雨の日曜日

お芝居の感想などを

NARUTO(新橋演舞場)

2018年08月13日 | 歌舞伎
 新作歌舞伎NARUTO、昼夜一回ずつ見て参りました。

 えー、全72巻を舞台化してるので、展開がせわしないです。説明台詞が多すぎて鬱陶しいし。それにこれではサスケがただの流されやすい人に見えてしまうのだけど、いいのかな。あと上演時間が4時間以上あるのなら、どこかに華やかな場面が欲しい。もしかしたら原作的に無理なのかもだけど、やはりワンピースのニューカマーランドやヤマトタケルの熊襲の宴はストーリーの流れ以上の必然性があったと思うのよ。それからNARUTO見た後に分かったワンピースの良い所っていうのがあって、それは話が完結してないこと。ルフィは海賊王になってないし海軍との決着もついてない、その上エースも助けられてない、のにどうしてあんな満足感があったのかというと、演出の力プラスこれからも物語は続くという希望があったからではないかと。NARUTOは完結してる分、作品として閉じて小さくなってしまった気がする。

 と、色々書きましたが、でも結構楽しんだのですよ。多分今まで拝見したG2さんの舞台では、一番面白かった。漫画の舞台化としては、すごく素直でオーソドックスな作りになってると思います。まだ初演だから色々粗いのは仕方ないので、南座再演では脚本刈り込んでもっと緩急ついてるといいな。

 出演者では何と言っても市瀬さんですねー。NARUTO歌舞伎って市瀬イタチの格好良さを堪能するためにあるんじゃないかと思うくらい。死人のような無表情とキレキレの身体能力が素敵すぎる! イタチとサスケの殺陣は、とってもお気に入りの場面です。映画みたいで格好良い。

 カカシ嘉島さんは、素敵だったけど見せ場が足りない! もっと見たかったー。あと國矢さんのカブトが銀髪&眼鏡でたいそう好みでした。カブトが舞台にいるときはずっとカブト見てましたもん私。

 猿之助さんマダラのお化粧好き。仮面を外した瞬間、あこれ歌舞伎だった!って思い出したと言うか。作品自体の雰囲気はね、割と2.5寄り(見たことないけど)なのですけど、マダラとナルサスの立ち回りだけ突然歌舞伎になるんですよ。そこだけ切って貼ったかのように。愛之助さんのマダラはちゃんとNARUTO歌舞伎に収まった芝居をしてましたが、猿之助さんはそこらへん遠慮なく古典の方へ引っ張ってった印象です。どちらが良いかは、好き好きだと思うのですけどね。

第四回双蝶会(国立劇場小劇場)

2018年08月05日 | 歌舞伎
 今年も中村歌昇・種之助兄弟の勉強会へ行って参りましたー。

 「川連法眼館の場」
 えー、すみません私遅刻してしまいまして、だから席に着いたときはもう忠信(本物)が舞台にいました。パンフ見ると川連法眼の役者名が書いてないのですけど、そこはカットされたの?
 浅草の松也君の時も思いましたが、若手が四の切やるとああ狐忠信って難しいお役なんだなあと分かりますね。ずっと人ではない動きなのも、狐ことばも、なかなか身につくものではないのだなあと。最近巡業で愛之助さんがなさってましたが、見ておけば良かったな。
 種之助君の源九郎狐は、ビジュアルはとても可愛いくて似合っているので、これから何度も演じて欲しいです。
 それにしても葵太夫の声は本当に良いですねー。四の切は聞きなれてるせいか、すごく陶酔感がありました。

 「積恋雪関扉」
 これって多分、役者の格で見せる舞踊だと思うので、若手には結構ハードル高い演目なのでは。歌昇君のイキの良さ、若いパワーみたいなのはすごく感じました。あとね、小町姫/墨染の児太郎君がとっても美人さんで、立女形の貫禄のようなものまで感じられて、これからがますます楽しみになりました。