たった一家族の七五三の撮影を頼まれたそうだ。
それが、五歳の男の子だったらしい。経験則でいえば、父親が厳しい家族の
子供は実はかなり撮影しやすい。後輩が頼まれたのはそうではない家庭の
男の子でまったくいうことを聞かなくて大苦戦したそうだ。
ーったく少しもじっとしていないし、くねくねするし
この後輩は 私が写真を始めた事を知っていて大学卒業後は販売系の仕事を
一年かそれ以上かしていたのだが、あるとき電話が来て
ー俺も写真をやりたいと思うんだけどそうすればいい?
んで知っているレンタルスタジオのアシスタントで修行するのが
はやいと伝えて中途半端で辞めるなら紹介はしないよ。
頑張るのでといったので、単身で関西から都内に越してきて、アシスタントを
やってある写真家に拾われて、ファッション系のカメラマンになった。
だから 素人の撮影には慣れていないのだが、五〇過ぎてフリーの道は
大変らしくて そんな撮影をしたらしい。
成人や七五三は写真館のおっちゃんが・・というイメージがあったらしくて
簡単に終わらせたかったらしい。
ーったくさー あんなにいうこと聞かないやつでさぁ~俺は向いてないな
小一時間 愚痴を言うのを聞いてやった。
そういう素人を一日五〇組以上写していたんだぜ。笑いが止まらなかった。
でも、それはお前の態度が悪いんだよ。プロです、写してあげますこういうのは
子供はわかるんだから・・・。三歳の子供だってこの人はなんか一生懸命で
安心できると思わせるには ちゃんと向き合わなければ駄目なんだよ。
そういえば この後輩 口利き料と愚痴聞き料金払わせなけば・・・。