹色の羽をもらえなかった事
を根に持っておりホウオウを潰そうと虹色の羽を奪った
事でマーシャドーを怒らせてしまう。ガオガエンやルガ
ルガンを使う。
■ボンジイ
ホウオウの研究をしている老人。サトシ達にホウオウの
伝説や状況を説明した。
■テンセイ山
「虹色の岩に虹色の花が咲く時ホウオウが現れる」とい
う伝説がある山。虹が掛かっている時に頂上の三角岩に
虹色の羽を備えるとホウオウが現れる。ホウオウが分け
与える力にあやかろうと野生のポケモンが集まっている。
■虹色の羽
ホウオウが気に入ったトレーナーに与えると言われる羽。
かかげると虹色に光り、ホウオウに会うための手掛かり
になる。持ち主の悪しき心に反応し、色が失われると持
ち主の影に潜んでいたマーシャドーがそれを正そうと活
動を始める。
感想
・懐かしさと目新しさを混ぜて小刻みに刺激してくる作
品。自分は無印にあまり思い入れがないけどグッとき
て、これ刺さる人には相当刺さる作品じゃないでしょ
うか。冒険し伝説を追うワクワク感も多く含まれてお
り、さらに大人に対してチクリとする台詞もあったり
します。面白いです。
・空気目だったサトシとピカチュウのポテンシャルを振
り返った作品。色んな旧ネタが込められており、20
周年に相応しい作品と言える。なんだかんだ言ってピ
カチュウは可愛いし、黄色いモヤモヤだけでピカチュ
ウだ、となってしまうのが凄い。ありがちなサトシが
死にかけるネタも、サトシとピカチュウの絆強調で一
貫する事で印象のレベルが上がるのが良いですね。
・というかあのタイミングでピカチュウが帽子を被る、
喋る、泣くって反則すぎます……。
・ホウオウの「人間とポケモンの平和な営みから発生す
る幸せの波動をエネルギー源とし、逆に悪しき心では
衰弱してしまう」という設定がちょっとトゲピー系み
たいだけど良い感じですね。TVアニメのホウオウの
設定といえば「人間の争いでカネの塔が焼けて心を閉
ざした」「人間の戦争を大地を焼き払って止めた」「ポ
ケランティス王に狙われたので帝国ごと滅ぼした」で、
「ずっと心を閉ざしてて狭量だな」「やけに暴れん坊っ
ぽいな」と微妙に思ってたのですが、この映画の設定
はホウオウのそれらの行動について上手くフォローし
たと思います。ホウオウにとって人間とポケモンのあ
り方は死活問題だったのでずっと距離を取ったり、力
づくで干渉したり、三犬に監視させていたのか。大変
腑に落ちました。ただ、三犬関係の設定がTVアニメ
と一部違うのでどこまでTVアニメのホウオウの設定
がこうなっているかは謎。
・虹の勇者も詳細は語られていないのですが、前述した
ホウオウの設定から、ホウオウと普通に接する事がで
きる人間自体の尊さが間接的に伝わってくるのが面白
いです。「人間のあり方のせいで距離を取っている」
だけだと説教臭くあんまりだと思うけど、そこに「そ
れでもどこかで虹の勇者となりうる人間を待っている」
と加えると途端にロマンが生まれるのが良い。ゲーム
の図鑑の縁起の良い設定も活きてくるし、なによりア
ニメ第一話の光りながら飛んでいくホウオウのワクワ
ク感に繋がるのが素晴らしいです。
・そもそも最初に見かけた伝説のポケモンをずっと追っ
ていく設定自体がゲームでもアニメでも見かけず、懐
かしいのに新しい面白いネタでした。見つけた伝説の
ポケモンにサトシがバトルを挑むというのも普段のア
ニメにはなく、面白かったです。
・出番は少ないものの、虹色の羽を通して存在感を示す
のが命の宝玉とアルセウスみたいで神秘的で良いです
ね。
・マーシャドーも結晶塔の帝王エンテイのアンノーンの
ような「得体のしれない、接し方次第で危険な存在」
で終始し、非常にインパクトがありました。立場も起
承転結があり、不気味かつ不吉な静の見守りモードか
ら凶、悪な能力やピカチュウとの激しいバトルという
動の戦闘モードになる鮮明な流れが印象的でした。
・ホウオウとマーシャドーのちょっと変わった関係も結
晶塔の帝王エンテイっぽくて好みです。マーシャドー
の無表情で可愛めなデザインは、どんどん恐ろしくなっ
ていく展開にあってると思うし、虹色に光るホウオウ
に対する黒い影のポケモンというのもマッチしてます。
ダークライよりもダークライしていましたね。
・ホウオウとマーシャドーの関係は語られていないです
が、三犬や力を分け与えられるポケモン達から容易に
想像できるのもミソです。
・エンテイの結晶塔の帝王を思わす貫録と保護者感、ス
イクンの神秘性も良かったです。まさに道端で会えそ
うなポケモンだけどプレミアム感のあるポケモンです
ね。金銀時代を思い出せて良かった。
・リザードンVSガオガエンも非常にかっこいい。リザー
ドンが活躍するところも結晶塔的で良いですね。ルガ
ルガンも四足歩行からのほのおのキバ、じごくづきと
悪役っぽいですが大迫力でした。
・タケシとカスミは、サトシとピカチュウに重点を置い
た作品であるので、設定あっさり目のオリキャラに置
き換えたのは正解だと思います。ジムリーダー2人だ
とまずあの場所で同時に知り合うのがおかしいだろう
し、かといってそれぞれと個別に仲間になるのも時間
取りすぎになりそうだし、
・レントラーの死体のシーンは衝撃でした。まあ、ここ
よりもクロスの方に描写を割いて欲しかった感ある。
・クロスはゲスとしか言えない奴でもっと報いがあって
も良いと思いましたが、悪の組織を介さずに伝説のポ
ケモンと主人公で多角的な関係を展開したのは面白かっ
です。ゲームでもアニメでも伝ポケに選ばれなかった
人間がネガティブになるのは後味悪くなるせいかやら
ないし。
・会話できない相手にすれ違った感情を膨らませて「何
故自分を選ばない。許せない、潰す」となってしまう
のは身勝手ですが現実でもどこかでありそうでぞわっ
としました。伝ポケはその存在自体が特別なので、こ
ういう一方的なコンプレックスや恨みはクロスに限っ
た話ではなさそうでトレーナー的な闇の深さがありま
すね。
・灰色の現実世界っぽい悪夢の中で変わらない事の繰り
返しに飽き飽きするような台詞がマンネリな作品を生
む作り手と、作品をマンネリとしか見ない受け手を両
方皮肉ってるように感じられました。
・灰色の世界自体も、世界を灰色でしか見られない事へ
の駄目だしなのかもしれませんね。マコトの「ポケモ
ンがいない世界なんて考えただけで嫌」っていうのも
そういう事なのかも。貴方にとってのピカチュウやホ
ウオウを探せ、と。
・マコトの上記の台詞はうがった見方すぎると思います
が、ボンジイの台詞はストレートに大人をちくちくし
てる感がありますね。
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