私はたまたま、直木賞を受賞する前から、高橋治という人を知っていた。
よく、「遊びに来なさい」などと気さくにいわれたが、遠慮が先にたちうやむやにしていた。
作家であることは知っていたが「派兵」という長編を書きつつも、苦節10年が経ったとも聞いていた。
正直どうやって生活をしているのだろうというのが、謎だったのだがそれはともかくとして、
「秘伝」という小説で直木賞を受賞したのである。調べたわけではないが遅咲きの「直木賞作家」だと思う。
知り合い?が直木賞!!!受賞することなんて、確率からすれば何千万分の一に違いない。
受賞後しばらくしてお会いしたときに「先生直木賞受賞おめでとうございます」といったのを覚えている。
今もそうかもしれないが、受賞後のだい一作目によってその作家の今後が決まると言う話を聞いていたが、
小津安二郎という昭和の名監督のことを書いた「絢爛たる影絵」などがさらに評価を上げたようだ。
あー高橋さんテレビに出ている~なんて当たり前ではあるが、やはり実物を知っているので不思議な感覚を
味わったものだった。
受賞後矢継ぎ早に小説やエッセイ等を発表していたが、草花、釣り、相撲、競馬、壷?の引き出しの多さに
驚いたものだ。そんななかで、JRAの専用チャンネル?について相談を受けた。
ついでに、映像機材を全て取り替えるとの話があり、お宅に出入りするようになった。
打ち合わせなどの最中、内緒の電話にひっきりなしに有名出版社からの問い合わせや依頼がかかってきた。
そこの部屋は、一番奥にあり庭が一望できるのだが、意外にこじんまりとした空間で、ご家族専用の部屋でもあり
相撲を見ては原稿を送る為の部屋でもあった。
つづく