雨の日曜日

お芝居の感想などを

アンナ・クリスティ(よみうり大手町ホール)

2018年07月27日 | その他舞台
 よみうり大手町ホールへ行くたび、こんなところに劇場が!ってびっくりするし、いやでもここは演劇というより講演会とか用なのかな?って思ったりするのですが。

 という訳で、初生篠原涼子を見て参りましたよー。

 えー、内容としてはね、男どもが酷すぎてね、でもヒロインはそんな男どもと上手くやっていかなくては生きていけないのが切ない。

 篠原涼子嬢は、美しく色気があって擦れて勝気で投げやりなアンナ役が似合ってました。セリフはもっと緩急つくと良いのですけど。マットはもっとガタイの良い脳筋ぽい役者さんのが良かったんじゃないかなあ。隆太君だと頭良さそうに見えるから。たかお鷹さんの粗野で不器用な海の男が良かったです。


[作]ユージン・オニール
[翻訳]徐賀世子
[演出]栗山民也
[出演]篠原涼子 / 佐藤隆太 / たかお鷹 / 立石涼子 / 原康義 / 福山康平 / 俵和也 / 吉田健悟

ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル(紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA)

2018年07月07日 | その他舞台
右近君の初現代劇を見て参りましたー。久しぶりの新宿!

 助太刀屋の時も思ったのですけど、もしかして私G2さんとは合わないのかもしれない。休憩込みで二時間半でしたが、何だかすごく長く感じました。NARUTO大丈夫かなーとか心配になっちゃった。

 けんけんは硬かったしやりにくそうでもありましたが、それが初々しさにつながってたのでOKと思います。狭き門の猿之助さんほど見ててハラハラしなかったし(笑)。ちょこちょこ猿之助さんっぽい表情とか動きとかあったのですけど、それってけんけんも身体が歌舞伎ってことですよね。

 篠井さんがもう一人の主役的なポジションで、複雑な女性を見せてくれました。鈴木壮麻さんは、良い感じで枯れたおじ様だったなあ。葛山さんはダメな男似合うよね。女優さんは二人ともめっちゃスタイル良かったです~。
  


 作      キアラ・アレグリア・ヒュディス
翻訳・演出  G2
出演     尾上右近 篠井英介 南沢奈央 葛山信吾 鈴木壮麻 村川絵梨/陰山 泰

バリーターク(シアタートラム)

2018年06月01日 | その他舞台
 どうせ外れるだろうなーと抽選に申し込んでみたら当選し、更に劇場についたら最前センターブロックでびびりました…。入場で並ぶなんてトラムでは初めてだよー。さすがSMAP。

 二人の男が何だかよく分からないセリフを喋り、踊ったり着替えたり食事をしたり。観客は???となりつつ居心地の悪さというか不安というかを感じつつ、そのうちうっすらと状況が見えそうなところで第3の男が登場し。という難解なお芝居でした。いやでも全然分からなくても、役者の熱量と演出の力で面白く見られるのですよねー。

 主役二人、知らなかったら普通に舞台役者さんだと思ったんじゃないかなあ。不自然な環境に置かれた不安定さ、みたいなのが良かった。お互いに服を着せっこしてたの可愛い。草彅君はやっぱり身体が良く動くねえ。シャツがどんどん汗で濡れていくんだよねー。松尾さんは女役がびっくりするほど似合ってたので、いつかまた舞台でがっつり見てみたいな。

 内容については、やっぱり良く分からなくてですね。12秒歩いて死ぬってどういうことだろうとか。でもそこは自分の中で処理せず、分からないまま置いておけば良いのかなーとも。第3の男が登場する時のわくわくするような絶望感とか、床に散らばるゴミとか、白井さんの演出はやっぱり好きみたいです。

 事前に確認してなかったので当日驚いたのですけど、終演後世田谷パブリックシアター芸術監督萬斎さんと神奈川芸術劇場芸術監督白井さんのポストトークがありました。ゴドーを待ちながらのゴドーが来ちゃった話、というのにほほうと思ったのですが、私ゴドーを待ちながらって見たことなかったわ…。主演二人、最初に脚本読んだときはこんな動き回るとは思わなかったそうで、この1時間40分のためにお酒を控えているとか。松尾さんが舞台2回目っていうのは意外だわー。元ラガーマンだから体力はあるんだって。そういえばこの作品、アイルランドやイギリスでも上演されてるそうなんですけど(本邦初演)、白井さんは写真しか見てないようで、そういうのって先行舞台の映像を参考にするものと思ってたのでちょっと驚きました。劇中80年代の音楽が使われていて、萬斎さんはちょうどその世代なのでレコードが割られるのに胸が痛んだとか。

 お二人は下手の小さいドアから登場し、舞台奥のマリーゴールドの花咲く夕暮れの風景の中へ退場されて行きました。いやホント間近でいい男を拝見できて、大変眼福でございました。


[作]エンダ・ウォルシュ
[翻訳]小宮山智津子
[演出]白井晃
[出演]草彅剛
   松尾諭
   小林勝也



 

スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース(御園座)

2018年05月26日 | 歌舞伎
 本当は御園座は前楽1回のみ予定でしたが、我慢できなくてその前の週にも行っちゃいましたー。でも松竹座と御園座、各2回ずつの観劇だから少ないですよねえ。次があるか分からないから、もっと見てしっかり目に焼き付けておきたかったな。4月末に手術した関係でコンタクト入れられなくて、不自由な遠征でした。ううう。何より眼鏡してるとオペラグラス使えないから、面倒なことこの上ないですよ!

 でもね、猿之助さんルフィの可愛さがさらにマシマシで幸せでしたー! 松竹座初日はかなり慎重な印象でしたけど、御園座前楽ではすっごく自由に舞台の上でルフィとして生きてました。勿論きっちり計算されてはいるのでしょうが、あの可愛らしさはご本人が本来持ってるものを解放されてるんじゃないかなーなんて思うのですよね。取り敢えず、体育座りした膝の上に両腕重ねてそこに頭載せて上目遣いでエース見るの最強。そしてエースに小突かれてコロンと転がるのですよ。なにそれずるい! くるくると表情が変わって、可愛いだけじゃなく、格好良くて色っぽくて。やっぱり私にとってのワンピース歌舞伎は猿之助ルフィだなあ。

 下村イワンコフは、全体的にたっぷりもったりしていて、作品のテンポに合ってないような気がしました。出来上がった中に入るのって、こういう所が難しいんだねー。でも美声が効けて楽しかったです。あの原作のキャラを上手く自分の身体に落とし込んで最初からあのレベルだった浅野さんは本当に演劇神だなあ、なんて改めて思ったりも。

 嘉島ウソップは、とっても可愛いのだけどつい「でも本当はお強いんでしょう?」とか思ってしまうのよ(笑) 赤犬はやっぱり大好きで、エースの「この時代の名が白ひげだー!」に「よし釣れた」って顔するの格好良すぎる! あとね、初演から見ていると、隼人君が成長したなーって、本水の立ち回りでの自信に満ちた顔を見て思いました。

 

図書館的人生vol.4 襲ってくるもの(シアターイースト)

2018年05月25日 | その他舞台
 池袋でイキウメ公演観劇して参りましたー。

 短編3つということで、どんなものかと思ってたのですが、これがすっごく良かった! エッセンスがギュッと濃縮されてる感じ。

 「箱詰め男」では、前川さんの描く不老不死がとうとうこんな形に…。どこからが人間なんだろう、とか、生きていることの定義って何だろう、とか、今だからそんな感想も出てくるけれど、見ているときはすごく怖かった。お父さんの置かれている状況が怖いのか、お父さんが怖いのか、よく分からないのですけども。

 「ミッション」は、社会に転がってる不可解なもの理不尽なものを開いて見せてくれてる感じ? 中見てもやっぱり分からなくて怖いよう。思い込みとドミノってどうやって見分ければいいのかしらね。大窪さんのお芝居って恐ろしいほど前川さんの作風に合うよねー。

 「あやつり人間」で奇妙な形で最初の話につながるのが鮮やかでした。お母さんの選んだ道が「お父さん」のと逆っていうのもね。さっきは面倒見の良い同僚だった佐久間君が、ここではうざい彼氏に。そして浜田さんの踊りは、今回はタップダンスでした。

ヘッダ・ガブラー(シアターコクーン)

2018年04月08日 | その他舞台
 出演者と演出の名前だけ見て何も調べず深く考えずサクッとチケット取った舞台。

 これがすごく良かったのですー。私正解でしたわー。ふふふ。

 ヘッダは、自由奔放なようで不自由な人。古い世界には馴染めず、かと言って新しい世界に踏み出すことも出来ない。周りを振り回しているようで、影響を与えることは無い。何も成しえない。その焦燥と絶望と孤独と。

 対照的に、エルヴステード夫人は夫のもとを去って人生をやり直そうとしてるし、恋人と一緒に仕事をすることも出来る。女優さんがお二人とも背が高くて、男性陣より強そうなのがいいなあ。

 男性たち3人もそれぞれキャラがたっていて魅力的。ヘッダを支配しようとするブラック判事がめっちゃ「男」だなあと思ったけど、あとの二人もそれぞれ「男」の典型な気がする。善良だけど妻の心に添えないテスマンと、能力はあるのに自分を律することが出来ないレェーヴボルク。

 特に小日向さんのテスマンは、最初誰だか分からなかったほど若くて可愛かったー! 研究一筋なオタク気質で、語尾や口癖にちょっとイラッとするところがあるのが良いです。インテリで強引な段田さんも素敵。成志さんはダメンズ役が本当に似合いますよね~。


作 ヘンリック・イプセン
翻訳 徐 賀世子
演出 栗山 民也

ヘッダ・ガブラー  寺島 しのぶ
イェルゲン・テスマン  小日向 文世
エイレルト・レェーヴボルク  池田 成志
エルヴステード夫人  水野 美紀
ミス・テスマン  佐藤 直子
ベルテ  福井 裕子
ブラック判事  段田 安則

スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース(松竹座)

2018年04月01日 | 歌舞伎
 行って参りました松竹座初日!

 本当は日曜夜の部だし無理って思ってたのですけど、チケット見つけちゃってつい。でも、行って良かったです! 猿之助さんのルフィに会えて嬉しい! 舞台の真ん中に立つ猿之助さんを見られて嬉しい! 新幹線の時間が心配でカテコ前に劇場出ちゃったのが心残りだけど!

 という訳で、とりあえず箇条書きで。

・チャルロス様がパンチされる前あたりからざわつく客席。そして幕が振り落とされるとものすごい拍手が。待ってましたー!
・三角座りが可愛い過ぎるー!!半ズボンは嫌とか言ってた(らしい)くせにー!もー!何なの?!
・宴会で仲間を思う表情がすごーく優しくて、何としてでもこの子を幸せにしてあげたいと思ったよ。
・エースの横にちょこんと座るのも、二人の体格差が強調されて良いです。
・エースが白ひげのもとへ向かうとき、行かないで!って顔してたのがたまらーん。
・明るく朗らかなけんけんルフィの後に見ると、四代目ルフィは翳りがあるし少女めいてる。
・初日だからかな、丁寧に慎重に演じているように見えました。柔らかで穏やかな印象。
・ファーファータイムも今までのガンガン煽るスタイルではなく、ゆっくり客席を見渡して、なんと言うか久々の宙乗りを味わってる感じ。
・ルフィとハンコック、同じお顔になったよね? 貼り眉無くなったね?

・けんけんサディちゃんパンチが効いてて素敵ー。本人も楽しそう。マルコもヤンキーぽくて良い。
・平さんがセンターおの芝居になってました。若く、感情をはっきり出すエース。
・下村さんブルック大きい! イワンコフ早く見たい!
・嘉島さんのウソップはびっくりするほど違和感無いねー。身体が良く動いて、小気味良いです。
・あちこちチョコチョコとセリフや演出が変わってました。ニョン婆の出とか。
・新橋の時から思ってたけど、スカート放り投げて踊る穴井さん大好き。
・そしてやっぱりマグマさん達格好良いなー!





増補忠臣蔵/梅雨小袖昔八丈(国立劇場大劇場)

2018年03月21日 | 歌舞伎
 国立劇場へ行って参りましたー。

 「増補忠臣蔵」
 実は髪結新三が目当てだったのですけど、こちらの方が私的には楽しかったです。何か二次創作っぽい感じはありましたけどね~。やっぱり忠臣蔵扱うとそうなるのかもね。あのエピソードの前にこんなことがあったらいいなって言うかあったはず!みたいな。そういう話書きたくなる気持ち分かるもん。という訳で、本蔵の虚無僧セットは殿からのプレゼントだったというお話でした。
 兎に角亀蔵さんが渋格好良かったです。鴈治郎さんは出番は後半のみなのですけど、登場した瞬間あ、この人が主役だって分かったので、やっぱりオーラがあるということなのでしょうね。

 「髪結新三」
 超有名作品なのに見たことないから見ないと!と思いまして。歌舞伎って悪人が普通に主人公なのが面白いですよねー。もちろんシェイクスピアでも悪人の話はありますけど、新三は破滅したりしないし、なんと言うか、普通に社会に溶け込んでるし受け入れられてるじゃないですか。そういうのが、不思議だなーって思って。
 菊之助さんは私の中ではもうすっかり立役さんだなー。華のある良い男でした。当たり前なんですけど菊五郎さんとセリフ回しがそっくりで、でもあのねっとり感はお父さんの持ち味とは違う気がする。やっぱりこうなると菊五郎さんの新三も見たくなりますねえ。
 亀蔵さんの家主が良くて、今月の国立は亀蔵さん祭りでしたね。和史君も可愛かったです。



明治150年記念

増補忠臣蔵 (ぞうほちゅうしんぐら) 一幕二場
 ―本蔵下屋敷― (ほんぞうしもやしき)
国立劇場美術係=美術

   第一場 加古川家下屋敷茶の間の場
   第二場 同         奥書院の場


河竹黙阿弥=作
尾上菊五郎=監修
梅雨小袖昔八丈 (つゆこそでむかしはちじょう) 三幕六場
 ―髪結新三―  (かみゆいしんざ)
国立劇場美術係=美術

   序幕    白子屋見世先の場
          永代橋川端の場
   二幕目  富吉町新三内の場
      家主長兵衛内の場
       元の新三内の場
   大詰    深川閻魔堂橋の場

(主な配役)
『増補忠臣蔵』
桃井若狭之助   中 村 鴈 治 郎
三千歳姫      中 村 梅   枝
井浪伴左衛門   市 村 橘 太 郎
加古川本蔵    片 岡 亀   蔵
                      ほか

『梅雨小袖昔八丈』
髪結新三      尾 上 菊 之 助
白子屋手代忠七 中 村 梅   枝
下剃勝奴      中 村 萬 太 郎
紙屋丁稚長松   寺 嶋 和   史
家主女房お角   市 村 橘 太 郎
車力善八      尾 上 菊 市 郎
白子屋下女お菊 尾 上 菊 史 郎
白子屋娘お熊   中 村 梅  丸
家主長兵衛    片 岡 亀   蔵
加賀屋藤兵衛   河原崎 権 十 郎
白子屋後家お常 市 村 萬 次 郎
弥太五郎源七   市 川 團   蔵

ラ・カージュ・オ・フォール(日生劇場)

2018年03月10日 | その他舞台
 チラシは以前から何度も目にしてたのですけどずっと何となくスルーしていて、だから初ラカージュです。

 フランス初演が1973年で(っていうかフランスミュージカルなのも今知った…)、テンポとか古い感じはあるのだけど、ショー部分が多くて華やかでした。そして内容はびっくりするほど現代的。まあ日本のLGBTに関する認識が、40年前のフランスくらいってことなのかもですが。

 久しぶりに市村さんを舞台で拝見して、やっぱりスターだなーって感じました。発する光というか求心力というか、とても強い。鹿賀さんの、あの当たりがソフトで捉えどころのないジョルジュが好き。頼りない所もあるけれど、アルバンへの愛に揺るぎが無いのが素敵よね。
 シャンタル新納さんは今回も美しいおみ脚を見せつけてくれました。美声もね! ダンサーさん達は派手な舞台化粧と昼のフツーの青年な素顔と両方見られるのが良いです。タータンさんのジャクリーヌも良い女でした。



作詞・作曲: ジェリー・ハーマン
脚本: ハーベイ・ファイアスティン
原作: ジャン・ポワレ
翻訳: 丹野郁弓
訳詞: 岩谷時子・滝弘太郎・青井陽治
演出: 山田和也
オリジナル振付: スコット・サーモン

ザザことアルバン       市村正親
ジョルジュ           鹿賀丈史
アンヌ              愛原実花
ジャン・ミッシェル       木村達成
シャンタル           新納慎也
ハンナ              真島茂樹
ジャクリーヌ           香寿たつき
マリー・ダンドン         森公美子
エドワール・ダンドン      今井清隆

アンチゴーヌ(新国立劇場 小劇場)

2018年01月27日 | その他舞台
 久々の新国立劇場です~。例によってまた到着がギリギリになり、結構焦りました…。間に合って良かった。

 舞台は十字型の特設ステージで、だから客席からは反対側のお客さんも見えるわけです。役者さんが手前に来ると見えなかったりもしますけど、小劇場なので2階席からでも結構舞台は近い。

 古代ギリシャが舞台ということでしたが、20世紀初頭のヨーロッパと二重写しになってるような世界でした。衣装とかセリフとか音楽とか。

 とにかく蒼井優さんのアンチゴーヌが良くてね。無垢で清らかで激しい少女。アンチゴーヌの情熱にボコボコにされながらも彼女を守ろうとするクレオン生瀬さんもとても良かったー。すらりと背が高くて格好良いです。お二人とも、声が良いのですよね。

 私の頭では理解するのは全然無理なのですけど、緊迫した台詞劇に「ガッツリ演劇を見た!」ってめちゃくちゃ満足いたしました。年の初めから良いお芝居と出会えて幸せ。




【作】ジャン・アヌイ
【翻訳】岩切正一郎
【演出】栗山民也
【出演】蒼井優、生瀬勝久、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤誓、渋谷謙人、富岡晃一郎、高橋紀恵、塚瀬香名子