「艦長。あと一時間で、作戦開始宙域に到達します。」
「うむ。」
「通信オペレーター。全艦に通達!」
「第一種戦闘配置!」
「モビルスーツパイロットは発艦準備!」
「各部、索敵を厳とせよ!」
「了解!」
グラーフ・ツッペリンをはじめガランシュール級二隻も、慌ただしく動きはじめる。
◆
一方、ヴァルキュリーもまた、連邦軍グラーフ・ツッペリン艦隊をキャッチ、第一種戦闘配置へシフトした。
ワタシも出撃に備え、あの特殊パイロットスーツに着替えた。
まだ、コックピットに乗ってもいないのに「ワクワク」が溢れて来る。
アドレナリンが刺激されているのか興奮する感覚が早い。
ユシキが頭に想い浮かぶと同時に「ドクン。」と身体に電気のようなものが走った。
機体のチェックがはじまった。
ワタシ、自分でもユシキに包まれてから急激に二つのワタシが、交差してると感じていた。
それがティターンズに居た頃に受けた強化実験時の薬の副作用なのか?
はたまた違う何かの副作用なのか?
解らない。
でも、この特殊パイロットスーツに身を包むと身体は疼き「ワクワク感」は増してゆく・・・
もう一人のワタシ、モロフォも何処か「ワクワク」している様子を伺わせていた。
「ロゼズ。今日も「ワクワク」だね。」
「ニカッ。」と笑顔を覗かせた。
ワタシも笑顔を返した。
「総帥。敵戦力が判明!」
「此方がデブリに紛れ込ませた監視衛星が捉えた15分前の映像です!」
「ラーカイラム級戦艦:1/ガランシュール級:2!」
「ラーカイラム級とガランシュール級が確認出来る事から、今回はモビルスーツも複数、存在すると思われます!」
「うむ。」
「私のクシャトリアも、何時でも出撃出来るようにしておいてくれ。」
「了解。」
20分くらいして、ワタシとモロフォはガンダム・ブルーローズに搭乗し、待機した。
あとは牽引ワイヤーが外されるのを待つのみと成った。
それから三分も経たずして、アラームがけたたましく鳴り響いた。
それから三分も経たずして、アラームがけたたましく鳴り響いた。
だが、ブルーローズはまだ牽引されたままだった。
同時に艦砲射撃が開始された。
ワタシのゴーグルにリアルタイムで映し出される映像。
鮮やかな蛍光ブルーや蛍光ピンクの光、時折観せる大輪の光。
僅かな揺れ、爆発音の中、ワタシは出撃を待った。
ブルーローズが小刻みに揺れた時だった、漸く牽引ワイヤーが外され、ブリッジから出撃命令が出された。
ワタシはゆっくりとコロニーの真下に移動した。
艦砲射撃が一瞬、止んだ。
「来る!」
同時に艦砲射撃が再び開始された。
真下から複数の小さな光の点が見え隠れしながら、近づいて来るのが解った。
「モロフォ。行くよ。」
「うん。」
「ゆけっ!ワタシのファンネルたち!」
勢いよく6基のファンネルたちが射出され、ワタシの思い描いた通りに舞った。
「先ずはお前からだ!」
「墜ちろッ!」
最初にロゼズの犠牲に成ったのは、ガランシュール二番隊機のモビルスーツ:リゼルだった。
「……なっ!何ッ!?」
「二番機がやられた!」
「奴らヴァルキュリーは、下から攻める事を予測してやがッたのか……。」
「でも、アカギ大尉。何処から?」
「機体はまだ確認出来ていないが、12秒前の画像解析から、ファンネルと思われるものが捉えられている!」
「くっ!」
「いきなりニュータイプのお出ましかッ!!」
「みんな固まるな!散らばれ!」
「遅いわねッ!」アカギ大尉が指示を飛ばすと同時にアカギ大尉のリゼルの眼前には、ブルーローズが現れていた。
有無を云わせる暇も無く、アカギ機はブルーローズのビームサーベルの餌食に散った。
アカギ機の胸部から悲鳴と火花が確認されたところで、ブルーローズは離脱した。
「……た、隊長……。」
「哀しむ暇は無いぞ!」
「幸い、真下は奴、一機だけだ!」アカギ機の爆沈を目の当たりにしたマルガリータが告げた。
「何とか格闘戦に持ち込めれば……。」
「上は上で大荒れだな。」
「旧式のポンコツと思ってなめんなよ!」
「ラス少尉!コムサイを射出、Iフィールドを展開させよ!」
「了解!」
「中身も旧式だと思うなよ。」
「各駆動部にはマグネット・コーティングを施し、コムサイにはIフィールドユニットを装備してあるんだよ。」
「レーダーもセンサーも最新式だ。」
「沈むのはお前らだ!連邦のクズどもッ!」
「メガ粒子砲、連射開始ッ!!」
こうして戦端が開かれ、有利と思われた連邦軍ヴァルキュリー討伐隊は、思わぬ苦戦を強いられていた。
そんな中、一番隊母艦ガランシュール級が沈む一報が、マルガリータ少佐の耳に入った。
「……何だって!一番隊の母艦が沈んだたと……。」
「解った。」
「全モビルスーツ隊へ!!」
「私に続けッ!!」
「ミラー一枚だけでも破壊してやる!」
ビームライフルを乱射し、弾幕を張り、一番手前のミラーを目指したマルガリータ少佐率いるモビルスーツ隊。
ミラーを貫き、破片は乱舞した。
four・roses隊三番機が犠牲に成った。
乱舞する破片を避け、爆沈する量産型シナンジュ三番機を横目に駆け抜けるマルガリータ少佐率いるモビルスーツ隊。
一番隊の母艦が沈んだ事で、作戦の立て直しを余儀ぎくされたマルガリータは一度、戦闘宙域から撤退を決めた。
第十五話へ
つづく。
この物語りは【機動戦士ガンダム】の外伝です。
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
また、私的設定が混ざってます。
挿し絵的画像はイメージです。