顔を見合せる私たちは更に驚かされた。
「ドーーーーーンッ!!」
大きな物音と土煙が舞い上がる中、それは現れた。
【ウイルス生命体χ-カイ-】
それは、小悪魔のような尻尾を生やし、右目を眼帯で隠し、全身を看護師のようなコスチュームに包んだ少女だった。
私たちよりも、炎の四天王ファイヤー・ドレイクの方が驚いていた。
「……お前、確か………。」
「……痛ぅ………。」
「あっ!!」
「ファイヤー・ドレイク……様!!」
「……いや、最早、上官でもないから"様"はいらないわね。」
「変異ウイルス生命体χ(カイ)!!」
「何をしに来た?」
「お前、さてはエデンを追い出されたな。」
「ご名答。」
「サマエルにも失望したわ。」
「あっ!そうそう。チャーリーたち。お土産があるわ。」
「ぐぐぐっ!」ファイヤー・ドレイクの驚きは怒りへ変わった。
「何をごちゃごちゃと!」ドレイクはバクテリオ・マジックをχ(カイ)目掛け、放った。
「残念ね。アタイちゃんを甘く見ない方がいいわ。」
バクテリオ・シールドに守られたχは「ニヒッ。」と笑顔を覗かせながら云った。
いや、バクテリオ・シールドとは異なるものだった。
身長2メートルを超える筋骨隆々の大男が壁のようにχ(カイ)の前に立ち塞がっていたのだ。
【試作人造人間アダム・シュタイン】
「アダムちやん。ありがとう。」
「チュッ。」
投げキッスを送ったχ(カイ)。
「アダムちやんはアタイちゃんのボディーガード。」
「アタイちゃんが造った試作アダム型人造人間よ。」
「その程度のバクテリオ・マジックじゃ倒せないわね。」
「ニヒッ。」
アタイちゃんはね。
エデンの繁栄の為に、このアダムちやんを造ったのだけど、サマエルの逆鱗に触れたのよ。
アタイちゃんは繁栄には力強いく生命力の強い漢が必要だから、交尾するだけの為の男(エサ)は所詮、餌にしか成らない事から、アダムちやんを造ったの。
完成には"知恵の実"が必要で、一つ拝借しようとしたら逆鱗に触れ、追放されたわ。
知恵の実を与えてないから、"感応波"が必要不可欠。
「今は、感応波で操るマリオネットなの。」
「で、チャーリーたちへのお土産は、コレ!」と注射器のようなものを向けると、それを素早くワンとツー、目掛け中身だけを放出、浴びせた。
「……なっ!?」
「何を!?」
「心配いらないわ。直ぐに慣れるわ。」
「そんな事は聞いて………。」
「ああああああああああああああああーーーッ!!」
「貴女たちはこれで変異したわ。」
「今まで以上にハイパワーに上がったはずよ。」
【変異(体)化ウイルス生命体ガンマ・ワン(チャーリー・ワン)】
【変異(体)化ウイルス生命体ガンマ・ツー(チャーリー・ツー)】
「……ハイパワーなのは良いが……より人間から離れたように思えるぞ!」
「大丈夫…だよ。」
「時が来れば人間に近づく……。」冷や汗をかくχ(カイ)は苦笑いしながら応(答)えた。
第十二話へ
つづく。
この物語りは架空のフィクションです。
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
挿し絵的画像はイメージです。