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through the frozen window

ふさわしい言葉を探しているうちに、小さな羽音だけを残して、遠くへ。

picture window

2004-08-06 | Weblog
物凄いと云うのがあてはまる、
素晴らしい夕暮れでした。
僕は色の感覚が偏っていて、
普段どちらかと云うと、B&Wに物事を見ているけれど、
引き剥がされるような色でした。

京浜東北線の北へ向かう列車の窓に、
嘘のような別世界が広がる。

窓から見上げた東の空は、
桜とも、橙ともつかない柔らかな滲みが、
濃く沈んだ群青の隙間を埋めてゆく。
ねっとりとした、濃密な絵の具の混ざりあい。
筆にまとわりつく重ささえ、感じられそうな。

そう、なぜか、東の空なのだ。

同じようにこの空を見上げる人がいるだろう。
会えなくなった人たちは、どこかでこれを見上げるだろうか。
同じように思う人が、いつか見上げている時に、
僕は生活に埋もれてしまって、
頭の上の贈り物に、気付かないに違いない。
その手を赤く染めても。

このおかげで、
もう一度、何かを思う事ができる。
1日だけ、のばす事ができる。
そっとしておくことができる。

忘れない

2004-08-04 | Weblog
あの日、
大切な人を失くしました。
一緒に過ごせる最後の時間だった事を、
僕は自覚していないうちに、
その灯は消え去ってしまった。
当たり前のように、浪費して、
何もカギを残せなかったから、
急にそれは閉じてしまって、
最後の温もりを、思い出せない。
ちゃんとお別れも言えなかった。
抱きしめる事すら、してあげられなかった。
そこら中に散らばっているはずのカケラを、
今になっても、探しまわって、
手探りでかき集める。
そして、きっといつになっても、
僕はそこから離れられない。

この夏を、大切な人と過ごすあなたへ。
この夏を忘れないで。

Dialog in the dark

2004-08-04 | Weblog
眼を閉じて生活する事を、想像する事は難しい。
どれだけ、その気持ちを汲み取ろうとしても、
それはある一部をまさに掬った事にしかならない。
自分の掬い取れる嵩の小ささに、
つくづくがっかりしてしまう。
まして、眼を閉じて誰かとcomunicateする事を、
あなたはどの位感じられますか?

言葉の通じない相手と、電話で話すようなもの。とは、
言い過ぎだろうか。

僕達の認識は、見る事を基準に成り立っている。
事象を、それ以外のアプローチからdiscribできますか?
けれど、それは、本当に信じられる判断なのだろうか。
眼に映る世界のすべては、現実ですか。

僕は見えない。
そのかわり、僕達には手がある。
耳が、鼻が、あるではないか。
芳しい香りが、水を打つ静けさが、
指に触れる柔らかい肌が、温もりと湿りを持って、
そこに有るではないか。
それでも、
眼以外のもので、見ると言う事以外で、
あなたの事を、
見分ける事ができるだろうか。
僕は信じている。

住み慣れた部屋の灯りを、眼をつぶって灯せますか?

ミツバチのささやき

2004-08-04 | Weblog
僕は、いそいでいた。
今聴こえてくるこの小さな羽音を、
目に見える空気の粒を、
降り積もる光の嵩を。
書き留めておきたくなった。

暖かい湿った腕に触れた指先が、
乾いてしまう前に。
まだそれを、思い出せるうちに。

まだこの指が動くうちに。
すべてを忘れてしまうのを、
気付いている事ができるうちに。

test

2000-06-29 | Weblog
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