
8月10日から17日まで
甲信地方を旅してきました
そもそも今回の旅は
美術館巡りが好きな夫の希望で
長野と山梨にある美術館を
色々廻ることを主な目的にして計画し
1週間で30余りの美術館を訪れました
しかし
私にとっては
旅先でいくつかの
思いがけない出会いがあり
やはり
何か意味があって
この地に導かれたのかなあと
いう気がしています

8月11日
夕方
アルプス安曇野公園で
縄文時代の「山の神遺跡」に遭遇
現在は芝生の下に埋め戻されていますが
約8000年ほど前
この場所には
30人ほどのムラがあったのだそうです
一番上の写真は
この遺跡に立って見上げた時の
空の様子です
8000年前の人々も
この同じ空を見ていたのかしらと
思いながら
遠い古代の記憶を探るように
しばらく空を見つめていました

8月12日
木崎湖畔では
西丸震哉記念館を中心に
「原始感覚美術祭」というイベントが
行われていました
食生態学者であり探検家でもあった西丸氏は
昨年の5月24日に
88歳で亡くなられたそうです
ご命日が私たち夫婦にとっては
結婚記念日の日であり
何か因縁を感じて
氏の一周忌である2013年5月24日発行の記念誌を
一冊買いました

「西丸震哉 原始感覚の世界」
(西丸震哉記念館)

8月13日
泊まったホテルのすぐ近くに
善光寺さんがあり
朝一番にお参りしました
善光寺さんには
子供の頃
祖母や両親や親戚の人たちと一緒に
一度だけ行った記憶があります
その時買ってもらった絵本を
繰り返し読んでいたことだけは
なぜか鮮明に覚えています
幼かった頃の遠い記憶が
よみがえるような気持ちがしました

8月14日
前夜は諏訪湖畔に宿をとり
早朝に御柱祭で有名な
諏訪大社にお参りに行きました
諏訪大社は
全部で上社・下社など4つの境内からなりますが
その特徴は
本殿と呼ばれる建物がなく
代りに秋宮は一位の木を
春宮は杉の木を御神木とし
上社は御山を御神体として拝しているそうです
古代の神社には社殿がなかったと言われ
諏訪大社はその古くからの姿を残しているのだそうです

万治の石仏
諏訪大社下社春宮の横にある石仏で
不思議な言い伝えのある仏様です
この仏様にはお参りの仕方があって
まず「よろず治まりますように」と念じて
時計回りに3回石仏の周りをまわり
最後に「よろず治まりました」と一礼するのです
私たちだけでなく
大勢の人たちが次々にやってきて
石仏の周りをぐるぐるまわっていました
皆それぞれの「よろず」が治まることを念じながら・・・

8月15日
前夜は八ヶ岳に泊まり
早朝の散歩に出かけましたら
歩いて30分ほどのところに
「身曾岐神社」という
古神道のお宮がありました
「みそぎ」とはきれいになることです
朝日の差し込む清々しい境内に足を踏み入れ
今生だけでなく
過去生においても
これまで私が知らず知らずのうちに犯した過ち全てを
きれいに祓い清めて下さいますようにと
手を合わせ祈りました

8月16日
訪れた八ヶ岳美術館は
原村歴史民俗資料館と一体となっていて
八ヶ岳山麓で発掘された
3000年~6000年ほど前の縄文土器が展示されていました
縄文時代のことを
もう少し詳しく知りたくなり
本を一冊買いました

「縄文土器ガイドブック」
(新泉社)

飯田市美術博物館では
菱田春草の企画展が夫のお目当てだったのですが
その他にも
伊那谷の
旧石器時代から現代にいたる
歴史と民俗に関する資料が展示されていて
あらためてこの地域に数千年以上前から
人間の営みがあったことを
実感することができました
余談ですが
この日
少しおもしろい偶然がありました
菱田春草の日本画を鑑賞した飯田市美術博物館で
「なんでもかんでもカタツムリ!」という企画展が
催されていたので
何となく面白そうだと思ってその企画展も見ました
その後 宿について
案内されたお部屋がなんと!
「蝸牛」(カタツムリ)という名のお部屋でした
この宿には能舞台があって
部屋の名前はそれぞれ狂言の演目からとって
つけられているそうで
「蝸牛」もその一つでした
この偶然には
何か意味があるのでしょうか・・・・?
そういえば
西丸震哉氏の本によれば
原始の人々はヘビやカエル カタツムリやバッタなどを
食べていたと言います
カタツムリは現代人でも食べるくらいですから
原始の人たちにとっては
とてもおいしいごちそうだったのかもしれません
もしかしたらこれは
原始時代の人たちの
時を超えたおもてなしなのかなと
ふと思いました

「蝸牛」のお部屋の飾り物
この日の晩
宿の能舞台で障遣願舞(さやりがんまい)「宇津神楽」という
珍しいお神楽が演じられました
ユーチューブで「宇津神楽」を見つけましたので
よかったらご覧ください↓

8月17日
昼神温泉郷では
早朝より朝市が開かれていました
朝市に出かけたついでに
近くの阿智神社まで散歩に出かけました
古事記によれば
岩戸隠れの際
天照大神を岩戸の外に連れ出す智慧をさずけたという
天八意思兼命(あめのやこころおもいかねのみこと)が
祀られているそうです

8日間の旅を終え
夕刻に琵琶湖まで帰ってきました
美しい
夕照を眺めながら
旅の最後の食事をいただきました
輝きながら沈んでゆく太陽を見ていたら
おてんとうさまに導かれながら
数千年の時を旅してきたような
そんな感覚に包まれました