クリストフ・コッホ(土谷、金井共訳)『意識の探究(上)』、岩波書店(2008)の12頁に精神物質二元論について次のように述べています(一部抜粋)。
二元論は論理上一貫している一方で、科学的な見解からすると不満が残る。
魂と脳とがどのように相互に影響し合っているのかという問題である。
どうやってその相互作用は起こるのか。
この相互作用は、物理学の法則と両立していなければならないだろう。
ところが、もしそのような相互作用を仮定すると、魂と脳の間でのエネルギーの交換がなければならない。(引用終わり)
ここで問題になるのは私が付けた下線の部分です。
コッホの相互作用に対する見解は矮小化されています。
その理由を示します。
ロボット内部には物質と情報とが共存しているので、物資と情報の二元論が成り立ちます。
情報はロボットの行動を制御します。
その行動によってロボット内部の情報も変化します。
つまり、ロボットの物質と内部の情報とが相互作用しているのです。
しかし、言うまでもなく物質と情報との間でエネルギーの交換はありません。
では、何故このような相互作用が成り立つのでしょうか。
それは、ロボットがこの相互作用を実現するように作られているからです。
魂と脳との相互作用はコッホが言うような直接的なものではなく、ロボットにおける物質と情報との相互作用のように間接的なものなのです。
このような相互作用が可能なのは脳がそのように作られているからです。
正に脳の進化によるものです。