Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

佐竹本三十六歌仙絵の後期展示

2019年11月15日 08時07分00秒 | 美術館・博物館etc.

★京都国立博物館 サイト
 『流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美』 ※11月24日(日)まで

先日、佐竹本三十六歌仙絵の後期展示を観に行ってきた。

11月7日に「来場者が5万人」とツイートされていて、「え!?」と目を疑った。
少なくないか?
10月12日は台風で臨時休館し、その後休日明けは休館しているから、開館は20日間ちょっと。
だから、1日辺りの平均来場者数は2,500人以下だ。

確かに、最初の週は「空いている」と情報あったし、10月18日(金)の夕方に訪れた時も確かに空いてたし。

あれから3週間ちょっと。NHKテレビでも歴史秘話ヒストリアで取り上げ、8Kで取り上げ、お昼の情報番組にも登場した。
ニコ動でもライブ配信した。

だから、それなりに話題になり、混んでいるだろーと思っていたのに。

特に、私が訪れた日の朝はNHKのEテレ「日曜美術館」でも取り上げられたので、混雑を覚悟していたのに。。。
混んでいたのは1階のエレベーター乗り場だけ。
階段で3階に上がれば、混雑といえるほどの状態ではなかった。(←比較の対象が奈良の正倉院展なんだけどね)

導入のところは今回もさらっと見て、2階へ。

今回の注目は中期・後期の展示。

出光美術館所蔵の柿本人麻呂。たぶん、出光で一度くらいは見ていそうなんだけど、、、 えらく線が細い人麻呂さんだなぁ。

藤原敦忠も後期のみ。

小大君。ポスターにもチラシにもクリアファイルにも採用されている、今回の目玉!
前期はこの場所には小野小町さまが掛かっていたけれど、後期は真打ち登場!
ネームバリューが弱い分、各種メディアに登場しまくったこともあり、注目度は高し。
十二単が流石です。前日、テレビで化学分析されて金と銀が使われていたことも知った上で見ると、
有り難さが違う?
表装も最近になって修復されたでしょー、という感じが満載で、ホントにホント、立派にヒロインしていた。
歌もねぇ、やんわりと男性に帰りを促しているところが“デキル”女。

奈良の大和文華館所蔵なので、またの再会を期待したい。

中期のみ展示の山辺赤人も楽しみにしていた。

出光美術館からも柿本人麻呂ともう一人、僧正遍昭も出品されていた。黄色のイメージでやさしそう。

埼玉の遠山記念館所蔵の大中臣頼基 10年前に一度だけ訪れたことがある。こちら あの時、見たかなぁ?(まったく記憶にございません)
筑波山を詠んだ歌。所有者はお母さんの為に購入したという。やはり、土地柄も考えて、気に入ったから購入されたのねぇ。

サントリー美術館所蔵の源順もすばらししい。
まず、ほとんど読めない和歌のミミズ文字。
だけど『水』だけははっきり判読できる。
表装の上下は水面をイメージしている。

水が命の飲料メーカーが運営する美術館ならではの所蔵品。

サントリー美術館はメンバーズカードを作って3年目になるから、ほとんどの展覧会に訪れているけど、これ見たことあったかなぁ?
見たとしても、埋もれていたかも。

全期通じての展示品も改めてじっくりみた。

素性法師のを始め、ちょいちょい百人一首の和歌もあるなぁ。って、気がついた。

平安の貴公子・藤原高光(逸翁美術館所蔵)はテレビでも取り上げられていた。お顔の色が実はうっすらと鉛(だっけ?)を使った顔料で塗られている。
じーーぃっと凝視したけど、肉眼じゃわからん。

北村美術館所蔵の藤原仲文の所蔵。北村謹次郎が購入して還暦の茶事だか茶会で1度だけ掛けたそうな。
そして、所有した際に一文字を錦(蜀江錦だったっけ? とにかく超貴重な裂地)にしたそうな。
これもじーーいっと見たけど、確かに錦かなぁと言われれば思うけど、一文字だから、全体の文様がわかりにくく有り難みが伝わらない。

そのほか、見終わって帰宅した後に録画で見た「日曜美術館」。
千宗屋氏の解説で「一見、無地に見える上下だけど、よくよく見ると獅子の透かしが入っている」

なんだって~ 超おどろいた。確かに、展示会場で「地味だなぁ」と思った。あっさりしているなぁとも思った。
なんせ、上下に能衣装の扇模様だの大和絵だのと、奇抜な仕立てをしている表装が多かったから。

だけど、そんな隠れたお洒落があったなんて!

図録を引っ張り出して、よくよく見たら、確かに獅子の透かしが~ わーん。見逃したぁ。

と、後から図録を見ても楽しんでいる。

会場でも一部屋ごとにまず見て、廊下の椅子に座って、展示目録に印をつけて、頭の中で知識を反芻して、また展示室に突進して凝視して~の繰り返し。

果てはワークショップで歌仙絵に描かれている顔の表情をなぞってみるのにも挑戦。

私があたったのは藤原敏行さん。(個人蔵)
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」
実際に描いてみて、ふっと秋風に振り返る表情のなんと繊細なことか。

改めて、ご本人の顔を拝み直しに行ってみたり。

滞在2時間以上かけて、楽しみ、堪能した。

個人蔵のものはもう二度と拝見できないかもしれない。

だけど、美術館や博物館に所蔵されているものは、それぞれの場でまた展観される。

今までは『あ、佐竹本だ』という物珍しさの視点で鑑賞していたけど、

これからは表装や歌仙絵に寄せられた思いも味わいながら鑑賞することができる。

再会が楽しみだ。


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