雨の日曜日

お芝居の感想などを

エノケソ一代記(世田谷パブリックシアター)

2016年12月29日 | その他舞台
 今年観劇納めは、猿之助さん主演、三谷さん演出(+出演)の「エノケソ一代記」でした。エノケンに憧れ、エノケンになろうとした男の物語。

 最近見た三谷さんの芝居は「国民の映画」と「ベッジパードン」で、どちらも後味が悪くてしばらく引きずる程ダメージ受けたのですよ…。なので今回も警戒してたのですが、まあ悲劇的な最後ではあるのですけど気分が沈んだりはしなかったなあ。歌の力?

 エノケンの歌と踊りを挟みつつ、するすると話を進めていく手腕はさすが三谷さんだなあと。で、気づくととんでもない所まで連れて行かれて、後戻りできないという。でも最初から悲劇の種は蒔かれているから、唐突には感じないのですよね。

 猿之助さん演じるエノケソは、色々困った人なんだけど、愛嬌があって憎めない。三谷さんは「妻が甘やかし、蟇田が煽って彼を破滅に追いやった」と言うし実際そうなのだけど、でもそれは本人が望んだことだし。それとも無理やりにでも彼に別の生き方をさせるべきだったのかなあ。どちらが幸せなのか、私には分からないです。ただ、右脚切断を言い出した後、彼明らかに怖がってたし後悔もしてましたよね。あの一日をやり過ごせば、考え直したかもしれないのに…とは思うのですよ。
 ショー部分がエノケソなのかエノケンなのかはっきりしないのですけど、猿之助さんが歌ったり踊ったりするのが新鮮でした。

 吉田羊さんは「国民の映画」にも出てらしたようなのですが、全然記憶に無いので、実質的にこれが初生羊さんです。綺麗だし歌も良かったけれど、出来ればもっとテレビとはイメージの違うお役で拝見したかったな。

 浅野さんは一時体調を崩されてたようですけど、お元気そうで良かったです。めっちゃ胡散臭いのに、何だか頼れるような気がしてしまう蟇田さん。悪魔のような男ではあるのですけど、魅力的でした。

 山中さんは、5役どれも鮮やかでしたね。三谷作品は初めてだそうですけど、これから常連さんになりそう。

 そして三谷さん。実は俳優三谷幸喜を見たのは初めてなのですけど、ちゃんと役者さんでした。猿之助さんと仲良さそうですよね~。エノケソと口ッパの絡みが、多分この作品一番の見所。肉布団でもっこもこなのが可愛かったです。ただ私は古川ロッパという方を存じ上げないので、折角ビジュアル寄せてきてくれても「うわそっくり!」という感動が出来なかったのが残念でした。やっぱりちょっと予習していくべきだったかな。

真田丸

2016年12月26日 | テレビ
 「真田丸」、とうとう終わってしまいましたね。

 大河ドラマを全話見たのってこれが初めてなじゃないかなー。「風林火山」は途中からだったので。特にお目当ての俳優さんがいるわけでも無いのに見続けて来たってことは、作品自体に力があるってことですよね。1年間50話全部面白くて捨て回が無いって、結構すごい気がするんですけど。

 まあ敗者の物語なので、終盤は辛い展開でしたけども。最後、信繁は笑っていたけれど、やっぱり切ないな。一時は天下人の傍にいた、頭の回転が速くて度胸が有って周りに好かれる魅力もある若者が、働き盛りの一番輝ける筈だった14年を無為に過ごさなくてはならなかった、っていうのがね。辛いよね…。結局彼は何も為しえなかったけれど、名前を後世に残すことが出来た。というお話。

 この作品の家康や信之を見ると、人前で愚痴や弱音を吐ける人の方が最終的には強いのかもなーとか思ったり。あと歴史音痴の私には、初めて名前を聞くような武将でもきちんとキャラづけされているのですいすい頭に入ってくるのが有難かったですよん。

 個人的には年間MVPは草刈さん。昌幸パパ、本当に格好良かった。他にも小日向さんや中原さん等、三谷さんはおじさまを魅力的に描くのが上手いよねえ。今まで知らなかった素敵な役者さんを沢山知ることが出来たのも嬉しかったです。