雨の日曜日

お芝居の感想などを

新春浅草歌舞伎 第2部(浅草公会堂)

2018年01月14日 | 歌舞伎
 第2部のお年玉は種之助君。マイクを使わず口上形式で通したのが、猿之助さんみたいで好印象でした。

 「操り三番叟」
 実はちゃんと配役を見て行かなかったので、美形親子が並んだ時はちょっとテンション上がりましたよ~(笑
 種之助君は、無機物感は薄かったけど三番叟の拵えが良く似合って可愛かったです。

 「引窓」
 以前新幸四郎さんが十次兵衛をされた時は、歌昇君と壱君が平岡三原で、染さんの後を歩いてくるのがまるで先生と生徒だったなあとか思い出しつつ。
 実は昼夜の演目の中で、この引窓ってノーマークだったのですけど、すごく面白く拝見しました。とにかく歌昇君が可愛くてねえ。若くてまだ頼りないけど、ようやく結婚して落ち着いて、そして念願の仕事に就いたばかり、というキャラに説得力ありました。米吉君のお早も、元遊女らしい華やかさがあって良かったし、松也君も綺麗すぎる気はしますが、大きくて「らしかった」です。
 ただ歌女之丞さんはね、私の中では職場の先輩であってお母さんではないのですよ。なので歌女之丞さんに関しては、昼の方が好きなのです。

 「京人形」
 甚五郎とおとくの仲の良さがちゃんと伝わってきたのが良かったです。なんか種之助君の女房役って大切にしたい感じなのよね。今回は人形と女房がビジュアル全然違ってて、現実彼女と推しは別モノだよねーそうねーという気持ちで見られました(笑





お年玉〈年始ご挨拶〉

一、操り三番叟(あやつりさんばそう)

          三番叟     中村 種之助
            千歳     中村 隼 人
            後見     中村 梅 丸
             翁     中村 錦之助

双蝶々曲輪日記
二、引窓(ひきまど)

 南与兵衛後に南方十次兵衛     中村 歌 昇
            女房お早     中村 米 吉
            平岡丹平     坂東 巳之助
            三原伝造     中村 隼 人
              母お幸     中村 歌女之丞
           濡髪長五郎     尾上 松 也

銘作左小刀
三、京人形(きょうにんぎょう)

         彫物師甚五郎     坂東 巳之助
          京人形の精     坂東 新 悟
 娘おみつ実は義照妹井筒姫     中村 梅 丸
            女房おとく     中村 種之助
              奴照平     中村 歌 昇

新春浅草歌舞伎 第1部(浅草公会堂)

2018年01月14日 | 歌舞伎
 今年も浅草歌舞伎へ行って参りました~。昼夜通し♪

 お年玉ご挨拶は米吉君でした。めっちゃ喋るの上手いです。立て板に水。浅草のおかみさんとのやり取りを落語風に話してみたり。そして高麗屋号から勧進帳、弁慶、鳥居前とつないでいったのが見事でしたわ~。ところで「額に肉」で通じるのって何歳までなのかしらね。

 「鳥居前」
 確か以前鳥居前を見た時は、義経役だった隼人君。荒事のイメージが無かったのでどうなるかと思いましたが、忠信の拵えも似合ってなかなか格好良かったです。現代っ子の体型なので、脚が長すぎるような気もしましたけれども。あとは声が落ち着いてくればなー。
 種之助君と梅丸君が可愛いカップル。巳之助君は去年に続き藤太なのですね。

 「御浜御殿綱豊卿」
 真山青果には苦手意識があったのですが、脚本を読んでから観劇したらセリフも理解できて楽しく拝見出来ました。もっと早く読めば良かった…。まあそれでもやはり、お家再興出来て討ち入りせずに済むならその方が良くない?とは思うのですけど。
 綱豊卿ってめちゃくちゃセリフ多いし難しい言葉ばっかりなのね、って思ったのは今回が初めてだし、綱豊卿が主役だと認識したのも(何となく今まで助右衛門中心に見てたので…)これが初めて。松也君は教わった通りに丁寧に演じようとしているのが伝わってきましたよ。今はいっぱいいっぱいだけど、多分ニンだと思うので、持ち役にしていって欲しいなあ。巳之助君も、ためてためて敷居をまたぐところで爆発させるの良かったです。
 可愛い米吉君も、仕事出来そうな新悟君も、両方素敵でした。でも脚本を読むと、実際の公演では色々省略されてるのですねえ。江島ももっと軽いノリのキャラですもんね。




お年玉〈年始ご挨拶〉

一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
鳥居前

   佐藤忠信実は源九郎狐     中村 隼 人
             源義経     中村 種之助
             静御前     中村 梅 丸
            逸見藤太     坂東 巳之助
          武蔵坊弁慶     中村 歌 昇

真山青果 作
真山美保 演出
二、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)
御浜御殿綱豊卿

        徳川綱豊卿     尾上 松 也
       富森助右衛門     坂東 巳之助
        御祐筆江島     坂東 新 悟
        中臈お喜世     中村 米 吉
          上臈浦尾     中村 歌女之丞
        新井勘解由     中村 錦之助

初春歌舞伎公演 Aプロ(新橋演舞場)

2018年01月07日 | 歌舞伎
 獅童さんも復活したことですし♪ということで、演舞場に行って参りました。どうして「昼の部」ではなく「Aプロ」って言うのかは謎。

 「天竺徳兵衛韓噺」
 天竺徳兵衛は猿之助さんのしか知らなかったので、色々新鮮に感じましたよ。吉岡宗観生きてるー!とか、えっ、葛城ちゃんてそうだったの?!とか。ただお屋敷の場面が続くので、ちょっと単調な気が。小平次の幽霊物と合体させた猿翁さんの発想はすごいなー、なんて改めて感心したり。
 児太郎君がいかにもな赤姫で可愛かったし、獅童さんも格好良かったので、もっとこの二人中心で見たかった気がします。

 「鎌倉八幡宮静の法楽舞」
 自分用に分かりやすく説明すると、海老さん版蜘蛛絲梓弦。次々と早変わりして、最後はクモの糸を撒くという。
 実はこの前の休憩でワイン飲んじゃったので、あまり記憶が無くてすみません…。お正月だからって浮かれて普段しないことしたら駄目ですね。
 取り敢えず笑三郎さんが見られて嬉しかったです。吉弥さんはもっと綺麗なお役で見たかったですよー。折角の美人さんなのにー。


四世鶴屋南北 作
今井豊茂 補綴・演出

一、天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)

中村獅童宙乗り相勤め申し候
吉岡宗観奥座敷より大清寺仙人閣まで

     天竺徳兵衛
      座頭徳市   獅 童
     桜町中納言
      吉岡宗観   右團次
      細川政元
    梅津奥方葛城   笑 也
     宗観妻夕浪   吉 弥
      銀杏の前   児太郎
     山名時五郎   弘太郎
      梅津掃部   九團次
        奴鹿蔵   松 江
    佐々木桂之介   友右衛門
      足利義政   海老蔵

二、寿初春 口上(こうじょう)

市川海老蔵「にらみ」相勤め申し候

             海老蔵


九世市川團十郎生誕百八十年
松岡 亮 作

三、新歌舞伎十八番の内 鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)

       静御前
       源義経
        老女
       白蔵主   海老蔵
       油坊主
    三途川の船頭
        化生
       蛇骨婆   吉 弥
     従僧方便坊   九團次
     従僧普聞坊   廣 松
       姑獲鳥   笑三郎
      忍性上人   右團次

十二月大歌舞伎(歌舞伎座)

2017年12月24日 | 歌舞伎
 今年は12月も三部制なのですね。クリスマスに一部を観劇して参りました~。

 「実盛物語」
 以前勘九郎さんで拝見してすごく爽やかで素敵だった記憶があるのですが、愛之助さんも似合いますね。子役ちゃんとのちょっとコミカルなやりとりとか、可愛らしくて良いです。愛之助さんでは義賢最期を何度か拝見しておりますが、実盛の方が合っている気がするな。お話自体も面白いし。
 笑三郎さんの葵御前が美しかったし、門之助さんの小万も良かったですー。

 「土蜘」
 松緑さんの土蜘を近くで見たいがために、1階前方のお席を取ったのですよ。ふふふ。智籌が不穏でとっても良いです。怪我をして花道を引っ込む姿が異形のものっぽい。
 彦三郎さんがすっきりと良い男でした。左近君は安心して見てられますねえ。新悟君の後ろに隠れる亀三郎君も可愛い!
 

源平布引滝
一、実盛物語(さねもりものがたり)

       斎藤別当実盛     愛之助
         女房小よし     吉 弥
            葵御前     笑三郎
              郎党     宗之助
               同     竹 松
               同     廣太郎
               同     廣 松
         百姓九郎助     松之助
           瀬尾十郎     片岡亀蔵
              小万     門之助

河竹黙阿弥 作
二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

 叡山の僧智籌実は土蜘の精     松 緑
             源頼光     彦三郎
            侍女胡蝶     梅 枝
            坂田公時     萬太郎
             巫子榊     新 悟
           太刀持音若     左 近
    石神実は小姓四郎吾     亀三郎
            碓井貞光     橘太郎
             渡辺綱     松 江
            番卒藤内     坂東亀蔵
            番卒次郎     片岡亀蔵
            番卒太郎     権十郎
            平井保昌     團 蔵

スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース(新橋演舞場)

2017年11月25日 | 歌舞伎
 始まってすぐに大きな事故があったワンピースですが、2か月間の公演が一度の休演も無く千穐楽を迎えることが出来て、まずは良かったなあと思っております。いや良くはないんだけど。でも公演が無くなってしまったら、きっと一番悲しむのは猿之助さんだし。この座組と、そして作品自体の力で乗り切った2か月、でしたね。

 楽のカーテンコールは、期待通り幕が開いたら猿之助さんが! そしてサニー号から大道具さん?を呼んで客席に紹介。附け打ちさんも紹介。その後一度奥に下がって、出演者が登場し一人ずつ一礼。あああ、そうだよね、猿之助さんのことで頭がいっぱいで忘れてたけど、セカンド千穐楽ってそうだったね。座頭の人柄が感じられて、とても好き。

 何度目かのカーテンコールで猿之助さんからご挨拶もありました。命を失うほどの大事故だったが、優秀なスタッフのおかげで腕だけで済んだ。来月再来月は歌舞伎座・国立劇場・松竹座・浅草とそれぞれの劇場に分かれるが、これからも歌舞伎をよろしく。というような内容だったかと。とってもいつもの猿之助さんで、それが嬉しかったのですよ。その後、タケル君チョッパーがサプライズ登場してお誕生日をお祝い。幕が下りてもまだ拍手がやまず、上手に猿之助さんだけあらわれて、ありがとう、もうお帰り、のジェスチャーで本当に幕。久しぶりに生声聞けて嬉しかったよー! 左腕はまだまだかかりそうだけど、しっかり養生してまた元気な姿を拝見したいです。

 という訳で、ワンピース。
 博多座からもだいぶ変わって、特に一幕のオークションの場面が簡略化され、ルフィ登場までの時間が短くなりました。それ以外にもあちこちカットされて、さくさく話が進むように。削るならそこだよなあと納得しつつ、でもちょっと寂しかったりも。モノ作りは難しいですね。
 けんけんルフィは、明るくて朗らかで、単純な味わい。猿之助さんが尾田先生との対談で言っていた「空」としての主人公、というのはけんけんの方が当てはまっているかも。よだいめルフィは、ヤマトタケルの流れをくむ憂いとか陰りのある貴人だったから。麦わらの一味の中にいて自然なのはけんけん、エースとの関係がドラマチックなのはよだいめ。かな。宙乗りは正直よだいめのあの煽り方が恋しくて仕方なかったですよ…。ハンコックもね、けんけん綺麗だったけど、やはりエキセントリックかつ女神なよだいめが見たいですー。

 麦わらの一味はルフィ以外にナミとフランキーがキャスト変更でだいぶ若返りましたねー。新悟君のナミがスタイル良くて可愛い。ただ、若くなった分2.5次っぽいと言うか何かわさわさした感じがあったので、センター付近にもっとがっつり歌舞伎的な人がいて締めてくれればいいのになーって思いました。例えばエースが勘九郎さんだったら、けんけんとのバランスも良さそうじゃないですか? ワンピース歌舞伎の「歌舞伎」の部分ってこんなにも猿之助さんの身体に依るところが大きかったのだなあと、彼がいない舞台を見て初めて気づきましたよ。

 そのエースは平さん。エース単体では福士君の方が好きなのですが、平さんは猿之助さんとの相性が抜群に良くてですね。だから今回この組み合わせが一度しか見られなくて本当に残念でした。骨太で男らしい平エース、来年も見られるよね?
 あと、この再演でやっとマグマさん達に注目できるようになり、身体能力の高さに今更ながら感動しました。すっごいよねー。人間ってあんなことが出来るのね。本水やら何やら危ないことも多いかと思いますが、大阪名古屋でも拝見できるのを楽しみにしています。 

 

 

11月歌舞伎公演(国立劇場大劇場)

2017年11月12日 | 歌舞伎
 国立劇場に行って参りましたー。どちらも初めて拝見するお芝居。

 「坂崎出羽守」
 全然知らなかったのですが、実在の武将なのですね、この方。
 松緑さんて、どうしてこんなに不器用で報われなくてどこか歪なお役が似合うんでしょう?! 姫に気に入られようと頑張っては空回る出羽守をハラハラと見守りつつ、でも彼を嫌がる梅枝千姫の気持も良く分かるのですよね。だって、出羽守と結婚しても、幸せになれそうにないんだもん。
 でもあんなに荒れても家臣達には慕われてたし、人望はあったのよねー。歌昇源六郎や橘太郎惣兵衛という良い部下もいたのに。
 梅玉家康、左團次金地院は、さすがに海千山千の食えない感じが良かったです。あんな人達に出羽守が太刀打ちできるわけないですわ。亀蔵忠刻も、女性からは好かれ同性からはイラっとされるような爽やかイケメンがはまっていました。


 「沓掛時次郎」
 最近梅玉さんが好きで、特に新歌舞伎でもっと拝見したいなーと思っていたのですが、時次郎格好良いですねー。あの只者ではない感というか、この人がいれば大丈夫という安心感がすごいです。かといって大仰ではなくサラッとしてるのが素敵。三蔵松緑さんは普通に格好良いし家族思いだし、殺されてしまうの辛いなあ。あと左近君が大きくなっていてびっくりしました。お正月公演ではもっと子役子役してたように思うのですけど。顔が小さくてスラっとしているのはお父さん譲りかな。
 

山本有三生誕百三十年
山本有三=作
二世尾上松緑=演出
坂崎出羽守(さかざきでわのかみ) 四幕
中嶋正留=美術

第一幕  茶臼山家康本陣

第二幕  宮の渡し船中

第三幕(一)  駿府城内茶座敷
     (二)  同     表座敷の一室

第四幕  牛込坂崎江戸邸内成正の居間


長谷川伸=作
大和田文雄=演出
沓掛時次郎(くつかけときじろう) 三幕
釘町久磨次=装置

序幕(一) 博徒六ッ田三蔵の家の中
    (二) 三蔵の家の外
    (三) 再び家の中
    (四) 再び家の外
    (五) 三たび家の中

二幕目   中仙道熊谷宿裏通り

大詰(一) 熊谷宿安泊り
    (二) 喧嘩場より遠からぬ路傍
    (三) 元の安泊り
    (四) 宿外れの路傍

11月4日

2017年11月05日 | 歌舞伎
 半月ぶりにワンピース見に行って参りました。3階席に座るのは初演以来。やっと猿君チョッパーの回なのに、花道全然見えないのですよねー。残念。セリフだけでもめちゃめちゃ巧くて、子役離れしてるなって思いました。タケルくんが可愛くてお持ち帰りしたいチョッパーなら、猿君チョッパーは本当に怪我や病気を治してくれそうな感じ。

 でも3階だと、あーこの場面セリ下がったままなんだ怖ーとか、ここはこんな風に動いてたんだねとか、白ひげ海賊団登場も最初から見られるし、これはこれで楽しいです。やっぱフォーメーションとかよく考えられているなあと。

 右近君のルフィはピョンピョン跳ねてて可愛かったですー。あとこれは再演MY初日でも思ったのですけど、みっくんの3役が落ち着いてきたと言うか力が抜けたと言うか。こういうのをこなれたって言うのかな? 初演では全力で猿之助ルフィにぶつかって行ってたけれど、今回はけんけんルフィを支えているように見えました。隼人マルコはけんけんマルコと比べると大人しく感じだけど、原作だと落ち着いた大人キャラだからこれでいいのかな。

 普通に楽しんでるつもりでしたが、やっぱりね、ついシャンクス登場時に別の人を期待しちゃうのよね。いかんよねー。

 とか思ってたら、カーテンコールで! 幕が開いたら! 猿之助さんが!!

 映像で見た黒いTシャツに黒いロングコート、短めの丈のパンツにスニーカー、腕は吊ってました。

 いやあの、10月楽と11月初日に現れて、その後もランダムにご登場と伺ってたからそうだったらいいなーと開演前に思ったりはしましたけど、あの時点ではそんなこと全然考えてなかったから。足が見えた時一気に血圧上がったと言いますか。あー、やっぱり私はこの人が見たかったんだなあと実感しましたよ。お顔拝見出来るだけでも嬉しいよう。立ち上がって、拍手もしたいけどオペラグラス使わないとお顔見えない!とかひとりであわあわしてました。お元気そうで良かったー。安心したあ。でも無理はしないでほしいな。

 

 

リチャード三世(東京芸術劇場 プレイハウス)

2017年10月28日 | その他舞台
 「リチャード三世」という作品に触れたのは、これが初めて。2回観劇出来たのですが、これはもっと見たかったなあ。大変好みな舞台でありました。

 ほぼ木下順二訳の原作通りではあるのですけど、カットしたり入れ替えたり、連続した物語というよりイメージの連なりと言う感じ? 様々な不気味なものが現れては消えていく。それを繋ぐ縦糸がリチャードでありマーガレットであり、みたいな。

 オープニングがいきなり乱痴気パーティーなの好きー。マイクパフォーマンスも好きー。クラレンス暗殺シーンの生々しさ。幼い王子たちが閉じ込められて戸を叩く絶望。リチャード、ケイツビー、ラトクリフ三人並んだ時の退廃感。女たちの呪い。そしてそうきたか!とびっくりした「この世に望みを絶って死ね」。

 クラレンスやリヴァーズ達を死に至らしめたビニールは「権力」なのでしょうが、リチャードは自らその中に取り込まれにいっちゃうんですよねー。だって妻には目もくれず、ひたすら椅子にハアハアしてたもんね。で、バッキンガムを殺すのはまさにそのビニールだったという。そしてバッキンガムすら切り捨てた結果、まったくの孤独になってしまうのですよ。舞台にひとりだけ。代書人はいるけど。

 リッチモンドがリチャード並の悪党っぽいのも面白いねー。リチャードの幻の中に、リチャードの姿で現れる。

 蔵之介さんは器用な役者さんではないと思うのですけど、佇まいが美しいのですよね。極悪人役には清潔感があり過ぎかもなのですが、この演出で濃ゆい役者が演じたら多分私は胃もたれしちゃうので、今回のバランスが良いです。役者さんは皆良かったですが、特に女優陣は印象に残りました。今井さんのマーガレット格好良いですわ~。



作・演出作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:木下順二
演出・上演台本:シルヴィウ・プルカレーテ

 佐々木蔵之介

 手塚とおる 
 今井朋彦 
 植本純米(植本潤改メ)

 長谷川朝晴 
 山中崇

 山口馬木也
 河内大和 
 土屋佑壱 
 浜田学 
 櫻井章喜

 八十田勇一
 阿南健治
 有薗芳記
 壤晴彦

 渡辺美佐子

10月9日

2017年10月17日 | 歌舞伎
 先週の月曜日、ワンピースの公演中、正しくはカーテンコールの最初にハンコックで登場しスッポンでセリ下がる時に、衣装が機械に巻き込まれ、猿之助さんが左腕を怪我されました。

 私が何の気なしにネットを見たときにはまだ「カーテンコールに主役がいないまま幕が下りた」ということしか分からず不安な思いでいましたが、しばらくしてネットニュースで骨折、と。

 もう兎に角心配で、最初は昼は何もする気が起きないし夜はなかなか眠れないしで困りましたが、ご本人や周りの方が「怪我以外は元気!」と伝えて下さったので、何とか落ち着きましたよ…。

 公演は、次の日から右近君ルフィで続いています。麦わらの挑戦があったからこそ、こんな時でも幕が開けられたのですよね。それを見越してたわけでは無いでしょうが、準備していた猿之助さん凄い。事故自体もカーテンコールで本編には支障無かったし、作品もヤマトタケルや伊達十なんかと違って主役だけでなくみんなが活躍するお芝居だし、もしかしたら猿之助さんご本人は運が良かったと思ってるかもしれないなー、なんて。

 っていうか、ご本人大変なのに、不安なファンのために当日メッセージをくれたり、動揺もあったろう共演者には翌日ボイスメッセージを届けたり、完璧な座長過ぎる…! あとはもう、ゆっくり養生していただきたいです。まだまだこれから何十年も活躍される方だから。

 15日に観劇しましたが、けんけんルフィは可愛くて真っすぐで、とても魅力的でした。若い役者が演じたらもっと原作に近づくのかと思ったらそんなことなくて、逆に離れるのが面白いなと。でもこの舞台にはうまくはまっていたし、猿之助さん以外が演じることで「ワンピース歌舞伎のルフィ」がどんなお役なのか見えてきたような気がします。ここはけんけんの方が好きだなってところも結構あったし。ゾロサンジナミと年が近いから仲間!って感じするよね。

 それでも猿之助さんの不在はあまりにも大きくて。正直寂しくて仕方ないのですよ。だって今月来月とたっぷり猿之助充するつもりだったんだもん。もとからお休みでラスベガスにでも行かれてるなら、こんな思いはしないのにね。でも大丈夫なのかなどうなのかなってハラハラするのは嫌なので、きっちり完治するまで待ちますよー。…と言いつつ、来月の楽に、カーテンコールでお姿拝見出来たら嬉しいなっと。


芸術祭十月大歌舞伎 昼の部(歌舞伎座)

2017年10月01日 | 歌舞伎
 話題のインド歌舞伎、初日に行って参りました。

 予習はチラシ裏のあらすじ読んだだけなのですが、分かりやすくて面白かったですー。ただ戦士とか僧侶とか、階級制度はどこかで説明があれば良かったかも。だれる部分もあったから、再演を重ねて洗練されていって欲しいな。

 仮名手本忠臣蔵の大序みたいな幕開きから始まり、古典の手法で作られているので、歌舞伎座でも違和感無かったです。お衣装も神様は兎も角、人間は普段の歌舞伎とあまり変わらない。でもみんな額にビンディーみたいなのついてるし、いかにもな赤姫が「ガンジスの流れが云々」みたいなセリフ言うし、シュールな感じであります。インドの森にビーマ王子のあのお衣装では暑いんじゃないかと心配になったり。

 七之助君と松也君が良いお役でしたねー。ヅルヨウダ王女は、存在感のある悪女。後半は「…実は王子って設定??」って混乱するような凛々しいいでたちで、一粒で2度美味しい感じ。階段落ちにもびっくりしました。松也君は、十二夜からの成長と出世がすごい! だって菊之助君と一騎打ちだし、神様では菊之助シヴァ神と対称にいるし。アルジュラ王子がとっても格好良くてときめきましたよー。キャラとしてはこの人が一番主役っぽいのでは。

 菊之助さんのカルナは、内面が見えづらくて共感しにくい割と損なお役な気がしました。ヅルヨウダもアルジュラも出来る人があえてそこっていうのが良いのかな。猿之助さんといい、新作を作るとご自分は一歩下がりがちよね。それでも魅せられる自信がある、ということかもですが。

 五王子がみんな好きなので、大詰で全員の立ち回りが無かったのが残念。ユリシュラ兄さんの格好良いところ見たかったよー。萬太郎君は二役だから仕方ないんですけども。でも萬種双子可愛かったんだもん。亀蔵さんをあんなに沢山見たのも初めてかも。あと児太郎君の高貴なお姫様オーラがすごかったですわ!

青木 豪 脚本
宮城 聰 演出

新作歌舞伎
極付印度伝

  マハーバーラタ戦記(まはーばーらたせんき)

序幕 神々の場所より
大詰 戦場まで

           迦楼奈(かるな)/シヴァ神(しん)     菊之助
                 汲手姫(くんてぃひめ)     時 蔵
                帝釈天(たいしゃくてん)     鴈治郎
           鶴妖朶王女(づるようだおうじょ)     七之助
百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)/多聞天(たもんてん)     彦三郎
               風韋摩王子(びーまおうじ)     坂東亀蔵   
   阿龍樹雷王子(あるじゅらおうじ)/梵天(ぼんてん)    松 也
      汲手姫(くんてぃひめ)/森鬼飛(しきんび)     梅 枝
  納倉王子(なくらおうじ)/我斗風鬼写(がとうきちゃ)    萬太郎  
            沙羽出葉王子(さはでばおうじ)     種之助
              弗機美姫(どるはたびひめ)     児太郎
                    森鬼獏(しきんば)     菊市郎
                       拉南(らーな)     橘太郎
       道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ)     片岡亀蔵
            修験者破流可判(はるかばん)     権十郎     
                 亜照楽多(あでぃらた)     秀 調     
                     羅陀(らーだー)     萬次郎
              弗機王(どるはたおう)/行者     團 蔵
                  大黒天(だいこくてん)     楽 善    
                  太陽神(たいようしん)     左團次
 那羅延天(ならえんてん)/仙人久理修那(くりしゅな)     菊五郎