原付の修理に上野毛に行ったついでに、五島美術館に立ち寄った。
「絵画の美」と題する展示は、宋元の絵画から琳派、絵巻、名硯に至るまで充実した内容だった。
一通り観たあと、清々しい陽気に誘われ、久しぶりに庭園の方まで出てみた。
新緑のシャワーを全身に浴びる。
紅いツツジがまぶしい。
藤も7分咲きくらいか・・春たけなわである。
爽やかな五月の陽光は、萌黄色の若葉にさえぎられ、あるいは透過し、園内は吸いこまれるような明るい「かげ」にあふれている。
それは「かげ」には違いないのだが、夏の強烈な日差しに比例してできる濃密な「陰(かげ)」ではなく、「ひかり」とも読む「影(かげ)」の字のほうが感覚として近い。
「陰」の「今」の部分はもともと栓のついたフタの形。「云」の上にあるから雲気にフタをしておおい、閉じ込める意味。だからいくらか重たいイメージが付きまとう。
それに対し「影」の「彡」は光や色の美しさを象徴的に表した形。「景」は光に反映してかげる状態だから、すでに字の中に光を持ち合わせている。
同じ「かげ」にも、状態によってさまざまだ。
「緑陰」は夏の季語だが「緑影」という言葉があるのか無いのか・・
広辞苑には出ていない・・・・